第二十九話
文化祭まで残り一週間。
学校全体に浮ついた空気が流れていた。
授業に集中しない生徒もいたが、先生たちも多少は許容してくれているようだ。
まあ、何人かは鬼畜で有名な生徒指導主任の説教を食らっていたが...
私も文化祭を来夏、このみ、陽大君、ライ君、嶺亜君、そして萌と回ることになり、非常に楽しみである。
そんな浮ついた学校全体の雰囲気と一線を画しているのがここ、音楽部の部室である。
本番で失敗しないように真剣な表情で最終調整をしていたり、あと少ししか練習ができないというのに大幅変更をしているグループがあったりと、ピりついた雰囲気が漂っていた。
そんな中、私たちはライブに向けて練習している曲が完成し、あとは細かい部分を詰めていくだけとなったということで、少し穏やかな空気が流れていた。
*
「今回もみんな喜んでくれるかな?」
そう心配そうにつぶやくと
「大丈夫だ。全体的に安定感が出てきたし、このクオリティーならライブは大盛り上がり間違いなしだろう。」
と来夏がフォローしてくれた。
さらに、来夏だけではなく、
「ほんとだよ!私は出てないけど、この前の大会で優勝したじゃん!」
「星華さん、少しくらいは驕っていいのに…」
と、言ってくれたり、大きくうなずいてくれたりと心強いばかりだ。
「それじゃあ...」
もう一回合わせようか、と言おうとしたとき
ピロロロロロ
「もしもし、はい。...はい。」
陽大君の電話が鳴り、流れで一旦解散となった。
一つ、気になったのは電話に出る陽大君の顔が心なしかこわばっているように見えたことだ。
何事も起こらなければよいけれど...
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