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116/138

その116 バシャンッ


「何もいませんね」

「ああ」

「結局、ジークさんとマイが戦ったコアトルだけがいたということですかね? ひょんなことから迷い込んだとかで……」

「…………」


 断定は出来ないが、そうかもな、いや、そうだといいんだがな。俺がそう思っていると、ファラはふと思い出したというようにつぶやいた。


「……下水道に潜むもの……」

「ん……?」


 何のことだと俺が顔を向けると、ファラも俺の視線に気付いたように。


「あ、いえ、母がよく読んでいる本にそういうことが書いてあったんです」

「そういや、マイから聞いたがファラの母さんはオカルトが好きだったっけか」

「お恥ずかしいことに……」


 昨夜、マイが買っていた本が、確かそういう本だった。ファラの母がそういうのが好きで、新刊が出たから買いに来たと。


「俺はそういうのには疎いんだが、あるのか? 下水道にまつわるオカルト話が?」

「いや、その、私も母から聞いたことがあるくらいなんですけど……」

「話してみてくれないか。まあ、今回の件には関係ないかもしれないが、一応な」

「はあ……」


 周囲への警戒も怠らないように注意しつつ、ファラは話し始め、俺は耳を傾ける。


「『下水道に潜むもの』っていう話があるんです。大型の人喰いワニとか、突然変異で巨大化したネズミとか、あとは……人と同じ見た目をしているけれど、人ではない『ナニカ』、とか……」


 人ではない何か……。


「魔物とは違うのか? 長年生きたドラゴンとかランクの高い魔物なら、擬人化の能力があるが……」

「私としては、そうかもしれないと思うんですけど……母が言うには、似て非なるモノだと……。それらは魔物ではなくて、『都市伝説』が生み出した異形の存在だと言っていました」


 俺は頭に疑問符を浮かべる。


「どう違うんだ?」

「あ、いえ、私にもそこまでは……母に聞けば、詳しく教えてもらえるかもしれませんけど……」


 困ったようにファラは答える。ファラ自身、母親から話を聞いただけだから、詳しいことは知らないということだ。


「魔物によく似た都市伝説の怪物、ね……」


 都市伝説という言葉は聞いたことがある。いわゆる昔あった怪談とか怖いうわさ話が、現代風に形を変えたもの……らしい。俺も詳しいことは分からないのだが。

 しかし、都市伝説と魔物、果たして両者に明確な違いはあるのだろうか? 個人的には、魔物が起こした事件や不可思議現象が、事情を知らない第三者によってオカルトや都市伝説だとされたのではないか……と思っているのだが。


 バシャンッ。

 ん……?



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