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第2話 めちゃかわギャルから泊まり旅行に誘われるとは許せん!

読んで頂きありがとうございます!



ハーレムの阻止に成功した俺は予定通り大衆向けの服屋へ行き、マネキンに着せてあった良さげな服を購入した。


少しだけお金が余ったので母さんへのお礼にケーキも買った。後から気が付いたが、このお金は母さんの物だから余った分返せばよかったと後悔するが買ってしまったものはしょうがない。


「ただいま」


「おかえりなさい。あらっ、いい感じじゃない!髪型似合ってるわよ。服はいいの買えた?」


家に帰ると母さんが出迎えてくれた。こうして誰かが出迎えてくれるのはいいな。前の世界では両親が共働きであまり家族団欒の時間がなかったからな。


「うん、丁度セールやってていいの買えたよ。そうだ、コレお土産」


「私に……?」


「って言っても元々母さんに貰ったお金だけどね、良かったら食べてよ」


俺がケーキを渡すと母さんが驚いたような表情をしていたから不思議に思ってどうしたのって問いかけてみると母さんは泣き出してしまった。


「どっ、どうしたの!?」


「ごめんなさい、零が優しい子に育ってくれたのが嬉しくて……最近あまり私と話してくれなかったでしょう?反抗期なんだからしょうがないって思ってたけど、やっぱり寂しくて」


この身体の元の持ち主は絶賛反抗期中だったのか……こんなに綺麗な母親に冷たい態度をとっていたとは許せんな。


「それにこの前、部屋を掃除してたら棚の後ろから出てきたエッチなゲームを机の上に置いといたら、零ったら凄く怒ったじゃない?」


何処の世界でも母親はエロゲ、エロ本を机の上に置くらしい。元の零よ……しっかり隠しておけ。


「あはは……あとで売ってくるよ」


「売らなくていいわよ!命より大切な宝物って言ってたじゃない!」


こいつはどんだけエロコンテンツに命掛けてたんだよ!悪いが部屋に置いておくのは嫌すぎるから売るぞ……


「いや、本当にいらないから」


泣いている母さんをなだめて、落ち着いたみたいなので自室へと戻った。スマホで曜日を見ると今日は日曜日で、壁に制服がかかっていることから、高校生なのだと分かった。つまり明日は学校に行かなければならないだろう。


「でも何処の高校かも分からないし、クラスも席も知らないな」


どうしたものかと悩んでいるとスマホにメッセージが来た。


安藤なつ『 ごめん!明日ちょっと遅れるかも!』


安藤なつ……友達か?明日遅れるって何に遅れるんだ?


『 何が?』


安藤なつ『 何がって、いつも一緒に学校行ってたじゃん、零のお母さんから頼まれて電車で男の人触ったりしないように見張り役としてね!』


ええ……元の零は結構ヤバい奴だったのか。母親から痴漢予備軍として扱われてるし。


『 ごめん、そうだったね、明日もよろしく。どこで待ち合わせてたんだっけ』


安藤なつ『 いつも通り零の家に寄ってくよ』


ありがとうのスタンプを返してスマホを閉じた。学校の諸々は安藤なつに聞けば大丈夫そうだ。安藤なつはどんな人なのだろうか、毎朝一緒に登校してくれるって脈アリなんじゃないか?


男から女になって彼女が出来ないと嘆いていたが、寧ろ同性だからこそ近い距離感で女の子と仲良く出来るのではないだろうか!


俺は明日を楽しみにしながら眠りについた。




6時半のアラームで目が覚める。何時に家を出ればいいのか聞き忘れたため早めに支度を済まさなければ。


支度を終えて家の前で数分待った頃、茶髪をサイドテールにした可愛らしい女の子がこちらに歩いてきた。


「零……だよね?随分雰囲気変わったね、いいじゃん!似合ってる!」


おぉ、変化に気づいて褒めてくれる彼氏ムーブ……もしかして既に付き合っていたのか!


「その見た目なら性格さえ直せば1%くらいの確率で彼氏も出来るよ!たぶん……きっと……おそらく……」


「褒めてるのかと思ったら貶されてるのか……これ……」


「いやぁ、だってクラスの男子からは印象悪いだろうし、下ネタ、セクハラよく言ってたじゃん」


元の零!!えろガキだったのかよ!!まあ彼氏なんて要らないから出来なくていいんだけどさ……


「まあいっか、そろそろ行こ」


俺はなつについて行くことで学校とクラスを知った。不自然だったかも知れないが席も聞いて、なんとか懸念していたポイントはクリア出来た。


ある程度生徒が登校してきて席が埋まってきたので辺りを見渡すと元の世界よりもレベルの高い女の子が多くて、なんだか緊張してしまう。男女の数は男4人、女20人って所か、チッ、男4人くっついて某落ちモノパズルみたいに消えてくれないかな。


