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赫翼のドラゴンガール  作者: 豹上レオハ
4/5

3.場内見学と抜き打ちテスト

遅くなりましたm(_ _)m

ルージュはアズールに連れられて

王城を歩いている。


食堂を出て、居住区、庭先、執務室、

さっきも来た王間とぐるっと城内を回り、

中央部分にやってきた。


「ここで最後ですね。」


「ここは…」


連れてこられたのはちょうど王城の

真ん中に位置する場所。

天井は吹き抜けでこの場所を囲うように

城の廊下は円形になっている。


「ここは兵士達が日夜訓練をしている

訓練場です。今は誰もいませんが、

この城で最も活気のある場所と言っていいでしょう。」


壁際には確かに木剣や木槍など武術鍛錬に

使う用の武具が所狭しと置いてあるし、

まるでコロシアムのように観衆席もある。


「誰もがここで強くなるために頑張っています。ルージュ、貴女もこれからはその一員です。」


「…はい!」


思わず手に力が入る。


「ふふ、折角ですし、久しぶりに一つ

矢払いをどうですか?」


矢払い。

ルージュのような近接武術の使い手が

一つの訓練として行うもの。

単純に射手から放たれる矢を自らの武器を持って払い落とすだけの訓練だが、

放たれる矢を避けずに落とすことが

求められる。


「もちろん、どの槍を使っても構いませんよ。訓練用の木槍でも…」


「貴女のその赤槍でも…ね?」


ルージュの背嚢に結び付けられている

一本の赤い槍。


「使い慣れたものが一番でしょう?」


アズールは見た目と遜色ない穏やかな

性格だが、少しいたずらなところがある。


幼い頃から付き合いがある2人。

アズールの言葉の裏を理解する。


本気でやれ、と。アズールはそういうのだ。


「…わかりました。」


背嚢を下ろして槍を外す。


「ふふ、物分かりが良くて助かりますよ。

ですが、ほんとのことです。

訓練用と実践用のそれでは大きな差があるでしょうから。

特段、お母様と実践形式で訓練してきた

貴女ではなおさらでしょう。」


ルージュの母親は龍槍術のエキスパートで

一線を退いた今でもその名が轟く

大師範代である。

親でもあり師である偉大な母の下、

訓練だけはいつも厳しかった。


その経験が活きている彼女は今の時点でも

他の兵士より幾分か抜け出ている。

それだけ優秀な槍使いである。


槍を握り、軽く振る。



(…動作間の動きに乱れが少なくていいですね。まるで舞のように滑らか…

これだけでも既に頭一つ…いいえ、それ以上に抜け出ていることは間違いないでしょう。)


「準備はいいですか?」


矢を番え、弓を構える。


「…はい!」


「20本。ラインは半分としましょう。

…行きますよ!」


ぐっと構える。


「初め!」


アズールが矢を放つ。


「…やあっ!」


正確に自分に向かって放たれてくる矢を

丁寧に捌いていく。


(矢を払いながら、射手からも目を離さない。

それでいて崩しも効果薄。まだ16歳の子とは思えませんね…)


