隠秘の呪いと温和な君
私はくれない卓が好きです
皇国博物館を出て乗合馬車に乗り、暫く揺られ私達はジャグリング•リング街84番地に着いた。
この場所は他と違う。
本を売る店は普通一軒あるかないかの店だ。
それがどういう訳か通り一杯に店を構えてる。
それで私は2人に連れまわされている。
「はぁっ」
疲れた。
もう何軒回ったか分からない。
博物館で今見れない手掛かりを見つけたのでそこまで積極的に探さなくても良かったのだが、一軒目で入った見るからに怪しく淀んだ空気が店の外にも漏れるお店に二人が私の制止を無視して入ってしまったのだ。
私も仕方なく入ってみたものの店内は闇としか形容出来ない様子だった。
まず黒い霧のような物が壁や仕切りのように佇んでおり店内の様子が掴めない。
明かりは妙に明るい事が怪しさに拍車をかける。
そんな中クーちゃんが本棚から取った本をトーマスと読み始めた。
本の内容は二人の体でかくれていて中身を見ることは出来なかった。
だが、突然本を閉じるといきなり二人に両脇を掴まれて店の外へ連れて行かれた。
それからもいろんな店に連行された。
それで今まで様々な店に入って何かを探すように本棚を探す。
もう何件回ったか分からなくなった辺りで二人を止めようとするが普段の二人では考えられないような行動に恐怖して止めるのを躊躇った。
だって目をギョロギョロして顔を近づけて探し、店を出たら鳥のように両手を振りながら通りを移動している。
通りをすれ違う人々がまたかとか色々呟いてたのが気になっていたが聞くのは後回しにして二人を追った。
そして今なのだが何やら変に輝いている店先のガラスで出来た壁の中に見えるように置かれてる本に向かって二人は顔を押し付けている。
うん。どうしよう。
そう戸惑ってると二人は拳を作りガラスを叩き始めた。
これはまずい。
二人を止めないと。でもどうしようか?
そう考えた時、頭にあふれるような感覚がした。
確かお父様が言っていた。
戦場では突然気が触れて普段では考えられない行動を取る者がいる。
その者は幽霊に取り憑かれていたり狂ってしまってそうなってしまう。
薬や聖水を飲ませるのが望ましいがそれが無い時は‐
私はトーマスの肩を摑み振り向かせ、顔を殴る。
殴れば良いらしい!理由はわからないけど。
ぐべっ!とうめき声を上げた後にガラスに持たれ懸かるように倒れた。
続いてクーちゃんだが顔を殴るのは可愛そうなので腹を殴る。
クーちゃんは私に向かって倒れた。
これでいいはず。
そのはずなのに胸がざわめくのは何故だろうか。
そう考えてるとふと周りに目を向ける。
私達の周りに人が集まってきている。
どうしようか。
こういう時ミッド達は必ず逃げていた。
だから私も逃げた方が良いのだろう。
私はクーちゃんとトーマスを肩に担いでその場から逃げた。
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「んん?僕はいったい?」
二人を広場のベンチに寝かせて周りを見てるとトーマスが目を覚ました。
「起きた?平気?」
「リーティエ?えっと何故か頬が痛むのと。あれ?通りに着いた後から何も覚えてない。」
「そう。」
というと通りに来た時に幽霊に憑かれたのか。
街の中に幽霊?がいたり地下に闘技場があったりこの街は危険なのでは?
そう思っているとトーマスが何が起きたか訪ねてきた。
今までのトーマスとクーちゃんを言葉が不自由な私なりに全て話した。
話して行くとトーマスの顔色が戸惑いを含んだ表情からドンドン顔を青ざめていき、そして今は頭を抱えて落ち込んでいる。
「僕はなんて事を。」
トーマスがそう呟く。
哀れに思うが私はやることをやった。
後、私にやれることといえば。
「水。買ってくる。クーちゃん。お願い。」
私は水を買ってくる事にした。
食堂で働いている時に酒で酔った客に水を差し出している。
あれは体調が良くない人にやるのだろう。
だから今のトーマスには水を出すのが良いのだろう。
私は広場の一角で馬車の荷台を改造した屋台という物に向かう。
屋台に近づくと何やら騒がしい。
見ると茶色の髪に質素な服装だが、明らかに仕立てのいい服を着た私と同じくらいの男の子と男の店員が言い争いをしていた。
「坊主。お金が無いんじゃこれは渡せねぇよ。」
「お金は後で持ってくる。だから、それを下さい。」
それからも同じ事を繰り返し話してる。
他に買い物が出来る店はここしか見当たらないし、早く二人の元に戻りたい。
仕方ない。
私は屋台に近づく。
「それ。私。払う。」
私は言い争いをしていた二人に割って入る。
私は銀色に輝く硬貨を出す。
「あ、あぁ。それだったら問題ないな。」
店で働いてる人は硬貨を受け取り、店員は何やら作業を始めた。
「ありがとう。お金を持ってくるのを忘れていて困っていたんだ。」
変だな。
「お金。戻る。良い。」
「あぁ。」
今、彼から何か嫌な視線‐嫌、感情を向けられた気がする。
「何、ちょっと理由があってね。」
彼はそう言った。
何か隠してる気がするが興味が無いのでそれ以上聞く気はなかった。
そこで店員が声をかけて来た。
「はいよ。女神様からのおごりだ。」
そう言って筒を三角形になるように丸めた物を彼に渡した。
それは薄い茶色の包に白いホイップクリームと言う物と柑橘類の果物が乗った物だった。
見た目は大きく違うがそれはケーキと同じ菓子だろう。
「はい。」
彼は受け取った物を渡したに差し出した。
「はい。一口どうぞ。」
どういう意図でそのような行動をするのかわからないでいると彼は話出した。
「恩を受けたらなるべく早く返すべして姉様に言われてるからね。だから君に食べて欲しいんだ。」
そうなんだ。なら食べよう。
私は菓子にかぶりつく。
「うん。美味しい。」
甘い味わいに爽やかな酸味が合わさって美味しい。
これは私が好きだった木苺のケーキに近いような遠いようなそんな味だ。
「喜んでくれて良かったよ。」
彼はそう微笑んでその菓子を食べた。
「うん。アルマの言っていた通り美味しいよ。」
彼はそう呟く。
「それじゃ。僕は行くよ。ここに居たら追っ手に見つかりそうだからね。」
それじゃと言って去って行ってしまった。
そこでふと彼の名前を聞くのを忘れてしまった。
ま、いっか。
早く飲み物を買って2人の所に戻ろう。
感覚的に店を探す時に目星を降って99出した感じです。
ちなみにガラスのショーケースの中に入ってたのはとあるマフィアの一生を描いた物語です。




