第三十一話
予定通り、約束していたメンバーが全員そろって文化祭を回る。
「みてみて!こっちにクレープ屋さんがあるって!」
「待って、このみ。デザートの前に三年生がやってる肉巻きおにぎりを食べに行こ。」
「俺はどら焼きが食いたいな。」
「陽ちゃんは昔から渋いのが好きだよね。」
「僕はハンバーガーを...」
どこから回るか話し合っているが意見が割れて紛糾している。
「星華はどこがいいと思う?」
「私?」
来夏に突然振られて驚く。
「確かに、星華ちゃんが選んだところならだれも文句言えないね!」
「「「「うむ。」」」」
「うーん、そうだな。」
文化祭のパンフレットを今一度眺めると、やはり面白そうな出店がたくさんだ。
その中で一つ、気になるお店を見つけた。
「じゃあ...」
*
十分後。私たちの姿はある二年生の出店の前にあった。
「まさか星華さんがこのようなお店を選ぶとは。」
少し意外そうな顔で陽大君がつぶやく。
私が選んだのは激辛ラーメンのお店だった。
「確かに星華は昔から辛い物好きだよな。インドカレーを食べに行った時も唐辛子のマークがたくさんついてるやつを平気な顔して食べてたし。」
「まあね。このお店はどのくらい辛いんだろう。」
早速注文してみる。
「いらっしゃい。ご注文は?」
ここには辛、超辛、ウルトラ辛があるらしい。
私はもちろんウルトラ辛を注文。来夏と陽大君は辛を選択し、他のメンバーは近くにいた見知らぬ挑戦者が辛さのあまり噴き出しているのを見てDNFを選択した。
「お嬢ちゃん、本当にいいのかい?」
頭にバンダナをまいただ男子生徒が念を押してくる。
「開発者たちでも食べることができなかったんだ。なんなら湯気に当たるだけで腫れそうになるんだが、あきらめるなら今だぞ。」
「いえ、大丈夫です。」
笑顔で答えた。
「そうか。じゃあこちらがウルトラ辛だ。グッドラック。」