一個令人心碎嘅噩夢 その3
「時間。お願い。」
そう言ってリーティエ女士は囲いの壁の縁を掴み登っていく。
「おい!待て!ちゃんと説明を」
「うおおおおおおおおお」
説明を求めるもナイトメアが叫び声を上げながらこちらに襲いかかってきた。
「クッ!」
僕は構えてナイトメアを迎え撃つ。
ナイトメアは少し膨らむように走ってきて僕の前で曲がりながら勢いをつけて剣を振るう。
その行動は読めていたので次の行動の為に回りながら飛んで躱す。
続けて壁を蹴ってナイトメアへ飛んで殴りかかる。
それをナイトメアは走って避けた。
「離れていったか。」
今までのようにあの謎の煙を集めて作った剣や防具を使った戦いをしていたがどうやら変えてきたようだ。
僕ではあの速さには着いていけない。
だから攻撃してくる瞬間に合わせてこちらも攻撃すればいい。
幸い相手の攻撃全ては前動作が大きいから容易に躱せる。
そう考えて駆けるナイトメアを注意深く観察しながら構えるとナイトメアは剣を僕の方に向け突くように後ろに腕を引き、
僕は咄嗟に体を半歩回るように透明な斬撃を躱す。
「グゥ!」
僕は腹を抑えて膝を着きそうになるのを耐える。
熱い。
傷が熱を持ったように熱い。
べっとり血が付いた手のひらを見ながら考える。
なんだ今の?
あの動作と嫌な予感を感じたから体が思わず動いてしまったがまさかあんな攻撃が出来るなんて。
ナイトメアを見るとまた剣を引く動作をしている。
まずい!
僕は闘技場の外側に沿うように全力で走る。
背後から壁が砕ける音が連続で響いている。
あの攻撃!連続で出来るのか!
このまま逃げ続ければ負ける。
なら!
僕はナイトメアの進行方向にぶつかるように走りだす。
奴はまた見えない斬撃を飛ばそうと腕を引く。
また同じのが来る。
だが、タイミングを合わせて避ければいい。
ナイトメアが勢いよく剣を突き刺すような動作をする。
ここだ!
僕は飛び退いて躱す。
だが、ナイトメアは剣をすぐに脇に抱える。
何故?妙な動きをする。
それに奴から絶対に殺すという意思が感じられない。
まさか!?
僕はその場で思わず振り向いてしまった。
さっきの攻撃による跡が僕の後ろの方の壁にない。
フェイントだ!
そう思いナイトメアの方を驚愕の表情で向くと剣を降り-
ナイトメアの後方で突然の爆発。
それにより一瞬の間ナイトメアの動きが止まり、僕は後方に倒れ、大振りの斬撃を躱し、後転の要領で転がるように起き上がり、間を空ける。
助かった。しかしなんだ今の爆発は?
「大丈夫?」
「リーティエ女士!」
彼女は何かを持って闘技場に飛び込んできた。
--------------
--------------
爆発する不思議な半円状の筒の使用方法がわからなかったのでハオシュエンさんが戦っている間に近くに落ちていたケースに入ってた本を少しだけ読んだ。
その本は読めない文字でズラッと書かれていて、結局絵で書かれていた使う前に飛ばすエーテルが充満した物体に付いてる三角の形が着いた金属の棒を抜く事だけだ。
ナイトメアが何やらエーテルを纏ってない剣で何か良くない事をしようとしてたので急いで既に撃てる状態で地面に置かれていた筒を拾って発射する準備をし、それから前にチェスターが杖を使ったように狙いを定め引き金という部品を引いて発射した。
狙い通り当たらなかったが切り替えて爆発する物体一つと探してたやつを持って闘技場の縁を飛び越えた。
「リーティエ女士!」
ハオシュエンさんの体調を気をつかう。
腹から血が出てる。
気休めだけど。
『“痛みよ。癒えよ”-セフェイマロ ギルエ-』
私が放ったエーテルがハオシュエンさんに触れる。
「痛み。どう?」
「え?あぁ。少し退いた気がするよ。」
何故か前みたいに傷を癒せない以上こんなもんだろう。
「それでどういう作戦で行くの?」
「足。止めて。お願い。これ。叩く。」
そう言って爆発するやつを見せる。
「それはなんだ?」
これがなんなのか彼は知らなかったのか尋ねられたが-
「うおおおおおおおお!」
ナイトメアが私達を分断するようにこちらに走ってきた。
私達はそれを躱す。
「わかった!君の作戦に乗る!ただし一度だけだ!それで終わらせてくれ。」
一度だけ。恐らく怪我でもう限界が近いのだろう。
どちらにしろこちらも爆発するやつは大きさの問題で一つしか持って来れなかった。
ならこの一回で決める。
そう思った時走っていたナイトメアが私に向かって斬りかかってきた。
私はその走る勢いの乗った一撃を斬り結ぶのではなく片手で受け流すようにする。
受け流されたナイトメアは勢いを殺さずに駆け抜けて離れてまた私に斬りかかってきた。
なんだ?さっきから私を積極的に狙ってくる。
まさか爆発するやつを警戒して!
