その67 ついに来たか
ファラが俺を見た。その顔は協力者を得られた嬉しさがにじんでいる。
『やりましたねジークさん』
そんな喜んだ内心の声も聞こえてきそうだった。
だがしかし、俺自体は真顔でファラにうなずきを返すだけで、その後に二人に言う。
「協力してくれるんなら、さっそくこれからのことを話し合おう。銀行強盗を退治する方法について」
「まったく、ファラちゃんのお父さんへの紹介やお昼ご飯はどうなるんだい?」
聞いてきたレノに答える。
「紹介は後、昼メシは話し合いながら食ってくれ。とにかく一分一秒が惜しい」
「ジークは相変わらずだなあ。まあ、いまはそうすることにするよ。さあじゃんじゃん話し合っておくれ」
「お前も参加するんだよ」
その後、用意された昼メシをレノがぱくぱくと食べる中、俺達は強盗退治について話し合い……今夜の作戦の方針が決定した。
そして夜。俺達はこの街で最大の規模を持つ銀行へとやってきていた。銀行の営業時間は既に過ぎ、明かりの消された暗闇の中、俺達は銀行の四方の植え込みや木立の陰に潜む。
『強盗共はまだ来てないみたいだね。姿も気配も全く見当たらないから』
耳に装着した小型の通信アイテムからレノの声が聞こえてくる。この作戦の為に用意した通信アイテムだ。
「油断はするなよ。作戦通り、奴らを見つけたら独断専行はせずに報告しろ」
『あいあいさー』
その銀行は街の中心へと至る大通りに面した場所に建てられており、大通りに面した側以外の三方には他の建物と区分するように植え込みや木立があった。
俺達四人の配置箇所としては、ファラが大通り側でファラ父が左側、レノが右側、そして俺が銀行の真後ろ側を担当している。
『それにしても、何時に襲撃するかくらい確かめとけよなー?』
待ち伏せているのが暇なのか、レノがちょくちょく話しかけてくる。緊張感ねえなとは思うが、こいつに緊張感がないということは、事態は深刻にはなっていないということでもある。
「仕方ねえだろ。奴らは喋らなかったし、喋るのを待つ余裕もなかったしな」
『ったくよー』
レノがやれやれと肩をすくめているのが目に見えるようだ。俺も肩をすくめたくなってくる。
そんな駄弁りのような会話をレノとしている時、不意に別の声が通信アイテムから入ってきた。大通り側を見張っていたファラの声だ。
『馬車が来ました。一台で、銀行の前に停車しています』
「……っ」
俺や通信アイテムの向こう側にいるレノとファラ父に緊張感が走る。ついに来たか……っ。




