第三十七話
駅を出て陽大君の家へと走る。
陽大君は一体どうしているだろう。
唯一の肉親が病気だということを悟らせず、いつも気丈に振る舞う陽大君の心境を思う。
苦しいはずなのに、明るく笑って、私たちに元気を分け与えてくれて...
今度は私の番だ。私が彼に...
*
走っていると、前方に走ってくる人影が見えた。
「あれは...陽大君?」
ちょうど赤になった信号を挟んで向かい合う。
「陽大君!!」
はぁはぁ
息を切らしながら呼びかける。
「星華さん...どうしてここに...?」
不思議そうな、けれど心なしかうれしそうな顔をして尋ねてくる。
「それは...それは、陽大君に会いたかったから!!!」
*
すごく恥ずかしい。
けれどこの思いは嘘じゃない。
会って話をしたかった。
励ましたかった。
信号が青になり、陽大君は顔を真っ赤にしている私をとりあえずカフェに連れて行ってくれた。
「誰に俺の家の場所を聞いたの?」
「ライ君に。陽大君がずっといない理由に心当たりがあるって言うからみんなに内緒で教えてもらったの。」
そして続ける。
「ライ君から家の事は聞いたよ。今、どんなことがあって陽大君が苦しんでいるのかわからないけど、私でよければ話を聞くよ?」
そういうと、陽大君は少しため息をついた。
そして、
「はあ。あいつ...少しくらい格好つけたかったのにさ。まあいいか。おかげで星華さんが来てくれたんだし。」
とつぶやいて
「それじゃあ俺の話を聞いてもらおうかな。」




