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ラ フィール トン フィティー

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『おーい!ベアトリーチェ!どうしたんだ!』


ボーとした意識から目が覚める。


「お兄様。痛いよ。」


私は頭を押さえながら体を起こす。

さっき木剣を頭に受けて延びてしまったんだ。


『ほら。立てるか?』


お兄様が手を差し出してくれた。


「今度は手加減してよ。」


私は手を掴んで立ち上がる。


『ヤダよ!全力で戦わないと強くならないだろう。』


「ムー!」


私はむくれて不機嫌になった。

そんないつものあの時の光景の中‐

カツン…………。

カツン…………。


不思議と足音が響く。

足音が響いて来る方を私とお兄様が目を向けると誰かが暗闇から近づいて来る。


カツン…………。

カツン…………。


足音がどんどん近づいてくる。


『誰だ!出てこい!』


お兄様が声を掛けると暗闇から長い銀髪に土埃のような色の服の上に同じ色のコートを着た口を覆う赤い牙と笑みを組み合わせた模様が描かれた黒い仮面を付け、剣を携えた女性が現れた。


『誰だ!名を名乗れ!』


お兄様がそう叫ぶが女性は無視して剣を抜く。


『戦う気か。なら相手をしてやる。』


そう言ってお兄様は剣を構える。


「お兄様。私も戦うよ。」


私も剣を構える。

私とお兄様が共に戦えばどんな相手でもなんとでもなる。


私達と彼女が睨み合う。

そして無意識のうちに瞬きをし‐

突然、私に誰かが正面から倒れてきた。


「え?何?なにこれ?」


ふいに剣に重みが掛かり、剣を手放す。


ドサリ……!


私に倒れ込んでいた人が地面に倒れた。


「えっ?」


地面に倒れていたのはお兄様だった。

お兄様の腹から剣が生え...いや、剣が腹に刺さって‐


私は恐る恐る両手を見つめる。

私の両方の手の平は赤く‐


「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!」

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「ん?」


顔を熱い日差しに照らされる。

日差しを遮るように顔を手で覆う。

さっき何か嫌な夢を見たような気がしたような気がするが……全然思い出せない。

…………思い出せないという事はどうでもいい事なのだろう。


「リーティエ!どこか異変は無いかい?」


聴き慣れたクラウディオの声の方を向く。

そこで自分がベッドに寝かせられているのに気づく。

私に掛けられているシーツの触り心地がやけに良いような?


「…………大丈夫かな?」


「あぁ、大丈夫。」


私は毛布ごと上体を上げる。

衣服は……着て来たままだ。

私が寝かせられた部屋は広く椅子、机などの家具が置かれていてその椅子に見知らぬ年老いた男性がグラスの中の茶色い液体を飲んでいる。


「…………それでここはどこ?」


「ここはフィンチ宮殿の客間の一室だよ。あの戦いの最後の方で君が気絶した…………いやさせられたからここに運んだ。」


運んだ?

あの囲まれていた状態で私を背負って宮殿まで運んだのだろうか?


「それではそろそろお話ください。レノックス卿。」


そう言いクラウディオは老人に向き直って言う。


「んん?あぁーちょっと待ってくれ。」


そう言って液体‐おそらく琥珀酒‐を飲んでから椅子に座ったままこちらに向き直る。


「ふぃー!わしはヒューゴ・レノックスじゃ。この国ではショウグンをしている。改めてよろしく。」


今聞き慣れない単語が出たがそれよりなんだか改めてという言葉に違和感を感じる。


「私はあなたと会うのは初めてのはずだけど?」


「あぁ。もしかしてわしと知覚できてないのか?ちょっと待っとれ。」


そう言ってズボンのポケットを探る。


「ほれ。これで思い出したか?」


そう言ってポケットから取り出した穴あきの袋を顔に持っていき‐


私はベッドを飛び出し飛び掛かる体制を取り、


「待って!待って!この方は今は手を出さないで!」


クラウディオが急いで静止をする。


「なんで?私達を襲ったじゃん。」


「でも、この人は‐」

「後の説明はわしが説明しましょう。」


ヒューゴ・レノックスと名乗った老人がそう言って話を遮り、軽く机を叩く。

話は座って話そうという事か。


私達は席に着いてヒューゴと呼ばれた老人に向き直る。

変人‐ヒューゴの今の格好は白髪混じりの緑髪に顔は掘りが深く皺がある。

服装はあの不審者の格好を着替えたのかラフな格好でシャツを胸元を開けて着てズボンを履いている。

体は老いを感じさせない頑強な体つきをしている。


「…………なんじゃ?そんなにわしを見つめて。…………もしや惚れてしまったかの?」


ヒューゴは笑いながらそう冗談を言う。


「変人を好きになる奴はいないだろう。」


私はそっけなく返事をする。


「なんじゃ。その言い草は。ハァ。まぁ、良い。二人は何が飲みたい。」


「では、僕は紅茶を」


「私も紅茶を。煮え滾る程に。」


ヒューゴはため息を付いてテーブルの上に乗せていた呼び鈴を鳴らす。

すると部屋の中に黒い従者の服を着た男性が入って来た。

その後私達が飲む物をヒューゴから聞き、退室した。


「…………それでどうして僕を襲うような事を?」


時計の針が動く音が響く部屋でクラウディオが尋ねてきた。


「あぁ、それは違う。目的はそこの嬢ちゃんじゃ。」


そう言って私に向く。

それに私は怪訝な目をする。


「何故私?」


「あぁそれわな、この前レースドの坊主と戦ったじゃろ?」


レースド?

誰だっけ?


「この前、百貨店での近くで戦った鞭を持った男性だよ。」


私に心当たりがないのを察したのかクラウディオが耳打ちしてくれた。

あぁ、あの鞭という武器を使う奴か。

私がレースドという人物の事を思い出した所でヒューゴは話を続けた。


「なんでもお主、あの坊主と真っ向からマジュツを使って倒したというじゃないか。あやつを退ける人物と聞くとどんな人物か気になってな。それで王子を理由に襲ったのじゃよ。」


マジュツ?

また聞き慣れない言葉が出てきたが、


「だからて僕を襲わずに僕を通して彼女と手合わせすれば良かったじゃないか。」


「嫌じゃ!そんなまどろっこしい事して戦うのはいつになる。それにわしは稽古での実力ではなく実践での実力を観たかったんだ。」


ヒューゴは腕を組んで自らの意図を述べた。

なるほど。ようは私を見定めていたのか。

思い変えして見ると私を弾き飛ばした時とか剣の振りが単調だったがそういう事だったのか。


「それで私はどうだった?」


「あぁ、幼く動きは粗削りとまだまだある。それにマジュツだよりの毛がある。」


私の至らない点を指摘された。

お父様やお兄様と同じ事を言われた。


「だが、ダメと判断したら次の手をと手を変え、攻め方を変えていくのは良かった。この先も戦い続ければ良い騎士になるだろう。そこでだ。」


ヒューゴは何か企んでそうな笑みをしてこちらを見る。

何だろうか?


「お主、わしの所に来ないか?」

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