その29 アイテムショップ
そうして俺達はカフェを出て、当座の目的であるアイテムショップへと向かっていった。
アイテムショップには色々な物が売っている。クリエイターが作ったサポートアイテムを始めとして、傷薬や薬草なんかも置いてある。
そのアイテムショップのドアを開けて中に入ると、カウンターの向こうから声が掛かった。
「らっしゃい! って何だ、怪力馬鹿のジークかよ」
言ってきたのはゴツい身体でスキンヘッドのおっさん。この店の店長だ。おっさんは窓から差し込む陽の光を頭で反射させながら、無遠慮に続けて言ってくる。
「聞いたぜ、また喧嘩したらしいな。相手は名士の貴族だとか。その前は別の貴族とも喧嘩したそうだし、よくもまあそんなに元気なもんだ」
「相手から吹っ掛けてきたんだ、不可抗力だ。いやまあ、一昨日の貴族の坊っちゃんは俺から吹っ掛けたか……」
「全く。頼むから俺の店では暴れんじゃねえぞ、マジで」
「ならそういう奴を店に入れんじゃねえぞ」
「だったら出てけよ、おまえが」
「なんで俺が⁉」
おっさんはシッシッと手を振りながら。
「てめえが一番の厄介者だからだよ」
「それが客に対する態度かよ! まだこの店では何もやってねえだろ!」
「てめえが店に入れんなって言ったんだろが」
「俺以外の奴だよ! 分かんだろ!」
「ならそう言え」
俺とおっさんがそんな不毛な言い合いをしていると、俺の後ろで棒立ちになっていたファラがおずおずと手を上げながら声を出した。
「あ、あのー、もうその辺で口喧嘩はやめませんか? 他のお客様もびっくりしていますし……」
「気にすんなファラ。このおっさんとの言い合いは日常茶飯事みたいなもんだから」
「は、はあ……」
そこでおっさんが心底びっくりした声を出した。
「お、おお⁉ なんでてめえがそんな可愛こちゃんと一緒にいるんだよ⁉」
可愛こちゃんて……言い方が古いな、おい。
「色々あってな、一緒に冒険することになったんだ。ほら、ファラも挨拶しとけ」
「は、はい」
俺に促されて、ファラがおっさんに軽く頭を下げながら。
「ファラと申します。この度ジークさんと一緒に冒険をさせていただくことになりました。よろしくお願いします」
「これはこれはご丁寧にどうも、俺はキンスっていうもんだ。まあなんだ、アイテムが入り用だったら是非これからも来てくれや」
「は、はい、分かり……」
そこで俺は口を挟んでファラに言う。
「おっと。リピーター獲得の為の営業トークに馬鹿正直に返事する必要はねえぞ。この街には探せば他にもアイテムショップがあるだろうからな。さっきも言ったが、自分で判断しろよ」
「は、はあ……」
俺の頭に小袋が当たる。おっさんが投げてきたものだった。
「あいたっ」
「俺の前で、んなこと言ってんじゃねえ! 空気が読めねえのかてめーは!」
「はっ、空気を読んでたら冒険者なんか務まらねえよ!」
「てめえだけだろ! これだから怪力馬鹿は嫌なんだ」
おめーだって筋肉ゴリゴリじゃねえか。




