サスペイシャス ビーヘイビオウ
突然の轟音に揺れ、この感じからして結構近く、それも壁1枚離れた所で何かが爆発したような……
「リーティエ!とりあえず離れましょう!」
レーナが私が持っている籠に目的の本を押し込み部屋を出るように急かす。
確かにここにいるのはまずい。
私達は急ぎ部屋を出て私が割った窓の側を通ってその場を離れる。
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「なんだ!どうした!」
「ボスの秘蔵庫側で爆発が起きたらしい!不審な奴が居たら捕まえろ!」
道行く人々が慌ただしく行き交いしている。
彼らの話す内容を聞く限り爆発が起きた事は知れ渡っているが誰が爆発を起こしたのかは分からないようだ。
それにしても誰がどのような動機で爆発を起こしたのだろうか?
「ちょっと貴方達!」
私が歩きながら考えにふけていると背後から女性の金切り声が響いた。
見つかったか?
いや、落ち着け。まだ見つかったわけではない。
前を行くレーナが立ち止まるのに合わせて止まり、振り返る。
「はい。なんでしょうか?」
レーナが私の前に出て話出す。
ここは彼女に任せよう。
「貴方達。見かけない顔だわね。いったいどなたなのかしら?」
私達に声を掛けた女性-私達と同じ侍女服を着てるので彼女も侍女なのだろう-は私達に付いて尋ねて来た。
彼女の声がこの場にいた全員に響き届いたのか皆が歩みを止めてこちらに向き直った。
「そ、それは…………その?」
レーナが戸惑っている。
大丈夫かと不安を覚えるが彼女に任せよう。
「はっきりしなさい!」
彼女は感情が昂ぶったのか激昂して詰め寄って来た。
まずいか?
「ヒェ!申し訳ありません!じ、実はリタさんに頼まれて酒を届けに来たんです!ごめんなさい!」
追い詰められたという事が伝わる声色で話、頭を下げた。
今までこんなレーナを見た事ない。
大丈夫なのか?と思ったが周りにいる大人がざわざわ何やら小声で話している。
これはレーナの態度に同情を集めてるのだろう。
これは行けるのか?
「…………悪かったわ。そんな事情があったのね。」
彼女が謝罪をする。
これは大丈夫そうか?
「リタさんは仕事がいまいちで態度も悪く回りの評価も悪い事で有名でしたものね。そんな彼女なら脅して酒をもってくるよう仕向ける事もあるかもしれませんわね。」
彼女がリタという人物について口にしていく。
「だから、彼女は昨日首にされて屋敷から追い出されたの。」
その言葉に周りがざわつき出した。
まずい。私達が侵入者だとばれるのでは?
「…………ねぇ?これってどういう事かしら?」
回りから疑念を含んだ視線が刺さる。
まずい!もう言い逃れが出来ない!
「…………はぁ。仕方がないです。」
そう言うと両手でスカートを掴む。
「それではさようなら。」
その言葉と共にスカートを勢いよく両脇に広げ、何かが落ち、ガラスの割れる音が響いたあとレーナを中心に白い煙が勢いよく広がり始めた。
「なんだ!これは!」
「前が見えん!」
煙はまたたく間に広がり私の周りを覆う。
今が逃げるチャンスなのは分かるが無闇に逃げるのはあまりにも無謀だ。
どうする。
周りを見回しているとこっちですという小声と共に手を引かれる。
その声に聞き覚えがあり、引かれるままに進む。
やがて煙を抜け、晴れた所でレーナに手を引かれるままにどこかの曲がり角に隠れる。
「これからどうする?」
「こうなってしまえば私達の大まかな容姿が屋敷の皆に伝わるでしょう。ですからどこかで目立つ事をして惹きつけて下さい。」
「……ちょっと待ってくれ。流石にあの場にいた人しか姿を知らないだろうから今すぐ屋敷を出ればまだなんとかなるだろう。」
「…………何を言ってるんですか?貴方は正門で管に話しかけている人を見ましたよね?あれは館全体に言葉を届ける物ですよ。」
レーナにまくし立てられる。
あれはそんな物だったのか。
「廊下にはあの管は無かったですが各部屋にはあるのでしょう。あれならすぐに私達の容姿が皆に知れ渡るでしょう。こうなったら今のままじゃ脱出は難しいです。」
「…………分かった。陽動をしてみる。それでいつまで陽動してれば良いんだ?」
「私が分かりやすい合図を送りますのでその時にすぐに正門に来て下さい。そこから脱出しますよ。」
「分かった。やってみる。」
私は一抹の不安を抱えながらレーナの提案を了承した。




