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第十五話 閑話
さて、最近の私は部活で六月のライブに向けて練習をしつつ、帰ったら五月末にあるテストに向けて勉強をして過ごしている。
「星華、ご飯よ~。」
二階の自室で勉強をしてるところで、私の祖母が声をかける。
「はーい。」
返事をして階段を下りていくと、今日もおいしそうな夕飯が用意されていた。
「それじゃあ、「いただきます。」」
ご飯を食べながら祖母と会話をする。最近の部活がどうだとか友達がどうだとか本来ならば親とするような会話を。
私は両親と住んでいない。いや、住めていない。そのトラウマのせいでずっと歌うことができなかったが、最近そのトラウマも乗り越えることができた。
このことも祖母に報告すると、我がことのように喜んでくれた。その姿を見ていると私までうれしくなり、少し涙が出たのは内緒だ。
「やっぱり、私は星華と住めて幸せだね。」
というのは祖母の口癖だ。それでいて本当に幸せそうな顔をしているのだからむず痒いような気持ちになる。
「私、もっと頑張るから見ていてね。」
そうすれば、私が大好きだった両親も、きっといつかは戻ってきてくれるはず、だよね?