その25 どうしてそうなる⁉
その後、おっさんは何故か俺の隣の席に座っていた。ファラとウエイトレスはきょとんとしていて、もちろん俺も疑問に思っていた。
「おい、何で隣に座ってんだよ。さっさとあの子供と親に謝りに行けよ。一応名前と家の場所は聞いといたからよ」
後でちゃんと本人に謝罪と慰謝料を払わせるからと説得して、聞いといたのだ。
だがおっさんは真面目な顔で前を向いたまま言った。
「行くさ。だがその前に君に……ジークに話しておくことがあってね」
なんか呼び捨てになってんだが?
「まず一つ目だが」
「何個もあるのかよ」
「君は本当にノースキルなのか? あれだけの体術をスキルなしで行使出来るとは、到底思えない」
「んなこと言われてもな。実際に筋トレしかしてねえし」
「…………」
未だに信じていないらしい、疑わしい目で見てきやがる。仕方がないので、俺は言い訳をするように言った。
「俺はガキん時に受けるスキル鑑定で、ノースキルだって診断されたんだ」
ノースキル自体は、この国の人間でも一定割合で存在している。先天的にスキルを持たずに生まれてくるわけだが、その原因は不明とされている。
「それを馬鹿にしてくる奴がいてな。そういう奴らを見返す為に、俺は筋トレを始めたんだ。で、気付いたらこんなふうになってたってわけさ」
「……それにしては、外見的には筋骨隆々というようには見えないな。どこにでもいるような普通の若者にしか見えない」
「んなこと言われても、俺が知るかよ。実際にこうなんだから仕方がねえ」
「…………」
おっさんは納得しているふうではなかったが、それ以上これに関しては言ってこなかった。代わりに別のことを話し始める。
「二つ目についてだが、むしろこっちが本題になる」
「ならそれで話は終わりになるな?」
「先の戦いでジークの実力は充分分かった。ノースキルというのは気になるが、負けた私が口答えするわけにもいくまい」
ん? なんか話の方向が怪しくなって……?
「約束通り、君に私の可愛い娘と共に冒険することを許可しよう」
…………、……は?
俺は思わず立ち上がっていた。
「待て待て待て待て⁉ どうしてそうなる⁉」
「戦う前に言わなかったか? 娘と一緒にいたいなら私に勝てと」
「いや、それは、ぐ……言ってたような聞きたくなかったような……」
「そして君は見事私に勝った。それも一撃KOで。それまで君がファラの父である私に遠慮して、手加減していたのはまあこの際目を瞑ろう」
「瞑るな! そして同行に反対しろ!」
くそっ! こうなりたくなかったから戦いから逃げようとしたのによ! 思わずキレちまったのは不覚だった!




