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第三十話

 そして文化祭開幕の日がやって来た。


 各クラス、個性豊かな企画が開催されており、そこにいる生徒たちは非常に楽しそうである。


 そして星華は彼女のクラスであわただしく働いていた。



「次のお客さん、テーブルにお迎えして。」

「このドリンク、三番テーブルに!」

「お客さんが帰ります、お会計!」


 星華のクラスは前述のとおりメイド喫茶であり、星華を含め、サービスをしている全ての店員がメイド姿、もしくは執事のような恰好をしている。

 そこには学年トップクラス、いや、学園トップクラスの美形である陽大、このみ、そして星華がそろっており、そのコス姿を一目見ようと多くの客が集まっていた。


 長いスカートにかわいらしいフリルが施されたメイドに


「おかえりなさいませ、ご主人様。」


 と言われるだけで昇天しかけている男子生徒が数えきれないほど。



 一方で、タキシードを着て、ネクタイをびしっと占めた執事に


「おかえりなさい、お嬢様方。」


 と言われるだけで卒倒しかけている女子生徒も数えきれないほどいた。




 これはのちにわかることだが、この一年生によって催されたメイド喫茶は学年トップの売り上げ、さらに歴代を遡ってもまれにみる高い売り上げを記録したそうだ。



「やっとシフト終わったぁ。」


 メイド服から制服に更衣を済ませ、混雑している店内を出て、思わずつぶやく。

 それほどすごい数のお客さんが入っていたのだ。

 指名で呼び出されることも多々。本当に大変だったなぁ。


 ただ、もう今日はシフトがないのでここからは全力で楽しみに行くとしよう。


 そういうわけで、多くの人の声が響き渡る廊下を歩いてみんなとの集合場所へ向かう。

 集合場所である踊場へ行くと、私より早く更衣を済ませていた陽大君がいた。


「お疲れ様。」

「陽大君もお疲れ様。あの人気はすごかったね。」

「ほんとほんと。あれには参った。変なお客さんもたくさんいたし。」

「確かに。」


 写真を一緒に撮らせてくださいというお願いは序の口で、中にはいくつかのポーズを取らされたり、なかなか恥ずかしいセリフや香ばしいセリフを言わされるというものもあった。


「まあ、明日もあるけど、頑張っていこう。」

「うん...」

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