このままでは作戦通りに進めない!
1人でやるか?
いや、攻撃する暇がない。
このままじゃやられる。
3度目を受け流した時に空中で剣を放し、盾が無くなって空いた片手で剣を掴み私に振るってきた。
「グゥ!」
なんとか剣で防げたが無理な体勢で受け止めたのでそのまま吹き飛び壁に当たる。
壁に当たった時に息が詰まり咳き込む。
背中が凄い痛い。
「うおおおおおおおおおおおお」
ナイトメアが雄叫びを上げてこちらに走ってくる。
動こうとするがさっきの一撃で足が覚束ない。
ダメか。
そう思った時ハオシュエンさんが私とナイトメアの間に割り込む。
何をして。
「お前が僕から目を放してくれて助かった。おかげで気を練る事が出来た。」
ハオシュエンが腰を落としてまるで一撃の拳に賭けるような構えを取る。
「お前は間違えたんだ。僕を自由にしたのが間違いだったんだ。」
大きく息を吸い、吐く。
拳はエーテルにより輝いてる。
「お前の走りを止める!」
拳をナイトメアに叩き込む。
ナイトメアにエーテルが流れ込んで爆ぜた。
小規模であるが鎧の中の体がぐちゃぐちゃになったのは想像に容易く痛みで足を止めた。
やるなら今だ。
私は剣を鞘に納め、走り出す。
「ごめん。」
ビルの体に飛びつくのにハオシュエンさんの位置がちょうどよいので踏み台にして抱きつく。
ナイトメアが暴れるが片手と両足でしがみついていて長く持たないので早く終わらせよう。
私は腰に刺した片手で持てるサイズの小さな杖を引き抜き首に先っぽを押し当てて引き金を引く。
お父様が言っていた。
こいつはエーテルを用いた攻撃じゃないと倒せない。
エーテルが傷の治癒を妨げ、精製物を砕く。
こいつもエーテルを発する杖でなら鎧を壊せるはずだ。
杖を撃ち続ける。
何回撃ったかわからないほど引いた時ナイトメアを覆っていた黒にヒビが入り、そしてもう1発撃ち込んだ時黒が割れ、ビルの皮膚が見えた。
爆発するやつを叩き込みたいのでもう1発撃ち込む。
傷からドス黒いエーテルを多く含んだ血のような液体が溢れ出す。
ナイトメアが痛みからか金切声をあげる。
「うるさい。」
私は傷に爆発するこれの棒を口で抜いてねじ込み離れて杖を向ける。
どういう仕組で爆発するのか分からないがチェスターいわく叩けば良いらしいから杖で撃ち抜けば爆発するだろう。
私は引き金を引く。
カチッ!
引き金を引くが何も起きない。
もう一度引くが何も起きない。
なんで!こうなったら!
私は空いている手の平を向ける。
『彼の者に氷塊の槌‐ジジョモン・ド・グラス‐』
手の平の所に氷が生成され、
そこで腕から血が吹き出した。
私は痛みの余り腕を抑えて叫ぶ。
『なんでぇええええええ!』
氷の塊は飛んでいき、目標に命中する。
爆発するやつはエーテルの輝きが増し、爆発した。
大きな音に爆発による風がこちらに吹き荒れる。
終わったんだ。
ナイトメアがいた辺りは煙で何も見えないが首で爆発したんだ。
生きてるはずがない。
私は膝を付いて腕を抑える。
なんで。的あてで何度も使っていたのにこんなの初めて。
「リーティエ女士!」
ハオシュエンさんがこちらに来た。
「その傷。いったい何が?」
私もどうしてなのか聞きたい。
「まぁ、ここにいてもしょうがない。遠回りになるけど医務室に行こう。」
ハオシュエンさんが手を差し出す。
私は彼の手を触れ‐
「グアアアアアアアアアアアアアアア」
雄叫び声が響き渡る。
視界を防ぐ煙は吹き飛び、鎧が溶けるように落ち、ビルの首がぶら下がったナイトメアが現れた。