辺りを見ていると隣の席の男と目があった。


「おまえ、今日セクハラしてきたらガチで警察呼ぶからな」


どうやらなつが朝に言っていたのはホントだったようだ。めちゃくちゃ警戒されてる。


「しないよ。迷惑かけて悪かったね」


俺の返答が予想外なものだったのか知らないが隣の男は「お、おう」と困惑気味に返してきた。


「いつものキモイ喋り方辞めたのか」


もしかして元の零ってキモい喋り方でセクハラ紛いのことをやってたのか……周りからの評価の低さにこの先の不安が募る。


「蒼真くん!今度泊まりでここに旅行行かない?」


「古谷さん、あー……泊まりはちょっと……」


「大丈夫、大丈夫!仲良いメンバーで行くから変なことしないって」


俺の目の前でめちゃかわギャルから泊まり旅行誘われているクソ野郎がいるな。昨日のナンパといいなんて羨ましい奴らなんだ。


「俺の親もダメって言うんじゃないかな」


「てきとーに男友達の家泊まるとか言えば大丈夫っしょ!」


くそ……このままだとギャル系女子高生を複数人侍らす受け身男子とかいう腹立たしいことになってしまう!


「蒼真くんとやらも乗り気じゃ無さそうだしさ、代わりに私と旅行行こ」


「はぁ?何が悲しくて零と行かなきゃなんないのよ」


俺は立ち上がり耳元で囁いた。


「私なら2人きりで全然おーけーだよ」


バッと音がしそうな程の勢いで古谷さんが後ろに飛び退いた。


「正気か……!?」


「本気だよ」


「は、はは!そういえばこの旅館潰れたんだった!うっかりうっかり!じゃあね蒼真くん!」


可愛いギャルとの二人旅行はダメらしい。女2人旅行とか前の世界じゃざらにあったから行けるかと思ったけど旅館が潰れて閉まったのならしかない。


「雪村……さん、ありがとうな、正直困ってたから助かった」


そういえば俺の苗字は雪村だった。前とは異なる苗字だったから一瞬別な人に言ってんのかと思った。


「どっちにしろ古谷さんが行きたかった旅館潰れてたってよ、あー残念残念」


特徴のない陰キャの俺がクラスの美少女ギャルに好かれています!とか許さねえよ?俺の目の黒いうちはフラグ全部叩き折ってやる……


「なんか……変わったな。今までオドオドしてるし下ネタ言うしで苦手だったけど、今日はハキハキ喋るしと落ち着いていて話しやすいし、セクハラもしてこないじゃん」


「そう?」


俺が蒼真くんと話していると不意に前から声を掛けられた。


「昨日助けてくれたのって雪村だったんだ……見た目変わりすぎてて全然気づかなかった……」


おや、昨日俺がハーレム化を阻止した平凡男子くんじゃないか。なんだ?報復か?


「昨日は本当にありがとう、あと助けてくれたのに近づくなとか言ってごめん」


「ん?別に気にしてないけど」


なるほどお礼に見せかけて、昨日の仕打ち忘れてねぇからな?っていうことか。


「どういう事だ?」


「あっ、蒼真くん。昨日僕がナンパにあって困ってる時に雪村さんが助けてくれたんだ」


平凡男子くんが蒼真くんに昨日のことを事細かに説明してる。情報を共有することで俺にフラグを折られないように対策するつもりだな?ハーレム願望の男共め!


「そうだ、雪村さん、昨日のお礼に何か奢らせてよ。新しくオープンしたクレープ屋なんてどうかな?」


何が目的だ平凡男子くん!まさか……俺すらもハーレムの一員に加えようと企んでいるのか!?


「お礼されるようなことしてないから」


「えっ、いやでも」


「じゃあ代わりにそこの蒼真くんと行ってきなよ」


あわよくば二人合わさって消えてくれないだろうか?


ここで始業のチャイムがなり各々席に戻って行った。すると隣の席だった、蒼真くんが小声で話しかけてくる。


「相沢と行かなくてよかったのか?」


流れからいくと平凡男子くんは相沢というらしい。それにしても何が悲しくて男と2人で帰らなきゃならんのだ。


「そのために行動した訳じゃない」


「そっか」


蒼真くんは納得した表情で前を向き授業を聴き始めた。



高校を卒業してから2年経ってたから久しぶりに授業を受けたがきっついなこれ……早く帰って古本屋にえろ本とか売りに行こう……


授業が終わった俺は大きく伸びをして足早に帰路についた。


ーーーーー


「本当に帰っちゃった……」


男から誘われて断る女子なんていないと思っていた相沢が呆然としていたので肩に手を置いて教えてやった。


「そのために行動した訳じゃない、だってさ」


「かっこいいな……他の女子なら引くレベルでグイグイくるのに」


今までの雪村なら他の女子と同じかそれ以上に食いついていたと思う。だけど今日のあいつは落ち着いた雰囲気で、こっちを特別視しない自然な感じで振舞っていた。


「せっかくだし2人で行くか」


「そうだね、断られちゃったし」



しかしこの後会話を聞いていたクラスの女子から付き纏われて、より一層零の態度への評価が上がった二人だった。




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