第四十一話
生徒会室にはすでに晴先輩がいた。
椅子に座って腕を組み、黒いマントを羽織って仮面をつけている。
そして口を開き、
「よく来てくれたな。待っていたぞ。」
「先輩、それかっこよくないからやめてくださいって前言ったじゃないですか...」
何やら嶺亜君が頭に手を置いてあきれているが晴先輩の耳に届いている様子はない。
苦労しているんだな。少し同情する。
「さて、要件を端的に言おうか。生徒会主催のクリスマスパーティーを手伝ってくれ。
いろいろと話し合いたいことが至急できてな。案をくれ。」
「クリスマスパーティーって何ですか?」
陽大君が何もわからないという顔をして先輩に尋ねる。
「陽大君、知らないの?」
こういったイベントを彼が知らないのは意外だった。
「仕方ない、教えてやろう。」
「先輩、態度を改めましょう、態度を。」
やはり嶺亜君の言葉は耳に入っていないようだ。
「麗英高校のクリスマスパーティーは麗英三大祭との一つに数えられるほど大きな行事だ。
毎年十二月下旬に生徒全員が参加する立食パーティーが開かれる。そこで余興とかも行ったりするんだが、色々と伝説やら迷信も多い祭りでな。
まあ簡単に言えば学校全体の忘年会みたいなものと思ってくれればいい。」
そんな説明をしてくれた先輩に問う。
「伝統ある行事で、麗英高校が創立した時からあると聞いているんですけど、今更私たちが手伝うほどのことがあるんですか?」
行事の歴史が長いのであれば、進行などもほぼ定型化されているはずだ。
今更私たちを呼び出して、話し合うことのほどのものではないと思うが。
「それがだな、去年のアンケートでより面白味を出してくれと言うものが多くてな。
まあ、去年だけではなくほぼ毎年のようにあるらしくて、進行の見直しとなったわけだ。」
「「なるほど...」」
陽大君と同時にうなずく。
「と言うわけで、前置きは終了。建設的な議論を始めようか。」