その46 待ち合わせ
「ジークとは頭の出来が違うんだなあ。私の脳味噌は筋肉で出来てないからさー」
自分の頭を人差し指でちょんちょんとしながらレノが言う。
「てめえはいつも一言余計なんだよ」
「なははー」
レノはご機嫌そうに笑い声を上げた。やっぱり酔ってんのか?
そうこうしているうちに店のドアが開けられて、数人の官憲が姿を見せる。官憲は気絶している男達を起こすと、青くなるそいつらを官憲事務所へと連行していった。
また二人くらいの官憲は店に残って、目撃していた客や店員から聞き込みをしていた。俺とレノのところにも来たが、
「ほ、他の方達と同じですぅ、私とっても怖くってここでずっと縮こまってましたぁ」
などとレノは猫を被っていた。官憲が別の客に話を聞きに行くと、レノは俺を見てぺろっと小さな舌先を出す。
「猫を被りやがって」
「やあやあ、忘れたかあ、私の名前はレノ、百獣の王の猫科動物をもじってるんだぞお」
「上手いこと言ってねえからな?」
それからレノは満腹になったらしく、俺達は店を出る。結局食ってたのはこいつだけで、俺はソフトドリンクを飲んだだけで終わったが。これで割り勘とか、全然割に合わねえ。
「可愛い女の子のお帰りだぞお、近くまで送ってけー」
「自分で可愛いとか言うなよ」
それにどうせ俺も途中まで同じ道だし。というわけで俺達は帰途についた。
「そういやあさ、結局ジークの新しいパートナーは誰なのさ?」
「お前本当はあんまり興味ないだろ。ずっと飯食うのに夢中でいまさら聞いてくるくらいだから」
レノは自分の頭に手を当てて笑い声を出す。
「なははー、で、誰?」
「もう明日でいいだろ。どうせ明日クエスト受けにギルドに行くから、その時で」
「ちぇー」
ふて腐れたような声を出してはいるが、レノはそれ以上聞いてはこなかった。まあ明日分かるんだしいっか、とでも思ったんだろう。
そうして俺達は帰途の途中でそれぞれの家の方へと別れて、ようやく俺は帰宅することが出来た。なんか……とにかく疲れた一日だった。
翌日。今日は午前にクエストに向かう為に、カフェの開店時刻くらいにその入口前でファラと待ち合わせの約束をしている。
待ち合わせ時間の少し前にカフェに到着すると、既にファラもいて、店の看板を出していたらしい店員と世間話をしていた。ファラが俺を見つけて声を掛けてくる。
「あ、ジークさん、おはようございます」
「はよ。先に来てたんだな?」
「はい。ジークさんを待たせたら悪いと思いまして」
「そうか」




