第7話 勉強会を理由にすれば美少女を家に呼ぶことも許されるはず
読んで頂きありがとうございます!
「蒼真くん!今週末にウチで勉強会しない?今度のテスト赤点だと夏休み補習だしさー。ね、お願いっ!」
沙那ちゃんの家に行ける……だと……!?なんて羨ましいんだ。
「えーと……家はちょっと……」
「図書館とか他の人も居て落ち着かないじゃん?」
人の目があると出来ないような事もするつもりなのか!?ちくしょう!なんで蒼真くんなんだ、俺じゃダメなのか!?
「勉強会したいんだって?私の家で良ければ来る?沙那ちゃんさえ良ければだけど」
「雪村……そうだな雪村の家ならいいが」
なんで蒼真くんが答えているんだ?俺は沙那ちゃんと2人だけで秘密の勉強会をする予定なんだが。
「ちぇっ、しゃーない。休みの日に会えるだけでもラッキーか……分かった。零の家でやろ」
沙那ちゃん俺と二人きりじゃないからか残念そうだな。そんなに俺と二人きりになりたかったのか!
「沙那ちゃん安心して。蒼真くんには2時間遅い時間を伝えよう。今週末は親居ないから2人きりだよ」
「ぴっ!?その謎の2時間で何するつもり!?怖い!美佳!ヘルプ!へるぷ!美佳も勉強会来て!」
「聞こえてるから……でも女3人で男1人ってどうなの?」
俺は女の子だけで全然いいのだが……
「え、えーと……じゃあ相沢くんも誘お!相沢くん!今週末、零の家で勉強会やるんだけど来てくれない?」
「えっ!零さんの家!?行くよ!」
ちっ……邪魔者が増えたか……だが男連中が来る前にイチャコラしてやる。
「相沢くん早くない?」
待ちに待った週末。何故か女子達に伝えていた時間に相沢くんが来た。
「古谷さんが時間変わったって教えてくれたよ?」
そんなに俺と2人きりになりたくなかったのか……
「おっ、よかった~。丁度相沢くんも来たとこ?」
沙那ちゃんと美佳ちゃんも来てくれてよかったが、相沢くんを早い時間に呼んだのは解せぬ。まぁ、こんなに可愛い子が二人も家に来てくれるだけで幸せか。
「ほら、皆上がって。親いないから気使わなくていいから」
3人を自室に通してから、お茶菓子を準備する為に俺はリビングへと向かった。
ーーーーー
「どーれ、せっかく来たし零の秘蔵のお宝でも探しますか!」
「いいね、最近男にグイグイ行かずに、すました顔してるけど流石にエロ本は持ってるでしょ」
「ちょっ……やめてあげてよ……」
相沢くんが止めようとしてくるが、相沢くん自身も雪村がどんな性癖なのか気になっているのが、手に取るように分かる。クソ……相沢くんから好かれるなんて羨ましいヤツめ。
沙那と一緒にベッドの下や棚の裏を見るが全然それらしき物が見つからない。というか物が全然ない。趣味とかないのか?あるのなんてベッド、勉強机、本棚……ん?
「沙那……これ……」
「どしたん……?ヒェッ」
そこには隠す気なんて一切ない。際どい表紙の百合本が数冊たててあった。BL本は結構メジャーだけど百合を読む女が居るとは……
「美佳……見なかったことにしない?」
「ええ。私たちは何も見なかった」
「古谷さん、北山さん、なんかあったの?」
相沢くんが覗き込んできたが、これを見せていいものだろうか。
「お待たせー。オレンジジュースでよかったかな?」
丁度雪村が戻ってきたので相沢くんが追求を諦めて、雪村から飲み物を受け取る。
「あっ、そうだ。勉強する前にオススメしたいやつがあったんだった」
雪村がおもむろに呟くと、本棚から2冊の本を持ってきて、沙那と私に手渡してきた。
「美少女ギャルと陰キャな私の放課後密会……」
沙那が手渡された本の題名を震えた声で読み上げた。私も本に目を落とすと、そこには「私だけに懐いたツンデレちゃんが最高すぎる」というおぞましい題名が記されていた。
「作品に触れることで百合への抵抗感も無くなるかなって」
怖い怖い怖い怖い。え?なんで照れた笑顔浮かべてんの?ていうか渡してくるなよ。隠せよ!
