表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/80

第二十三話

 それからは特筆するようなこともなく、順調に大会に向けて練習が進んでいった。かなり譜面が面白いことになり、審査員の方々の評価を楽しみである。

 萌とも仲良くなり、夏休みに遊びに行こうという話が出るほどに打ち解けた。


 そして迎えた大会当日。


「おはよう。」

「おはよ。」


 会場に向かう途中の駅で陽大君にばったり会った。


「早いね。次の電車に乗っていったら集合の一時間前についちゃうよ?」

「私は迷いそうだから...まあ陽大君がいたら大丈夫だと思うけど。」


 正直迷子になる予感しかなかったので合流出来てありがたかった。


「そういう陽大君も早いね?」

「俺はなんとなく不安になってさ。早めに会場に行こうと思って。」

「ふうん。」


 彼ほど場慣れしてそうな人でも緊張するものなのだなぁと思ってしまう。


「今、意外に思ったでしょ。」

「う、うん。」


 内心をあてられて驚く。


「俺はさ、才能なんてないから。

 だから人より時間をかけて、一つ一つのことに真摯に向き合って、乗り越えていくしかないんだよ。これまでも、この先も。」


 陽大君の顔は真剣だった。

 目には強い力を宿している。


 だからこそ彼はきっと多くの人から慕われるのだろう。

 人より多く努力を重ねているから。


 そう思うといつも見ている横顔がより力強く見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