聖女と温君の正体とメイド
令和ぁ!何故君がそんな気温管理がガバガバなのかぁ!
現れた女性は一目で只者ではないと思わせる清廉さと同時に何か心から発せられる警鐘を感じる雰囲気を出してる。
「おぉ、聖女よ!いかがされましたかな?」
聖女?
私が知ってるは皆に救済を与える女性で豊かな今はそんな貴族は現れていない。
これはあくまで私が知ってる聖女だ。
この地の聖女はどのような存在なのだろうか?
「初めまして。聖女様。お目にかかれて光栄に思います。」
クラウディオがそう挨拶すると余裕溢れる表情で微笑んだ。
あくまで私の勘だが恐らく彼は嘘をついて、それに聖女が乗ってくれる事になったのだろう。
これは彼の事情なので気にしない事にする。
「えぇ、初めまして。綺麗な方と迷い人さん。」
?
今何か違和感を感じたが一体なんだろうか?
「何やら楽しそうな予感がしましたのでここに来ました。何か私に手伝えるがございましたらお手伝いいたします。」
「いえいえ。聖女様。このお二方が女神教に興味があるとの事でこれから紹介をしようと思いましてな。」
「あら。なら私が紹介をいたしますわ。女神様の教えを広める事も私の仕事ですから。」
「…………分かりました。ではお願いします。」
シンプは聖女にお願いしてその場を離れた。
「さて、何から話しましょうか。と言ってもどうやら私の事を知りたそうですね。」
私が聖女について気になっているのを察したのか説明を始めた。
「聖女とは本来皆に救済を与える女性に授けられる称号でした。ですが今は代々女神様に選ばれた女性がバラバラになった皆の心を一つにし、明るい明日へ導く女性が聖女になります。」
「聖女。選ぶ。どうやって?」
「簡単です。“私は聖女です。”そう人前で言うだけです。」
なんだ。簡単じゃないか。
「あぁ、今の言葉は絶対言わない方が良いよ。」
クラウディオが忠告する。
どうしてだろう?
「ワタシハセイジョデス。」
試しにさっきの言葉を言った。
特に何も無い。
ただの迷信なのだ-
リンゴーン!
突然鐘の音が教会に響き渡る。
そのあまりに大きな音に思わず驚いてしまい、足が後ろに下がり、何故か足元が滑ってしまいそのまま頭から倒れる。
あまりの痛さに床で文字にならない叫びをあげ悶絶する。
「何故かこの国でその単語を放った女性の大多数は今のような軽症を追うぐらいの不幸に見舞われるんだよ。」
「えぇ。何故でしょうね。でも女性は一度は試した事があるのでちょっとした笑い話にちょうど良いのですよ。」
2人が痛みに悶える私の側でなんでも無いような雰囲気で談笑する。
痛い。この国はどうなってるの?
それから痛みが引くまで長椅子に座り聖女とたわいない話をした。
ここ、セント•アン教会の魅力や歴史、ケンジントン•ガーデンズ付近にある店などや貴方なら聖女と同じ金の髪を持つのだから修道女として一緒に働かないかとか。
私は騎士になりたいから断ったが。
そんなこんなで日が暮れ、夕日が照らす頃。
「今日は色々とありがとうございます。」
「いいえ。私も最近ずっと忙しかったの。そんな時にあなた達が来て色々楽しめましたわ。また今度と言いたいけど今度会えるのは5年後の冬だわね。」
また変な事を言ってる。
彼女は時々こんな事を言う。
例えば緑の宝石の島にて邪心が暴れるとか砂漠にて滅びの嵐が巻き起こるとか後は私が空から落ちてずぶ濡れになるとか意味が分からない事を言う。
なんでも彼女は良くそういう事を言うから軽く流していいとの事。
「それじゃリーティエさん。お気をつけて。気を落とさないで下さい。」
「えぇ。また。」
意味がわからない事を言ってるが軽く流して私は返事を返した。
「それではまた。」
「えぇ、また。王様。」
私達は挨拶をし教会から離れた。
私達は公園の外に向かう。
沈黙。
彼は何か言うのを迷っているようだ。
「どうした?」
「あの。その。」
「話したい事があるのなら素直に迅速に話した方が良いですよ。クラウディオ様。」
その声が背後から聞こえたので咄嗟に剣の握りに手を当て振り向く。
そこには明るい青色のワンピースに白いエプロンの格好の銀色の髪の女性が夕日に照らされ立っていた。
この女性はいつの間にそこに居たのか。
全然気配を感じなかったぞ。
「…………クローイ。いつも言うけどいきなり現れるのは驚くからやめてくれ。」
クラウディオが親しげにクローイと呼ぶ女性に話しかける。
「知り合い?」
「あぁ。」
「私はクローイ・モンクトンと申します。クラウディオ様の家に仕えさせて頂いております。」
クローイさんが洗練されたカーテシーをし、挨拶する。
このような人を使用人として仕えさせる事が出来るという事はやはりそれなりの身分なのだろう。
「仕事以外の時間ならお気軽にクロちゃんとお呼び下さい。ピース。」
そう言って両手の人差し指と中指を立てそれ以外を折りたたんで仕草を取る。
何故かこの人は思ったより厳格な人では無いのではと思った。
「さて、クラウディオ様。これからを共にする家臣に自らの身分を隠すなどという不誠実な事をするのは不義に当たるのでは?」
誰が家臣だ。
「しかしだな。」
「あーあ。クラウディオ様がそんな情けない人だったなんてお姉様に報告しないといけません。そうすると警備は強化され四六時中レースド卿に見張られるでしょう。ちゃーんと話してれば私の協力を得られて今後も街を見に行けたのに。」
2人の話が進む。勝手に。
傍観してると何か決心をした彼がこちらに向き直った。
「リーティエ。僕は君に言わなくてはいけない事があるんだ。僕はこの国の王子なんだ!」
「知ってる。」
私のその素っ気ない返事に目を開いて後ずさった。
彼は決心して自分の身分を告げたが今までの行動の節々に上品さ、物事を知らなさ、生活に困ってなさが滲み出て貴族であると大体は予想出来た。
まさか王家の一員とは思わなかったが長い前振りで身構える準備が出来た。
教会に入る前にあんな事を言われたのだからこれくらいの仕返ししたって許されるだろう。いや、許せ。
「よかったですねクラウディオ様。リーティエ様にちゃんと理解していただいて。」
「何故だ!ちゃんと隠してたのに!それより何故リーティエの名を知ってる!」
「クラウディオ様が路地裏からリーティエ様を連れてきた所から見てました。イエイ!」
「あのなー!」
そうして2人は猫を思わせるような喧嘩を始めた。
その後3人で話し合い、2ヶ月後にまた会う事になった。
なお、クローイはクラウディオ主人公のジャンルが恋愛物なら圧倒的勝ちヒロインです。




