変人発明家は未来の夢を見るか
放課後、ぼくは君になる流行れやオラァ!
カンジントン•ガーデンの近く。
エキシビション通りにある白磁の3階建ての建物。
「ここは皇国研究所。皇国の魔導技術の最前線にして日々未来を作り出す場所。それは栄光。それは希望を生み出されるのだ。」
彼はメモ帳に書き込んでいく。
「…………それでアルフィーさんは何故ここにいるのですか?」
何故か目的地にいるアルフィー様にハドリーさんが尋ねた。
「何。研究所に行くとの事だったのでこれはいい取材が出来ると思ってね。」
「…………えっと?その話はどこで聞いたのですか?」
「当然、盗聴だよ!」
それを聞いてハドリーさんが手で顔を覆って天を仰ぐ。
盗聴。
他人の会話を盗み聞く事との事。
ハドリーさんも話に聞いただけだが何やら魔道具を使って行うのもあるとの事。
…………この話は食堂でしか話してないからそこで聞かれたという事だ。
いつの間にそんな事をしたのだろう。
「はぁー。仕方ありません。あなたも連れて行きましょう。」
「ありがとうございます。」
こうしてアルフィーさんとともに三人でケンキュウジョという建物に入っていく事になった。
「それで今日は誰に会いに行くんですか?」
中で受付を済ませ、待っているとアルフィー様がそう尋ねてきた。
毎度の事ながら私は誰に会うかは聞いてないので気になっていた。
「ジョーズ・ウェイトと言う名は聞いた事はありますか?」
誰?
「ジョーズ・ウェイト氏!現在の魔導社会を作った第一人者じゃないか。」
「どういうこと?」
私は思わず尋ねてしまった。
「彼は動力機を改良し、今まで限られた所でしか使えなかった物を大幅に改造して世に送り出した人なんだ。」
ドウリョクキ?
「動力機とは工場の機械や魔動列車、飛空挺を動かすのに使われる魔道具です。これにより生産や輸送が向上し生活が豊かになったのですよ。」
私が疑問に思っているとハドリーさんが答えてくれた。
ヒクウテイ?というのは何なのか分からないが、列車にも動力機が乗っているのか。
あれは良かった。
馬より早くそれでいて馬より長く走っていた。
ガタガタ揺れていて眠るのに苦労したけど。
「入れて!入れてよ!」
列車の事を思い出してると騒がしい声が聞こえてきた。
そこには透明感のある茶色の髪をした私と同世代ぐらいの少女が警備の男性に抱きかかえられている。
その手には本が握られている。
「やだ!離して!パパのために合わなくちゃいけないの!ねぇ!やだ!やーだー!」
少女はそう叫びながら男性に連れられて行った。
何だったんだろう?
「お待たせしました。」
案内の女性が話しかけてきた。
その後、私達は女性の案内を受けた。
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「こちらになります。」
「ありがとうございます。」
ハドリーさんが案内にお礼を述べてるがそれどころでは無い。
私達の目の前には濃い木の色の扉に覆い被さるように前に遊びで忍び込んだ牢屋にあった鉄格子が設置されていた。
「…………えと。何故このような鉄格子が付けられているのですか?」
アルフィー様が私と同じ疑問を尋ねた。
「それがですね。彼は突然気が向いたらどこかへ行ってしまうんですよ。」
ハドリーさんが呆れながらそう愚痴るように話した。
「そうなんですよ。この前も所長との会議中に突然消えたんですよ。しかも歓談してる最中に煙を充満させて。あれでボヤ騒ぎだのパニックが起きて大変だったんですから。」
案内の女性がそう愚痴るように話す。
えぇ?なんでそんな事をするんだろうか?
困惑してると案内の女性が鉄格子と扉の鍵を開けた。
「どうぞお入り下さい。30分後にまた来ます。延長する際はその時にお話下さい。また、30分経たないと鍵は開きませんのでご了承お願いします。」
「それどこの監獄?」
アルフィー様が案内の女性にそう言う。
私達は部屋の中へ入る。
部屋は広く、入口から見える窓は鉄格子で覆われ、部屋は薄い木の板で区切られていて片側は複雑な模様が描かれた大きな紙やさまざまな形をしたガラスの瓶など整頓されている。
もう片方は乱雑に本やら紙の束などを置かれ、ベットは掛け布団は畳まれておらず、床は足の踏み場所が少ししかない見えない。
「待たせたなぁ!今来たぞ!」
ハドリーさんのその言葉遣いに驚いて振り返ると散らかってる方の奥の扉から声が聞こえた。
「おぉ!その声は我が友、密航者ではないか!ちょっと待ってくれ!」
声の主はそう言うと少し間を起き、水の流れる音が響き、扉が開く。
「いやー!凄い物が出てな!つい!時間が掛かったよ。」
扉から出たのは白髪混じりの茶髪、彫りと皺がある顔、裾の長い白い服を纏った男性だった。
「ジョー。今日は未成年がいるから下品な事を言うな。」
ハドリーさんがそう嗜める。
「ハドリー殿。もしやこの方が。」
「そうです。ジョーズです。」
この場にいるのだからそうだと思った。
「ホッホッホッ!わつしが世で有名なてーーーんさい発明家のジョーズであーる!」
「凄い!人前に出ない有名人にあったぞ!」
アルフィー様が感激の言葉を述べた。
「有名。知っている。人。いる。多い?」
「あぁ、彼は人前に出せないんですよ。」
私が疑問に思った事を言うとハドリーさんが答えた。
「あの人は面白いと思った事を唐突にやりだすから人前に出せないんですよ。前に偉い人と話してる時に突然歌いだして、踊ったんですよ。」
「えぇ?」
私が困惑してるとアルフィー様がインタビューを始めた。
「年齢はいくつですか?」
「20代ですぞ。」
「普段は何をしてるですか?」
「ピアノを弾き鳴らしてるぞ。」
「特技はなんですか?」
「水泳ですな。」
「………………全部嘘だろ。」
ハドリーさんが頭を抑えて呟いた。
もうこの人と関わると大変なのが十分理解出来た。
「それで。タギィールマスクフは出来てる?」
ハドリーさんが楽しそうにインタビューを受けてるジョーズさんに尋ねた。
「あぁ、それならどこかへ行った。」
えぇ?
「またか。掃除ついでに探すよ。」
「いいや。掃除はいいや。何せ作業スペースに置いてたらどっか行っちゃった。」
『「はいー!?」』
私とハドリーさんが驚きのあまり声を出して驚いた。
作業スペースというと綺麗で整頓してる方だよね?
何でそんな中で物を失くすのだろうか?
「あー分かった。分かりました。時間がありません。リーティエ。調味料を探して下さい。むやみに物を動かさないように。私は掃除をします。アルフィーさんは………………そのままインタビューをしてて下さい。その人にはあまり動いてほしくありませんから。」
こうしてそれぞれ作業をする事になった。
なんだかもう疲れた。
それにしてもここには色々とある。
色とりどりの薬品に丸められた紙。
金属の円盤によく分からない機械。
まるで絵本にあったドワーフのようだ。
…………説明出来ないけどあの人をおとぎ話のドワーフて呼ぶの何故か嫌だな。
ふと大きなテーブルを見ると何か大きな紙が広げられていた。
それには馬車に車輪が付いた大きな釜のような物が描かれていた。
「それは従来の動力機を小さくして乗り物にした物の設計図だよ。それはいずれ馬に変わるだろう。」
「ほー。」
私は素直に関心した。
その後、ハドリーさんに取り押さえられて話は途切れた。
結局、調味料はテーブルの下の床下に仕舞われていた。
なんでそんなところにあったの?