「ごめん……零……あたしが悪かったから帰らせて……」
沙那なんてもう泣きそうである。
「え?沙那ちゃんは何も悪くないよ。まぁ本は持って帰ってくれていいからさ。勉強会しよっか」
沙那は逃げ出した!
しかし回り込まれてしまった!
その時不意にチャイムの音が家の中に響いた。
「蒼真くんかな、ちょっと出てくる」
束の間の安寧が私たちにもたらされたのだった。
ーーーーー
「ふぅーー。よし」
初めてだな、女子の家に来るのって。他にも何人かいるから二人きりではないが、それでも気になる女子の家に入るというのは緊張する。
初めて作ったマフィンを入れた袋を片手に、深呼吸してからチャイムを押す。
「この前の傘のお礼に作ったから食べて欲しい……いや、良かったら食べてくれ……要らなかったら捨てていいから……なんて言って渡すか考えてくればよかった」
思考を巡らせていると時間というのは一瞬である。雪村がドアを開けて出てきた。
「いらっしゃい。皆もう来てるよ」
私服もいいな……オーバーサイズの服が、いつもの制服のキチッとしたイメージとは違い、新たな一面が見えてくる気がした。
「雪村……これ……」
やばい、雪村を前にしたらなんて言うか飛んだ……
「くれるの?マフィンだ。ありがと!」
以前、相沢がお菓子を受け取って貰えるか不安がっていて、その時は分からなかったが今なら相沢の気持ちがよく分かる。
正直、初めて作ったし見栄えはお世辞にも良いとは言えない。何度も作り直したがこれが1番マシだった。だけど雪村は屈託のない笑顔で受け取ってくれた。
ーーーーー
蒼真くんの分の飲み物も準備する為にリビングに1人で向かい、先程貰ったマフィンを開ける。てっきりみんなで食べる用に買ってきてくれたのかと思って皆にそのまま出そうかとしたが、2つしか入ってなかった。
「上から見た時は気づかなかったけど、これもしかして手作り……?」
また男からの手作りお菓子……いや、嬉しいよ?わざわざ作ってくれるのは。でもさ、そろそろ女の子から貰ってもいいと思わない?なんで男ばっかりくれるんだよ……
紙袋の中にマフィンを戻して、飲み物を持って部屋に向かった。女の子達は男と仲良くなろうと奮闘中だろうと思っていたのだが、沙那ちゃんも美佳ちゃんも一心不乱に勉強している。蒼真くんと相沢くんはお互いに教えあったりしているようだ。
「沙那ちゃんどこか分からないとこない?今回のテスト範囲は勉強終わったから教えれると思うよ」
「ないかな!!!」
「美佳ちゃんは……」
「私も大丈夫だから!」
なんで勉強会しようって言ってたんだ……?まぁ美少女2人が家に来てくれたからいいけどさ。
「ごめん、零さん。ここ教えて貰ってもいい?」
はぁ……しょうがない。女子二人は集中してるし男二人に教えるか……
「ここはね……」
それから3時間ほど勉強して解散することになった。
「月曜日本の感想教えてね」
「ご、ごっめーん!テスト勉強で忙しいから、とりあえず本棚戻してくね!」
「私も……」
凄い勢いで本を戻したあと帰っていってしまった。百合本で抵抗感を無くす作戦だったのだがダメだったか……
「僕達も帰るね」
「雪村、今日は助かった」
はぁ……百合本も返されたし女の子同士のイチャイチャも出来なかった。
落ち込んでいると小走りで蒼真くんが戻ってきた。忘れ物かな?
「雪村……その……服似合ってる……」
「え……?ありがとう……?」
そういうのは出来れば、女の子達から言われたかったな……