第十四話
「ようこそ、生徒会へ!歓迎するよ、陽大君と星華さん。」
まだ入ったわけでもないのにあたかも加入したかのように声をかけられる。
放課後、やってきた生徒会室は大きなテーブルと椅子が六つとパソコンなどの機器しかないシンプルな部屋だった。どちらかと言われれば会議室と言われた方がしっくりくるくらいに。
「いや~助かるよ、ほんと。正直仕事が終わらなさ過ぎて困ってたんだよ。」
麗英高校では生徒会に予算の四割の裁量権がある。ここから部費や新しい学校備品(緊急性が低いもの、嗜好的要素が強いもの)の予算が割り振られるわけで、そのため生徒会は常に、特に春は忙しいそうだ。
早速仕事が始まる。。
「それで、サッカー部は去年の成績から...」
予算に関する話し合いを晴先輩と岸君がしているので、時折気になったことを質問しながらそれをホワイトボードにまとめていく。
そして仕事をすること二時間。
「はぁ~ほとんど終わったね。ありがとう二人とも。おかげさまでいつもよりずっと早く進んだよ。」
「いえいえ、私は基本的にホワイトボードにメモをしていただけなので。」
「いや、それも十分立派な仕事だよ。いつもは二人で話しながら書くからどうしても進行に影響がね。」
だそうだ。
まあ、何はともあれ役に立てたのであればよかったとは思う。
*
「君らは生徒会に入るつもりはないかい?できれば今日みたいにまた働いてほしんだけど。」
「そこまで大変じゃないし、僕からもお願いします。」
さあ帰ろうと荷物を手に取った時にそう誘われた。
「部活に影響が出ない範囲で構わない。ただ、このまま二人でやっていくとなると正直厳しい。」
「でも、俺たちが生徒会に入って、特にいいことってあるんですか?俺は別に会長とか目指してないし。」
「そうだね。君らにとってのいいことか。勿論あるよ。例えば、生徒会から音楽部に予算を多少融通できるようになったりとか。」
予算を多少融通か...
「私」「俺」「「生徒会やります!!!」
こうして私と望月君は生徒会の一員となるのであった。