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知恵と死◾️の迷宮 その2

「嫌。大丈夫だ!要は捕まらなければ良いんだ。だから大丈夫だ!」


「…………………………うん!そうだね!そうだよ!」


二人はぎこちなく笑う。

その姿はまるで今起きた事を否定しているようだ。

気持ちは分かる。

人が存在事消えてしまうのは恐怖を感じる。


「………………それでどうやってここから出ようか?」


今なにか違和感を感じる間を感じたがなんだろうか?

まぁ、良いか。

確かにここはどうやったら出れるのだろうか?


「……ダンジョンは建物と同じで出入り口から出れると聞いたことがあります。」


私達がこれからを考えているとレーナが口を開いた。


「出入り口……か。でもどこにその出入り口があるのか?そもそもここはどこなんだ?」


確かにそうだ。

ここは初めて来た場所で、周りを見ても目印になるような物が見当たらない。


「じゃーどうしようか?」


「他の手もあります。」


クーちゃんの疑問に答えるようにレーナが話す。


「それは……ダンジョンの最奥部に行く事です。ダンジョンの最奥に到達すると褒美を受け取り外に出れるというのは有名な話です。」


「それは……」


「それなら出来そうだね!」


私の言いかけて飲み込んだ言葉をクーちゃんが発言した。


「…………良いか?クラリス。ここはダンジョンだ。命を奪う魔物や罠がそこら中にいる所だぞ!そんな……所、怖くないのか?」


トーマスが拳を握り絞るように言う。


「……トーマス。」


今まで床に座っていたクーちゃんが立ち上がりトーマスの握り拳を両手で包むように掴む。


「私だって怖いよ。」


よく見るとクーちゃんの手も震えている。


「でも、ここで隠れてたって死んじゃうんだよ?だったら……歩みを進めた方が良いじゃん。」


クーちゃんが彼女らしい明るい笑みをトーマスに向ける。

彼女は強いな……こんな状況でも誰かに微笑みを向けるなんて。


「それで、どこに行くかは決めてます?」


私が関心しているとレーナがそう問いかけてきた。

どうするのだろうか?と見つめる。


「大丈夫。私達にはこれがあるから!」


そう言って取り出したのは曲がった2本の棒-ダウジングである。

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私達は本棚で挟まれた道を歩いている。

今は私が先頭、続いてクーちゃん、トーマス、レーナという風に並び、クーちゃんの持っているダウジングを頼りにダンジョンを進んでいる。

私も内心ではあんな棒が役に立つのか疑問ではあるが当てがない以上あれに頼るしかない。


「止まって。」


私は声を掛けて列を止める。

今は十字路の手前。

私は敵が待ち伏せをしてないかを警戒しながらいつでも抜き身の剣を触れるよう握りながら十字路を慎重に見回す。

とりあえず大丈夫そうだね。


「大丈夫。来て。」


3人を呼んで十字路まで進んで貰う。

それからはクーちゃんに道を決めてもらっている間、私は2つの道を後の2つを2人に見てもらっている。


「リーティエ!」


私達が見張っているとトーマスが声を上げる。

見るとトーマスが杖を通路の方に向けている。

私が杖の先を視線を向けると先の鋭い両腕を持った簡単に描いた黒い人影がそこにいた。


「任せて。」


私がトーマスにそう伝えると棒人間へと掛けて行く。

棒人間は私の攻撃に対応出来るように両腕を持ち上げて交差させるように構える。

恐らく、私の攻撃を受け止めてから反撃に移るのだろう。

なら!

私は飛び上がり重い一撃を振り下ろし、相手を硬直させた後に振り抜いた剣を返して斬り上げを行い、体への守りを無くし、素早い突きを首に突き刺す。

これをテンペストという。

この技は杖や槍の受けを崩す技とヒューゴに習った。

魔導剣を使うなら無用な技だと思うが、まぁいっか。


剣を捻り引き抜くと敵は崩れ落ち、動かない事を確認するとそのままの死体?に視線を向けながら皆の元へ戻る。


道中の歩き方としてはこのように敵が出る度に私が倒し、

他3人が警戒に当たるという風にして進んでいる。


今の所、強い敵はおらず、私だけで対処出来ている。


「お疲れ様。怪我は無かった?」


私が戻るとクーちゃんが労いと怪我の確認をしてくれた。


「うん。大丈夫。」


「すまない。本当は男である僕が戦うべきだが、」


「いや、いいよ。これが私の役目だから。」


私が気を使って発言する。

無視して行くという手もあったがあの()は着いてくるのだ。

その為、他の黒とかち合って同時に襲われるのも面倒なので私が対処している。

私達は何も持たずにダンジョンに入っているからなるべく早く脱出したいが出来るだけ安全も確保したい。


「それじゃ行こう。クーちゃん。行き先は決まった?」


「うん!決まってるよ!あっち!」


こうして私達はダンジョンの最奥へと進んで行く。

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私は皆を止めた。

曲がり角を曲がり両手を広げれば両側の本棚に届きそうな狭い直進の道をしばらく歩いた所で皆を止めた。

妙だ。

何せ、今度の敵は目の前の曲がり角から突然姿を現したのだ。

まるで、待ち伏せしてたように。


「皆さん。」


私が訝しんでいると最後尾にいるレーナが落ち着いた声で私達を呼ぶ。


「後ろにも敵がいます。」


まさか、


「どうやら僕達は待ち伏せにあったという事だね。」


「どうしよう?一気に2体と戦う?」


「いや。私が先に1体を倒すから3人は後ろのやつを見張ってて」


私が素早く指示を出すと一度深呼吸をした後、前方の敵へ駆け出す。

今までも問題なく倒せて来たんだ。

これもも-


私はこの時、ダンジョンを見縊っていたのを感じさせられた。


何せ-


「きゃあああああ!」


クーちゃんの悲鳴に思わず足を止め、振り返ってしまった。

私の後方では左右の本棚がクーちゃんとトーマス倒れ、押し潰し、その上に黒がそれぞれ乗っかり、襲い掛かろうとしており、助けを求める視線をレーナに向けるが黒が左右の本棚を蹴り、高く飛び上がり襲い掛かろうとしてるのが見えた。


こうしてはいられないと考えた瞬間。


私の背後から肌がざわつくようなさっきが感じられた。

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