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その112 普通あり得ない


 レノが続けて言う。


「そぅ渋んなよぉ、報酬は弾むよーに上に掛け合っておくからさ。もし本当に魔物が巣くってたり、コアトル以上の奴らがわんさかいたらこの街の一大事だからねー」

「言い方が軽いんだよ。街の一大事かもしれねえことを俺達に頼むな」


 俺はノースキルで、ファラはまだ駆け出しなんだぞ。もっと高ランクの奴らに依頼しやがれ。


「ちっちっちっ」


 レノは人差し指を左右に振った。気取るな。


「これでもわたしゃー、二人のこと買ってんだぜー。わたしゃとファラちゃんのとーちゃんの助力があったとはいえ、この前の銀行強盗を見事撃退したしさ」


 ファラ父をとーちゃん呼ばわり出来るのはお前くらいだよ。


「特に、ジークは覚醒スキル持ちを倒したんだろ。普通あり得ないんだぜぇ、ノースキルが覚醒持ちに勝っちまうなんて番狂わせはさ」

「あれは……運が良かっただけだ。奴のスキルがギャンブル性のあるスキルで、偶然比較的弱いスキル技が出たからで……」

「のんのん」


 レノはまた人差し指を横に振った。そしていままでのひょうひょうとした態度から、真面目な顔付きになる。組んでいた足も解いて、顔を近付けるように。


「覚醒スキル持ちとの戦いに、運が良かったから勝てた、なんてもんはあり得ない。ジークも分かってんだろ」

「…………」


 そばで話を聞いていたファラがごくりと喉を動かす。レノの変化した雰囲気に圧されたのか、覚醒スキルとの戦いを想像したからか。

 レノは依然真面目な顔で続ける。この部分だけ見たら、マジでどっかの大物パーティーのボスみたいな迫力があるな。


「一対一なら、なおさらだ。相手だって、自分の覚醒スキルがギャンブル性のあることを考慮した上で、その時出来る最適かつ最高で最上のパフォーマンスを発揮したはずなんだからね」

「…………」

「話を聞いた限りだけではあるけど、果たしてその覚醒スキル持ちに私も勝てたかと聞かれたら……正直、難易度は滅茶苦茶高かっただろうね。『装備創造』に『サーヴァント召喚』、『ステータス強化』、おまけにもう一つ、出す前に倒したみたいだけど何かあったんだろう?」

「……『ハート』の能力だな……」

「そうそれ」


 あいつの覚醒スキルはトランプをモチーフにしていた。スキル名も『神経、衰弱』だったし。

 剣を創造した『スペード』、盾を作った『ダイヤ』、身体能力を強化した『クラブ』、絵札に描かれた人物画が実体化した『サーヴァント召喚』……そして出されることがなかった『ハート』の能力……。

 『ハート』の能力次第ではあるが、もし使われていたら本当に勝てていたか分からない。



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