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デシデ オン フラクシュン セコンド

突然現れた亡霊のような少女はセドリックの遺体に近づき、傍らに落ちている剣を拾い上げ、剣を見定めるように観察する。


「おい!ガキ!運が悪いな。お前はこの場を見ちまったな。残念だが死んでもらう。」


追手全員が短杖を向ける。


「に、逃げろ。逃げるんだ嬢ちゃん。」


俺は必死に逃げるよう声を出す。

だが少女は逃げるのではなく、剣先を地面に付け、目線を追手へと向ける。


「へぇ、逃げるんじゃなく俺達へと立ち向かうてのかい?まるで勇者みたいに。」


追手の一人が笑う。

それに対して少女は返事をするようにブツブツと何か呪詛のような物を唱え、剣先を音を立てながら円を描くように引きずり、剣先を後ろに下げた構えを取る。


「そうかい。なら死ねや!」


追手全員が少女に向けて引き金を引こうとした時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それに思わず手を項に回してしまった。

追手も同じなのか一瞬行動を止める。

だが、少女にはその一瞬で充分だった。

少女は左右の壁を跳ね、一瞬で追手の一人へ近づき、飛び上がって首を的確に斬りつける。

斬られた本人は何が起きたのか分からず、首を抑えながら倒れる。

少女は一人の背後に周り片足を斬る。

その片足を斬られた追手は片膝を付く。

片膝を付いたことで急所を斬りやすくなり、すかさず脇腹を深く斬る。

振り切った刃を返し、その場にいた一人の胸を斬りつけ、腹を裂くように斬る。

一瞬で三人をやってしまった。


「うわぁあああ!」


追手の一人が悲鳴を上げながら短杖の引き金を引く。

少女はどこを撃つのか事前に分かっているかのように躱してしまう。


「バカ!俺達に当たったらどうする!」


追手のリーダー格と思われる奴がそう注意する。

戦いはどんどん進んでいく。

一人が殴りかかるが剣を斬り上げて男の顔面を斬る。


「アガアガガガ!」


顔を斬られた男は顔を抑えて座り込む。

そこに少女が近づき頭上に剣を振り上げ、その一撃で首を絶った。


「ひ、ひいいいいいいいい!」


一人の男がその場から逃げた。


「おい!逃げるんじゃねぇ!」


リーダー格の男が引き留めようとするがそれを無視して逃げる。

リーダー格の男が舌打ちをした。


男はナイフを取り出して少女に刃を向ける。


「おい、ガキ!てめぇはなにもんだ?」


男が少女に問いかけるがそれを無視して剣先を相手の目に向けて構える。


「ふん。気味の悪い奴だ。だが俺は他のやつと同じと思って見くびるなよ!」


男はナイフを投げて短杖を少女に向ける。

少女は剣でナイフを上に弾く。


「足を止めたな!」


男は引き金を引く。

だが、そこに少女はいない。

少女は飛んで躱し、空中のナイフの柄尻を蹴り、男の方に飛ばす。

男はナイフを驚きの声と共に避けるが、

少女は壁を蹴って男の方へ勢いを付けて迫る。

男はその一撃を防ごうと片腕を上げるが、

その片腕ごと胴体を斬られる。

男はそのまま倒れ、少女は剣を振り血を振るい落とす。


何だったんだいったい?

俺が少女に声を掛けようとした時にその異変に気がついた。

少女は剣を振った体勢のまま動かない。


「おい。どうした?」


俺が少女に近づこうとした時に少女はその場で剣を落とし、倒れてしまった。


「大丈夫かよ!おい!」


俺は近づき抱える。

少女の呼吸は荒い。

顔に掛かってる髪を退かし額に手を当てる。


「すごい熱じゃねぇか。おいしっかりしろ。」

------------------

------------------

今、私は夢を見てる。

燃える建物の中に意識ははっきりしているが体が一切動かない。

あぁ、熱い。苦しい。おかしくなりそうだ。


助けて。誰か。誰か。


「大丈夫だよ。」


誰かが私の手の平を掴んでくれた。


その感覚で私は目を覚ました。

ぼやけた視界が次第に鮮明になっていく。

知らない天井だ。

それに私はベッドに寝かせられているようだ。

少し硬いが寝ごごちは良く、また寝てしまいそうだ。


ふっと私の右手を誰かが両手で包んでいるのに気付く。

私はそちらの方へ首を向ける。

ベッドの側には黒く艶やかな長い髪の少女が私の手を両手で包むように握っていた。


「あなた。誰?」


「気が付いた?良かった〜。あなたはここに運び込まれてまる1日寝てたんだよ。」


少女はマイペースに話す。

そうか。私はまる1日寝てたのか。


「ちょっと待ってね。今誰か呼んでくるから。」


そう言って黒髪の少女は手を優しく置き、ドアを開け出ていった。


・・・・・・・えぇとなんで寝かされているんだろう?

確か駅を出て馬車から振り落とされて川に落ちて。

それからなんとか川から這い上がってボーとする頭で当てもなくフラフラと彷徨い歩き、裏道を歩いてる時に近くで大きな音がしたからなんとなく行って。

私がいた通りの先で杖の発砲音が鳴り響いて男の大人が倒れて剣を落としたからそれを拾いに行って。

その剣を見てると複数の大人から殺意を向けられたから死にたくなくて戦う構えをとって唐突にシーフウルフの技を思い出してなんとか再現出来ないかとあの感覚を再現してみて、上手くいったからその隙に敵を倒した。

までは覚えてる。

うん。おかしい。

なぜ、死体に見向きもせず剣を拾ったんだ?

なんで殺意向けられたからて逃げずに戦ったのか?

なぜ、唐突に新技が出来たんだ?

今思い返すと我ながらめちゃくちゃだ。

これも全て川に落ちて調子悪くしてたせいなのか?


まぁ、もう過去の事だ。

それよりここはどこだろうか?


私は部屋の中を見回す。

少し狭いがベッドに机、タンスがある。

恐らくこの部屋は来賓の人を泊める部屋だろう。

それも従者が泊めるための部屋だ。

私の家にもこんな部屋があった。


そう考えてると部屋にドアからのノック音が3回響く。

するとドアは開かれ、青みかかった黒髪の少年と先ほどの黒髪の少女が部屋に入ってきた。

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