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第二十五.一話

 今回の歌は三人で主旋律を担当することにした。


 歌詞やリズムの調子に合わせてパートを分け、より魅力的に私たちの歌が響くようにしたのだ。


 デュエットならよくあるが三人でなら歌うということはそう多くなく、譜面を作ることに苦労したが完成してみると、かなり良いものができたはずだ。


 大会で入賞目指して研鑽を積んできた。先輩たちを超えることも不可能ではないと思う。


 いざ本番、頑張ろう。



「ワン、ツー、スリー...」


 小声でタイミングを合わせてイントロを奏でる。

 明るい曲調の歌ではないため盛り上げすぎず、ただ暗い雰囲気にしない。

 会場の雰囲気が程よいバランスで、いい走り出しだ。


 そして歌い出しを担当するのは...萌だ。


「消えたいと何度思ったでしょうか。死にたいと何度思ったでしょうか。」


 普段は明るい曲をよく歌っているためあまり知らなかったが、ダークネスな雰囲気も美しく歌い上げる。 

 このステージでも一発で観客をつかんだ。


「こんな苦しい世界をどうやって生きればよいでしょうか。」


 一緒に歌っているこちらの心もつかまれてしまいそうだ。


「分からないことばかりで嫌になってしまうわ。」


 ここで萌が下がって陽大君が前にでる。

 バトンタッチだ。


「どこまで進んでも光がみえない。暗闇でもがいても前に進めない。」


 陽大君は暗い歌の歌い方がわからず、色々調べたり先輩たちに聞いていたりしていた。

 努力の甲斐あって本人も納得する出来となった。まあ私からしたらどのような陽大君の歌も美しいように感じたのだが...


「生き方なんて誰も教えてくれないんだ。」


 暗い歌のコツは”心情を理解すること”と晴先輩に教わったそうだ。

 このコツを覚えてから彼の歌は深みが増した。


 より魅力的に聞こえて感動して涙を流しそうになったのは秘密だ。

 やはり萌も陽大君もどちらもレベルが高く、私たちのグループのレベルを底上げしてくれる。


 ここで再び萌の出番だ。


「ふと隣を見ると懸命にもがく君がいた。笑いかけてくれる君がいた。」


 サビに向かって曲調が上がっていく。


「どれほどつらくても笑みを絶やさない君のおかげでボクは一歩前に進むんだ。」


 リズムもアップテンポになりサビに突入していく。


 そして


 私の出番だ。

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