その48 またファラん家で
「そういや、ファラのランクをまだ聞いてなかったな。いくつなんだ?」
「あ、私はCランクです」
「なるほど、Cランクか……」
俺は顎に手を当てて考え込む。Cランクなら魔物討伐系のクエストが、普通なら妥当だが……ファラは今日が初クエストだからな……。
「あ、あの、ジークさん……?」
「ん、ああ、いや、何のクエストが妥当か考えていてな。とりあえずはサポートアイテムの素材収集や、荷物の運搬とかにしとくかな、と……」
「…………」
ファラは思惑ありげに俺を見てきた。
「どうした?」
「いえ……私に合ったクエストを選定してくれるのは素直に嬉しいんですけど……」
「けど?」
「それだと、報酬も少なくなりますよね。ジークさんにご迷惑が掛かるんじゃないかと思って……」
確かに、ランクの低いクエストでは報酬も少なく設定されていることがほとんどだ。下手をすると労力の方が大きく、割にあってない場合もあるっちゃある。
だがしかし。
「何言ってやがる、ファラは命が惜しくないのか?」
「え……?」
「報酬が少なけりゃ、数をこなせばいいだけだ。まあ、いまの俺は貯金が結構あるから、一時的に収入が減っても大丈夫だしな」
「…………」
「覚えとけ。クエストを受けるに当たって大事なのは報酬とかの見返りじゃあない。自分の実力に合っているかどうかだ。実力が足りないのに無茶なクエストを受けて、失敗したり死んだりしたら元も子もないんだからな」
「……あ……」
「自分の命を一番大事にすること。それがクエストを受ける上で、冒険者としてやっていく上で一番重要で大切なことだ」
「そ、そうですよね……」
「それにだな」
「…………?」
俺はニヤリとした顔をファラに見せた。まるで小説や漫画の悪役のように。
「もしも飯代が稼げなかったら、またファラん家で食わせてもらうさ。あの旨い料理をまた食いたいしな」
「…………っ⁉」
ファラは驚いたように目を丸くした。ふっふっふっ、ビビってやがるな、自分がクエストを頑張らなきゃ駄目男にいつまでも飯を奢ることになると恐怖したに違いない。
いや自分で駄目男って言うのは普通に精神的にダメージを喰らってはいるが。まあいまは無視しよう。
俺は再び前を向いて。
「分かったら、やる気を見せな。俺にいつまでも寄生されたくなかっ……」
「分かりましたっ。その時はまた私の家に来てくださいねっ。ジークさんが飢え死にしないように、美味しくて栄養満点の料理を用意しておきますからっ」
…………はい?
「いや、あの、ファラ? 俺が言いたいのはだな……」
「分かってますっ、ちゃんと私自身クエストを手を抜くことなく頑張りますっ。でも、それでもご飯代も稼げなかった時は私の家に来るということですよねっ」
うん……うん? んん?
「いや、あの、確かにそれで合ってる気はするんだが、なんかその、なんか違くねというか……」
「安心してくださいっ。ジークさんは私のパートナーで仲間で師匠でもありますからっ、こんなところで私のせいで死なせたりはしませんからっ」
なんか意気込むファラ。やる気を出してくれるのは良いことなんだが……。
「さあ行きましょうっ。クエストが私達を待っていますよっ」
なんか無駄にテンションを高くしてファラが先を歩いていく。
……なんか……思っていた反応と違くね……? 何故に?
「ジークさん、早くしないと置いていっちゃいますよっ」
ファラが振り返って手を上げてくる。
「わ、悪い……」
俺は慌てて彼女の後を追う。……どうしてこうなった?




