第四十四話
そして迎えた二十日。
皆がフォーマルな格好をしてパーティーを楽しんでいた。
ここで礼装をするというのには意味がある。
麗英学園という学園の特性上、名家出身の人が少なくない。
そういった人たちの社交の練習のほか、将来著名になった時に困らないよう、最低限のマナーを全員に叩き込むために礼装がルールとされているという話もある。
さて、そんなパーティーだが、私たちのライブを含めたステージ上での余興も終わった。
ライブはもちろん大成功だった。
まず最初に歌った朱莉先輩が少ししんみりとした空気感を作り、次に歌ったグループが少しアガってくる曲を歌った。
この時点ですでに会場内はかなりの盛り上がりを見せていたが、そのあとに歌った恭介先輩たちがさらに盛り上げ、そして最後に私たちが歌い、この日一番の盛況をみせた。
あと少しで終わってしまうという事実に一抹の寂しさを感じながらも友人たちと話したりして過ごしていると、会場内のライトが落とされ、ステージ上にスポットライトが照らされた。
そして現れたのは晴先輩だった。
「どうも~みなさん。こんにちは。楽しんでますかね?」
いつにもなく多くの人と対面しているのに晴先輩はいつも通りと言う様子で、よどみなく話す。
「これから何年ぶりだ?まあ大体十年ぶりくらいの生徒会企画を始めようと思います。皆、拍手!」
ぱちぱちという音がホールを埋め尽くす。
「ありがとう、ありがとう。と言うわけでですね、皆さん。本日、来場時に一人一枚渡した番号札を取り出してください。これから大抽選会を始めます。」
そう言うと、手を二回鳴らす先輩。すると、舞台袖から五人ほどの生徒によっていろいろなものが乗ったワゴン車が運ばれてくる。
そして真面目な顔をして
「いいですか、今から厳正なる、公平な抽選によりここにある景品を分けていこうと思います。数は全部で百個。誰が当たるか、楽しみにしていてください!」
舞台上にある景品は、余りの予算で買ったものであるが、かなり豪華である。
というか、予算がかなり余っていたのだ。
ここで使わなければほかに使い道がなく、それはそれで困っていただろう。
ちなみに景品はガラス細工の美しいグラスや電子機器、そしてなぜか家具などもある。
果たして当選するのは誰か。
楽しみである。