第三十三話
ライブは大盛況で幕を閉じた。
私たちのグループでも盛り上がったが、萌のグループも着実にステップアップしており、そこでまた一段とボルテージが上がった。
先輩たちのグループもやはり上手で私たちの成長の可能性を見せてくれる。
と言うわけで、ライブが終わりまた新しい曲の練習をしようかという時に事件は起きた。
*
「これで一週間連続か。」
「学校にも来てないんだよね?」
「うん...」
陽大君が部活に、そして学校に現れなくなってしまったのだ。
「どうしたんだろう...」
皆が心配そうな顔をしているところで嶺亜君が手をパンと叩いて、
「とりあえず今はやれることをやろうか。いないことは仕方ないから、今のうちに基礎をしっかり復習しよう。」
「そうだね!陽大君が戻ってきたら驚くようなふうにしよう!」
「そうだな。」
皆自分の練習へ向かって行く。
ただ、ライ君一人だけその場に残って何か考えている様子だ。
「どうしたの?ライ君。」
私が声をかけると、はっと気づいた様子で
「いや、何でもない。」
と言った。
「そういえばライ君は陽大君と高校より前から知り合いなんだよね?」
「ああ。俺は陽ちゃんと幼稚園からの知り合いだけど。それが何かあったか?」
「いや、ライ君なら陽大君がずっといない理由を知っているんじゃないかなって。」
先ほど考えていたのも多少思い当たることがあるからなのだろう。そう思って、思い切って尋ねてみると、
「...まあ、思い当たることもなくはないというか...」
「じゃあ、教えてくれない!?」
つい前のめりに聞いてしまう。
自分でもどうしてかわからないが、陽大君をのために行動を起こしたいという感情がわいてくる。
「まあ、星華さんならいっか。」
何か小声で言って、思い当たることの内容を話してくれた。