矢を放ち、位置や弾道を変えたりタイミングや力加減を絶妙に変えながら矢を放つ

アズールをルージュはしっかりと見据えている。


「流石ですね、ルージュ。

残り10本、しっかり払うように。」


続けざまに矢を射る。

そしてルージュは見事に20本全てを

払いきった。


「…ふぅ。」


「お見事です。」


ぱちぱちと拍手を送る。

しかし


「アズールさん…手加減してました?」


ルージュは訝しげに尋ねる。


「おや、気づいていましたか。

では追加を15本。今度は手加減ナシです。

行けますか?」


「お願いします!」


再度槍を構え直す。


「いい返事です。では、行きますよ。」


矢を番え、限界まで引き絞る。


「はじめ!」


指を離す。

矢は先の20本とは比べ物にならない速度で

飛んでくる。


「…やあっ!」


ルージュもこれに反応する。

すぐさま移動するアズールに目を向けるが


「あれっ!?」


アズールを見失う。


「こちらですよ!」


いつのまにかアズールは真反対にいた。


「…わわっ!」


かろうじて矢を避ける。


「いい反応です。当たるよりはいいでしょう。

まだまだ行きますよ。」


続け様に矢を射る。


「…はああ!!」


ルージュもなんとかくらいついていくが、

結局落とせた矢は6本。

9本は避けるしかなかった。


「はぁ…はぁ…」


「ふふ、お疲れ様でした。

35本中26本。合格です。」


「…ふぅ〜…ありがとうございましたぁ…」



すると


「流石だな!ルー!」


「おや、見ていらしたのですか。」


「兄さん!」


ちょうど王間前の廊下の辺りから

ロッソが訓練場を見下ろしていた。


「よっと!」


身を乗り出して飛び降りるロッソ。

身軽に着地してルージュの元に寄る。


「腕を上げたな!偉いぞ!」


わしわしとルージュの頭を撫でる。


「へへ、ありがとう兄さん。」


少し照れ気味なルージュ。

逆にロッソはやや悩ましい表情をする。


「しかし…ここまで上達してるかぁ…

なぁ、アズール、ルーを隊練習に

入れていいと思うか?」


「あ…確かにそうですね…

どうしましょう…これほどとは私も思ってなくて…」


ロッソ同様、アズールも悩ましげな顔をする。


「お?なんだなんだ。鍛錬かい?」


すると反対側の入り口からクリムが顔を出す。


「ああ、ちょうどいいところへ。

クリムさん。彼女ですが、隊練への参加を

させるのか決めかねておりまして…」


「ん?させたらいいんじゃないかい?

新入りなんだし。」


「…先ほど私と矢払いを行いまして。」


「うん。」


「…20本全て。ついで6本。直撃なしにて

落とされてしまいました。」


結果をクリムに伝える。


「…なるほどねぇ、それは難儀だ。

追加ありの26本か。

はは、他の奴らより十分秀でてる。

うーん…なら次の分だけ出てもらうってのはどうだい?どのみちコハクのところの

子になるんだし、ずっと出れるわけでもないだろう?どんなことしてるのかだけでも

知ってもらえれば十分かもしれんさね。」


「いや、待ってくれ。ルー、明日もう一度

矢払いを…いや、模擬戦をしよう。

相手は…そうだな。誰かいい相手は…」


「それならばロッソ、5日後ならロズが戻ってくる日ではないですか?兵士達には申し訳ないですがルージュと対等に戦える者はいないでしょう。しかし私達ではルージュを知るが故の手心を加えてしまうかもしれません。

それもこの子は望まないでしょう。

であれば、ロズが適任かと。」


「ん〜…そうだな。そうするか。

…よし、帰ってきて早々悪いがロズには

ルーの模擬戦の相手になってもらうか。」


「アズールさん。ロズさんって誰ですか?」


「第一国境警備隊隊長ロズ・メタリア。

北の国境警備を任されている兵隊達の

リーダーです。」


「…そんなすごい人と模擬戦を…?」


「ははは!そう気負うな。

母さんとの実践訓練と同じようにやればいい。」


「うん…」


どこか心配そうなルージュ


「緊張するな。ロズはお前みたいにいい子だからな。心配はいらない。」


肩をすぼめてすこししょぼんとしたルージュの頭をポンポンと叩く。


「少しだけ予習だ。ロズはルーク産まれの

盾使い。身の丈ほどの大盾で攻めも守りも

こなす。そのガードとカウンターをどう

攻略するかはルー次第だ。」


龍人達はそれぞれが一種の武器に特化した

技術を持つ部族に産まれる。

例えば剣術ならばセーバー族、

槍術ならドゥース族、弓術ならサジータ族と

大きく分けて7つの部族に分かれており、

部族毎に得手不得手も自ずと違ってくる。


ロズはその中でもルーク族と呼ばれる

守りに秀でた部族の出身というわけだ。


「もちろん無理にとは言わない。

コハクさんの手伝いもあるしな。

ルーの意志に任せるよ。」


「…ちょっと考えてもいい?」


「ああ、返事は明々後日くらいに聞かせてくれ。仕事のこともあるし、コハクさんに相談してみるのもいいだろう。

おっと、忘れてた。ルー、荷物は全部

持ってきてるか?」


「荷物?」


「ああ、今日は慌てて来たろ?

まだ城下に置いたままの荷物があるんじゃないかと思ってな。」


「あー、置いたままだぁ…」


「なら丁度いいや。取りに行っておいで。

ついでに城下町も見て回るといい。

そうだな。せっかくだから俺と行こう。

散歩がてらだ。

ちょうどひと段落したところだったし。」


「兄さんと?うん!行きたい!」


「よし、ならさっそく行こうか。」


「兄妹水入らずってとこかね。

はは、ゆっくりしておいで。」


久しぶりの兄との散歩に心躍らせる

ルージュであった。






「…ところでロッソ。そんなにすぐひと段落つくような量の仕事でしたかね?」


「…はやく行くぞルー!」

あ、どうも。豹上です。

ようやく次が出来ました。

創作とは難しいですな。

戦闘描写なんかはなおのこと…

これからも頑張ります。


さて、次回は新キャラ登場!

ルージュに似た活発な女の子です。

もう少し話が進められたら別紙でプロフィール帳

なんかも作りたいな。


では、またノシ


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