その58 結構大胆な奴
……ふむ……。
「ジークさん……?」
「……ああ、いや、意外に思ってな。ファラには反対されると思ってたから」
「……私は、ジークさんのことを信じてますから」
「…………」
なんか、面と向かって言われると恥ずかしいな。照れ隠しというわけではないが、俺はポリポリと頬を指でかいてしまう。
「信じてもらってるところ悪いが、もしこれで調べても何もなかったらどうする? ただの俺の勘違いだったら?」
「その時はその時です」
「嗅ぎ回ってるのがバレたりしたら?」
「そしたら謝りましょう、二人で。処罰も受けましょう。ギルドを永久追放される時は一緒です」
ペロッ、ファラは悪戯っ子のように舌先をチラリと出した。
……実は結構大胆な奴かもしれないな、ファラは。
そうして俺達はいまの道を戻って、件の倉庫へと再びやってくる。他の倉庫の路地に隠れて、あの届け先の窓からこちらの姿が見えないように気を付けながら観察していく。
煉瓦造りの倉庫の壁面にはいくつかの窓が並んでいるが、そのいずれもが内側からカーテンを閉められていて中の様子は見えない。
二階の窓も同様にカーテンが閉めきられており、さらには頑丈な鉄格子も嵌められていた。一応周囲の倉庫を見渡してみたが、鉄格子まで嵌めているのはここだけだった。
「わざわざ嵌めたってことか? 鉄格子を?」
「用心深い方達なんですね」
俺とファラは小声で言う。余程大事な品物を扱っているのか、それとも……。
「絶対にバレたくない何かがあるってことなのか……」
「…………」
俺と同じように件の倉庫を観察していたファラが聞いてきた。
「これからどうするんですか? 先ほどは中の様子を探ると仰っていましたが」
「カーテンが掛かっていなければ、窓から覗いたんだけどな。あの様子じゃ全部の窓に掛かってるだろうし、窓から内部を窺うのは無理そうだな」
「ではどうやって……?」
「ふむ……」
俺は顎に手を当てて考える。状況的にもさながら探偵のようだが、俺自身はそこまで頭は回る方ではないと自覚している。
「……とりあえず、開いている窓がないか確認してみるか。開いてたら中に入って、開いてなかったから別の手を考えよう」
「窓を割って侵入するというのは?」
俺はファラを見た。こいつ、意外と肝が据わってんな。
「現時点では、まだ怪しいってだけでそれ以上のことは確定していないからな。出来れば俺達が嗅ぎ回っていたという証拠は残したくない。それに窓を割る時に音が出たら、気付かれる可能性もある」
「……そうですね……」
「とりあえず俺は右から回る。ファラは左から見てくれ。倉庫の裏側で合流しよう」
「分かりました」




