いらっしゃいませ!
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私は食後、ヘイデン様に執務室に連れられた。
「さ。そこのソファに座ってくれ。」
私は執務室のソファに座る。
ヘイデン様は執務室に置かれられた大きな机に備えられた見るからに座り心地が良さそうな椅子に座る。
「さて、君に仕事を紹介する前にまずはこれだけは言っておこうと思う。」
ヘイデン様は両肘を机に付き、一息間を置き話出す。
「私は世間からしたら善良な人間とは呼べない。」
そう唐突に発言した。
「私は裏の人間とも繋がりがある。帳簿の残せないような裏金を貰った事がある。なんなら邪魔になり、殺人の指示を出した事もある。」
ヘイデン様が曇り無き眼差しで私を見つめる。
「だが、これだけは言える。妻や息子に恥ずす物はないと考えている。」
なぜ、私にその事を言ったのだろうか?
そう困惑してると執務室の扉がノックされる。
「入り給え。」
ヘイデン様がそう返事をする。
扉を開けて入って来たのは赤髪の壮年の男性が入って来た。
「旦那。どのような要件ですか?」
彼が部屋に入って来た時、私と目があった。
「ほう。あの時のowjsか。」
「紹介しよう。私の相棒であるジミー・ルトゥハウだ。」
「ジミーだ。よろしく。」
ジミーと呼ばれた彼は手を差し出した。
私はその手を握り握手をした。
「ジミー。彼女に仕事を斡旋してくれ。ただし例の計画に彼女を加えるからそれに合う仕事にしてくれ。」
「あぁ、例の計画ですね。」
例の計画?私が働く時の条件だろうか?
「となると賃金が少ないが午後からの仕事で休みは週に2日の仕事になりますが生活していくだけの金は厳しいですよ。」
「何、問題ない。彼女は我が家で面倒を見る。」
私が関われない雰囲気で話が進んでいく。
確かに仕事をもらおうとお願いしたがせめて私に説明と話に入れるようにして欲しい。
話がどんどん進んでいく。
「よし!じゃあ、着いてこい。仕事を紹介してやる。」
こうして話が終わるとジミーさんは座っていたソファーから立ち上がり、部屋を出ようとする。
私も出て行こうとするが、
「もし」
ヘイデン様がそう私に語りかける。
「もし、私の事を許せないと思ったら敵対しても構わない。それが君の正義なら。」
ヘイデン様がそう言う。
私は気の利いた言葉を知らないので彼を見つめ、首を横に振り、部屋を出た。
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私は今、一つの建物の前にいる。
体が大きく怖い顔をした男性と共に。
これには事情があり、それを説明するには少し戻る。
ジミーさんに連れられ、一つの建物に入った。
そこはジミーさんの仕事をする為の建物。
カイシャという物との事。
そこで紹介されたのは今私の横にいるハドリーだ。
「こんにちは!」
初めてあっていきなり鼓膜が敗れそうな声で挨拶をされた。
そして、歴戦の猛者のような顔がものすごい速さで迫って来た。
『ヒィ!』
あまりの事に思わず悲鳴を上げてしまった。
「ほう。君が旦那さんやジミーの親方を救ったていうhsjdjさんなのか。」
地の底から唸りを上げて響き渡るような声で私に語りかける。
怖い。
「おや?どうしたのかい?元気がないじゃないか。お腹すいたのかい?職場に行く前に軽い食事を取っていくかい?」
「あー。ハドリー。リーティエが困惑してるからそこまでにしてやれ。それよりそろそろ時間だろ。」
「クックックック。あぁそうですね。そうだそうだ。楽しみだ。存分に力を振るおう。」
そう言ってまた恐ろしい笑い声を上げる。
私はこれから狩りにでも行くのかな?
こうして彼に連れられてここまで来た。
なお、その際に仕事の内容を教えてもらう事はなかった。
必要な事は教えてよ。
「さぁ、行きましょう。」
ハドリーさんが建物の中に入っていく。
もし、彼が何か悪い事をするようなら私が止めよう。
そう思い、中に入る。
中はテーブルと椅子がいくつか置かれており、壁の方に煉瓦の暖炉がある。
初めて見る室内に戸惑っていると奥の方から誰かが現れた。
「やぁ、いらっしゃいませ。好きな席に座ってください。婆さんや水、水。」
「えぇ、分かってますよ。」
現れたのは年齢のせいなのかヨボヨボとしたお爺さんと腰の曲がったお婆さんだ。
初めてみたお年寄りに戸惑ってると、
「こんにちはー!ジミーの親方の所から来ました!」
ハドリーさんが雄叫びをあげるような声をあげる。
まさか獲物はこの老人達なのか!?
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「いらっしゃいませ。こちらの席にどうぞ。」
「兄ちゃん。ハンバーグの注文はいったよ。」
「はーい!すぐ作るよ!」
結論か言うと私は今、女中の仕事をしてる。
ここはお金を対価に料理を食べる場らしい。
そこでハドリーさんは巧みにフライパンを振り、目にも止まらぬ速さで包丁裁きを披露する料理人だった。
お爺さんは年を感じない巧みな動きでどんどん料理を盛り付けていき、お婆さんは見た目とは違い効率良く注文を取り、配膳する。(愛想も良い。)
私?私は最初に述べた通り女中の仕事である、皿洗いをしている。
いやね。私は情けない事に言葉も上手に話せないし、文字も読めないから自然とこの仕事を任される事になった。
この事に不満は無い。
お父様にこう言われてる。
仕事に貴賤は無いと。
それぞれがそれぞれの役割を必要とされ、任されている。
だが、疑問に思う事がある。
この食堂という場所に私達はいらないのでは?
以前からお爺さんとお婆さんで食堂が運営出来ていた。
なら、私達はいらないのでは?
そう思っていたがその答えがすぐに出た。
「おら!ゴラァ!何営業してんじゃ!」




