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赫翼のドラゴンガール  作者: 豹上レオハ
5/5

4.新しい出会い ロズ!

あの後ロッソと共に城下町を回り、

荷物を取って戻ってはきたが、

アズールが物凄い笑顔でロッソを待っていた。


「… ロッソ。いけませんねぇ…

王たる者、責務から逃れては…」


「……はい。」


「分かればいいのです。さあ、お仕事しましょう。終わるまで逃しませんのでそのつもりで。」


「…はい。」


「さて、ルージュはそのまま厨房へお願いします。コハクさんがお手伝いをして欲しいそうです。場所は分かりますね?」


「は、はい…。」


ロッソに向けていた怒りの笑顔とは

裏腹にルージュへは優しい笑顔で声をかける。


「では宜しくお願いします。

さ、行きますよ。ロッソ。」


「ああ…ルー、また後でな。」


「う、うん。またね。」


ロッソはアズールに連れられて

とぼとぼと歩いて行った。


「…アズールさんも兄さんも大変なんだね…」


アズールに言われたよう厨房に向かう。


昼前と同じく食堂に近づくにつれて

美味しそうな匂いが漂ってくる。


食堂に入ると夕飯時にはやや早いが

誰かが食事をしていた。

コハクも同席している様子。


「あれ、ルーちゃんだ。どうしたの?」


「およ?見ない顔っすね。新人さんっすか?」


「そうなの。今日からうちの子になった

ルージュちゃんだよ。」


「は、はじめまして!ルージュです!」


「おお、元気いっぱいっすねぇ。

いいことっすよ。あ、うちはロズっす!

よろしく!ルージュちゃん!」


「…ロズ?」


どこかで聞いた名前。


「お?うちのこと知ってるっすか?」


「あー…実は…」


かくかくしかじか。

模擬戦をやることになったと伝える。


「…なるほどっすね。いいっすよ!

うちで良ければぜひお相手させて貰うっす!」


「へぇー、2人で模擬戦かー。いいねぇ。」


「はい。あれ?でも、ロズさんは5日後に帰ってくるってアズールさんが…」


「ぶふっ!!」


もぐもぐと食事をしていたロズが吹き出す。


「…ロズ〜?」


「いやぁ…はは…」


「また早抜けしたのね?」


ぷるぷると震えるロズ


「だって仕方なかったんすよ!

野営のご飯は飽きたっす!

はやく帰ってコハクさんの美味しいご飯

食べたかったんすよ!」


「…もう、しょうがないんだから…」


などと言いつつ、ピンッとロズにデコピンする。


「でも、ダメなことはダメ。

ルーちゃん。アズールちゃん呼んできてくれる?」


「あー…アズールさんなら…」


ルージュは先刻、ロッソと城下町に行ってきたことと、実は仕事を抜け出していたことを

話した。


「それでアズールさんすごい剣幕で…」


「ロッソったらまたアズールちゃん怒らせたのね…」


「あーあ…」


「ロズ?次はあなたの番だからね?」


「……えぇ…やだぁ…」


「勝手に抜け出した貴方が悪いでしょ?」


もう一度ロズのおでこを弾く。


ここでルージュはコハクに対する認識を

改めた。


(コハクさんって何でも許してくれそうな感じの人だけどダメなことはダメってちゃんと

叱ってくれる人なんだ。)


「ルーちゃんも。途中で勝手に抜け出したりしないようにね。」


「はい。」


「抜け出したくなったらちゃんと言ってくれないとダメだよ?」


(あ、そんなことないかも。)


「じゃあうちも言ってから抜け出してくれば

良かったんすね。」


「いや、貴方は大事なお仕事なんだから

ちゃんと最後まで全うしなきゃダメだよ?」


「なんでうちだけ!!」


「なんでって…抜け出してきたのこれで

何回目?」


「……っ…すーっ…すみませんでした。」


「分かればいいの。今回は許してあげる。

次抜けだしてきたらほんとにアズールちゃんに突き出すからね?」


(アズールさんってどんな風に思われてるんだろ?優しい人だと思うけどなぁ)


と、その時である。

食堂の扉が開いて


「コハクさん。少しお話が……」


アズールがやってきた。


「「「あっ」」」


「おや……なるほど。またですか。」


呆れた表情と声色のアズール


「ごちそうさまでしたっ!!」


ロズは慌てて逆側の扉から走り去っていった。


「はぁ…全くあの子は…」


「あははっ。まあ許してあげてよ。

アズールちゃん。」


「ですがこれでは彼女と同じ職務をこなす人達に示しがつきません。そろそろ本気で…」


ゴコゴゴ…と擬音が聞こえてきそうである。


「おっと、失礼しました。

あまりしかめっつらをするものではありませんね。」


「それはそうと、アズールちゃん。

今度ロズとルーちゃんで模擬戦するんだってね。アズールちゃんの意見かな?」


「ええ、私がロッソに申し出ました。

この子の実力を見定めるのには、申し訳ないですが、王城の兵隊達では役不足です。」


少しバツの悪そうにしかしきっぱりと

言い切るアズール。


「へぇ、そこまで言っちゃうんだ。」


「なにせこの子はヴァーミリアさんから

幼少の頃からみっちりと槍術を教え込まれていますからね。」


「あー、そっか。ロッソの妹ちゃんなんだから

そりゃそうだよね。うん。なるほど。」


「であればロズが最適かと。」


「そうだね。そっかぁ、ルーちゃん可愛いのに強いんだ?」


「いや…そんなに…」


「謙遜しなくていいのですよルージュ。

先刻の通り、ここに来たからには貴方も

強さを得るために日々鍛錬を積む皆と同じ。

我を通しなさい。あなたは強いのですから。」


「……はい。」


「理由はどうあれロズが戻ってきたなら

予定を早めたいところですが…

そうですね…ルージュ。

模擬戦は2日後にしましょう。

短いですが、しっかりと準備をお願いしますね。ああ、ですがコハクさんのお手伝いを

疎かにしてはいけませんよ?」


「ふふ、私なら大丈夫だよ。

ルーちゃん、ロズとの模擬戦に備えていいよ。頑張ってね!」


「ありがとうございます。

でも大丈夫です。私はどっちも頑張ります!」


「ふふ、逞しくなりましたね。

さて、では私はロズに日程を伝えに行きますね。…ついでに少しお灸を据えましょう。

それではまた。」


その後、ロズの悲鳴が城内に響き渡ったのはまた別のお話。



「ロズ、またやりましたね?

コハクさんはああ言ってくれてますが、

他の方々に示しがつきませんので

今回は少しお灸を据えてあげましょう。」


「いやぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇ!!」



その日の夕飯時。


「ロズさん…」


「うぅ…ルージュちゃん…明後日は

一緒に頑張るっすよ……」


活発だったはずのロズは傷だらけで

元気がなかった。


あ、どうも豹上です。

繁忙期が過ぎたのでようやく再開できました。

さあさあ、次はいよいよルージュと新キャラロズの

模擬戦です。お楽しみに!

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