その41 まずは仲間から
俺は続けて言う。
「ギルドにしてみれば、ノースキルなのに高ランクの魔物を相手にさせて、重傷を負ったり死んだりしたら面倒なことになるんだろ」
責任問題とかな。
一般的な認識としては、ノースキルがスキル持ちより強いわけがないのだから。
あるいは……邪推するならば、ノースキルによる高ランクの獲得を危惧しているのかもしれない。前代未聞だろうし、色々と反発する奴らが出てくるかもしれないということで。
そこまで考えて、俺は頭をがりがりと掻いた。
「あー、いや、悪い、愚痴っぽくなっちまったな。せっかくのディナーなのに、これじゃあ飯がまずくなる」
「……いえ……ジークさんが思っていることが聞けましたし……それに」
「ん?」
思わずファラの方を見ると、彼女は気恥ずかしそうに。
「愚痴を言ってもらえるくらいの関係にはなれたんだな、って、思いまして……」
俺は首を傾げてしまう。
「はあ? 何言ってんだ? そりゃ一緒にパーティー組んだんだからそれくらい……」
当然だろう……そう言おうとして、思い留まる。代わりに口から出た言葉は。
「いや、何言ってんだってのは俺の方か。たったいま愚痴言ったのを反省したばかりなのにな」
「……? ジークさん……?」
「いや悪い、つまり俺が言いたいのはだな、これからはほとんど毎日のように一緒に行動することになるんだから、あんまり他人行儀な振る舞いはやめにしようってことだ。気の置けない仲間とか友人っていう感じでいいぜ」
いわば親友とか、そういう無二の存在になろう……そんな良い関係性を築こうというつもりで言ったのだが。
「……仲間……友人……」
何故かファラは少し気落ちしたような様子になった。……? 何でだ?
「あれ? ファラは俺と仲間とか友人になりたいつもりじゃ、ないのか……?」
ひょっとして、あくまで自分が冒険者として一人前になる為の協力者、あるいは師匠に近い相手だと思っていたのか?
いやまあ、それならそれで別にいいんだが。
そう思っていたら、ファラは慌てて手を振って否定した。
「い、いえ……っ! そういうつもりではなく……っ! そうですよねっ、友人や仲間っ、大事ですよねっ!」
「お、おう……?」
なんか知らんが、それで良かったらしい。俺に気を遣ったのだろうか。
そのファラはというと、再び自分の料理の皿に向き直ると、お嬢様らしく静静と食事を再開した。食を細くするように口に運んでいたのは、やはりお嬢様だからだろう。
「……まずは仲間から……はあ……」
聞き取れるかどうかという声でぼそりとつぶやいた気がしたが、たぶん気のせいかもしれない。




