その77 お迎え
翌日の朝。
銀行強盗未遂事件について官憲からの取り調べを終えて、俺達は官憲の建物から外に出る。
「……疲れた」
「……そうですね」
俺のつぶやきにファラが同意する。
「つーか官憲の建物ってなんて言うんだろうな? 官憲署? 官憲事務所?」
「……はい?」
目の下にくまをつけながらファラが言葉を漏らす。何言ってんだこいつ? みたいな感じだ。
「……いや、悪い、疲れて自分でも何言ってんのか分からなくなってきてるなこりゃ」
「……はあ……」
ファラの隣では徹夜明けの変なテンションでファラ父が両手を広げていた。
「見ろみんな! 朝だぞ、太陽が眩しいなわっはっはっ」
うるせー。
俺の隣にいるレノはというと、盛大な欠伸をしながらすげー眠そうな声で。
「ふわあーあ、やだなー、このあとしごとだなんてー。あ、ゆーきゅーとってたんだったー」
なんか言い方変じゃね? 眠いから。
「やけにタイミングいいな。昨日の今日で有給とか」
「ジークがかかわることにきょーりょくすると、ろくなことになーないからねー」
最初からトラブル起きるのが前提だったのかよ。
ファラもおっさんに言っていた。
「お父さん、今日は無理せずに休んだ方がいいんじゃあ……」
「安心しなさい、今日は週末で、そもそも仕事は休みだ。レノ嬢のギルドは営業しているようだが」
おっさんのテンションがさっきよりも少し落ち着いているのは、やはり眠いからだろう。
つーか、いま気付いたが、あの強盗達、週末に合わせて銀行から盗もうとしてたのか。銀行も週末には人がいなくなるだろうから、犯行の発覚が遅れて、その間にどこか遠くに逃げる算段だったわけか……。
「ジークさん?」
「あ、いや、何でもない」
考えていた俺にファラが気掛かりに聞いてきたので、俺はそう答える。とにかく、いまは休んで体力を回復するのが先だな。
と思っていると、官憲事務所の門の前に、ぱからぱからと足音を立てながら一台の馬車が停まった。御者台から執事然とした中年の男が降りて、俺達……というかファラとおっさんに声を掛ける。
「旦那様にファラお嬢様、お迎えに上がりました」
ぺこりと一礼しながらの言葉。
ファラがおっさんに聞いた。
「お父さん、お迎え呼んでたんですか?」
「わっはっはっ、まさに。私の取り調べが終わった時に通信アイテムで呼んどいたのだ」
こっちもこっちで準備がいいな。どうせなら俺やレノも乗せてくれると助かるんだが。
と思っていたら、ファラがおっさんに聞いていた。
「ジークさん達も一緒でいいですよね?」
「いわずもがな。共に難関を乗り越えた仲だ。さあ行こう、我らの安息の地へ」
なんだその言い方。




