パテイハハン:モツィー
私達は受付後に時間を確認した後にダンジョンの中へと入っていった。
「…………凄い!」
私は目の前の景色に圧巻される。
三又に別れた通路。
そのどれもが手を広げた私が5人ぐらい横に並んでも少し届かないような広い幅を持っており、その先は地平線が見える程広く、そして頭上には本棚が伸びており、天井が見えない程伸びており、どうやっても上に届かなそうである。
いや、上が見えないけど本当にあるのだろうか?
「話には聞いてたけどこうして目にすると違うね。」
「うん!これなら絶対原初の演劇について何かありそう!」
トーマスとクーちゃんがそれぞれ感想を述べる。
確かにこれだけあればこの世の全てを知れそう。
でも、どこにあるかわからないのが難点だ。
…………収納場所についての本があるのだろうか?
「聞いても良いかい?君がここに誘ったようだけど何か当てでもあるのかい?」
トーマスがレーナに問いかける。
それは私も気になっていた。
「あぁ、それですが-」
「なんでだよ!なんでまともな本が無いんだよ!」
私達の会話を遮るように少し離れた所から怒鳴り声が響く。
なんだと思い、声の方を見ると身なりが良く体型が肥えている男性が子供のように地団駄を踏み、そして本を踏みつけている。
それを周りの付き人と思われる男性数名が宥めている。
「なんで良いのが無いんだよ!あの屑な弟を見返してパッパに自分こそが跡取りに相応しいて示さないといけないのに!」
「落ち着いて下さい。このような所で暴れるのはディサッパー家にとって恥ずべき行為です。」
「ただの従者は黙っていろ!僕の決定が最優先だ!」
そう言ってさっきまで暴れていた男性はズカズカと奥の方へ歩いていく。
「お待ちください!そろそろ1時間になります。」
「うるさい!黙っていろ!」
男は従者の意見を無視して奥へと行ってしまう。
従者も説得しながら奥へと向かう。
「なんだろう?どうしたんだろう?」
「ディサッパー家。確か男爵の位の家だったかな?そんな家の人物が何故ここに?」
「恐らく運悪く目当ての本を見つけられなかったのでしょう。」
私達が思っていたであろう疑問にレーナが答える。
「それってどういう事?」
「ここの本は毎日場所が変わっていると聞いた事があります。ある日は植物の本が、ある日は未知の土地の紹介された本だとかが同じ場所に仕舞われていると。」
そうなのか。
私は先程踏まれていた本を拾い上げ、軽くはたき本を開く。
どんな内容の本なのか気になって読んでみるも内容が理解出来ない。
そもそも、えっと、ガ、ソ、リン?
「ねぇ、ガ、ソ、リンて何?」
私は3人に質問を投げかける。
「ガソリン?何それ?僕は聞いた事ないな。」
「私も聞いた事がないよ?バイオリンの親戚?」
「何ですかそれ?あーそれ聞いた事があるのですが意味がない嘘の情報が書かれた本があると聞いた事があります。」
嘘の本。
どういう意図でそんな本が作られたかわからない。
だが、物は大切にせよとお父様が仰っていた。
「この本。どこに仕舞えばいい?」
「さぁ?そこらの本棚に仕舞えばいいのでは無いですか?どこにしまうか決めて無いようですし。」
それもそうか。
私は近く隙間が空いて所に閉まった。
「さて、時間が無いし、さっさと探しに行こうか。」
「ふふっふ!実は探すのに良いものを持って来たんだー。」
クーちゃんが何か持ってきたようだ。
何だろうか?
「ジャジャジャジャーン!ダウジングー!」
クーちゃんが垂直曲がった金属の棒2本取り出してそう紹介する。
「……クラリス?その棒はなんだ?」
「これね。前にうちのお店に遊びに来てるお客さんが探し物をする時に使う道具だって言って必要かなと思って似たようなやつを持ってきたんだー。」
「……それ、使えるのか?」
「さぁ?でもデポディダのおじさまがよくうちに良い恰好をして来てるから大丈夫だと思う。まーとりあえず使えば分かるよ。」
そう言い棒を掴み、曲がった棒(ダウジング?だっけ)を向けながらゆっくりと回りだす。
すると右の通路にダウジングを向けると左右に開き出した。
「うん!こっちだ!」
本当に大丈夫か?
ダウジングの先を見ると何か小さく纏わりつくエーテルが見えるが……
「リーちゃーん!どうしたの?」
「いや。なんでもない。」
……大丈夫だろう。
私達はクーちゃんを先頭に探索を始める。
--------------------------------------------
--------------------------------------------
「これもダメだ。」
リーティエが何やら叫ぶ。
あれからクラリスといううっとうしい少女を先頭に短いながらも色々な所を歩き、へきへきしてた時にダウジングがここだという場所で本を探している。
だが、リーティエは気づいていないがあるミスを犯している。
私に何の情報を探すのか伝えていないのだ。
だが、私は構わない。
自由に動けないのが煩わしいが私は以前からここに訪れてみたいと思っていたからここで本が読めるのはいい。
「やっぱり君も見つけられなかったのかい?」
この場のまとめ役であるトーマスと名乗る人物がリーティエに話掛ける。
その質問に彼女はうなずく。
「レーナはどう?」
彼女が尋ねてくるので私は本を閉じて見つけていないとジェスチャーはする。
「あれー?おかしいな?デポディダのおじさまはうまくやっているようなのにどうしてだろう?」
「何、そんな日もあるよ。それよりそろそろ時間だから帰ろうか。」
トーマスがそう提案し、二人は同意する。
私も特に異議はないので同意する。
あーあ、せっかくだからもっと読みたかったなぁ。
「ん?」
これは?
私は一つの本に手を伸ばす。
--------------------------------------------
--------------------------------------------
私達はダンジョンの入口に着いた。
「さて、帰ろうか。忘れ物はない?」
「忘れ物。」
私は後ろ髪を引かれるようにダンジョン内部を見る。
結局、何も情報が得られなかった。
「何、また来ればいいさ。」
「そうだよ。それにその時は私も手伝うよ。」
トーマスとクーちゃんがそう励ましてくれた。
「……ありがとう。」
「さて、早く帰りましょう。」
私がお礼を述べるとレーナが帰るよう促す。
「あぁ。行くよ。」
トーマスが返事をすると入口の扉開け、
「え?」
扉の中から白い腕が四本伸び、私達を掴む。
そして声を出す間もなく、扉の中へ引っ張られて中に引っ張り込まれた。




