第四十話
時はあっという間に過ぎて、いつの間にやら十一月下旬。
部内ではクリスマスライブの話が出ていた。
「...それで、日程は十二月二十日。場所は生徒会主催のクリスマスパーティーだ。
恭介先輩の説明を全員が静かに聞いている。
「発表できるのは四グループ。今音楽部内には八グループ、四十八人いるから圧倒的に多いわけだ。
と言うわけで、あとで投票するから協力よろしく。結果は明日発表するから。」
軽い調子で先輩は言ったが、その場にいた全員の表情は真剣だった。
*
翌日、全ての授業が終わり教室で片づけをしていると、嶺亜君が声をかけてきた。
「星華さん、今日生徒会で集まりたいんだけど、大丈夫?」
久しぶりの集合だ。
最後に生徒会の仕事をしたのは文化祭の時じゃないだろうか。
「大丈夫。集まれるよ。」
「ありがとう。それじゃあ陽大君にも声をかけてくるからちょっと待っていてね。」
そういって陽大君の方へ行ってしまった。
その姿を見ていると、嶺亜君も変わったなぁとふと思う。
最初に出会ったのは音楽部でグループを組んだ時。
当時の彼は今から思うと非常に内向的だった。
自ら他人に話にことを恐れていたり、ライ君に話しかけられただけでびくっとしていたりしていたのに、今の彼は非常に積極的に見える。
これも音楽のなした業なのか彼の努力のおかげなのかわからないが、よい方向へ変わっているのは間違いないだろう。
そんなことを考えていると、陽大君を連れて嶺亜君がやって来た。
「それじゃあ行こっか。」