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「着替えは終わりましたか?」


「もう少しだ。」


私達はあの離れから少し離れた茂みに隠れて着替えている。

何故そんな事をしているかと言うと

あの後、アイロン室に赴き、女性の服を回収という名目で持っていき、離れから出て茂みにて着替えて今に至るのだ。

それにしてもこの服、着替えてみて分かったが下働きの服に刺繍とエプロンと髪を纏める被り物を足しただけかと思っていたがやたらとさわり心地が良く質が良い。


「待たせた。」


着替えが終わり、茂みから出て改めて確認をする。

特におかしな所は無いな。


「では準備出来たようなので本館に行きましょう。はい。これを持って下さい。」


そう言いどこに用意していたのか大きめの籠を私に渡して来た。

私はそれを受け取り、中身が気になったので中身を隠すように掛けてある白い布を捲る。


これは……


「酒瓶?」


「ええ。この先、この籠を奪われそうになったらこれはー!?と叫んで悲しそうにして下さい。あと、特に抵抗とかしなくて良いですよ。」


「………………分かった。」


いったいどういう意図があるのだろうか?

それからは何も話さずに庭を歩き本館と呼ばれる大きな建物の前に辿りつく。


ここが目的の物がある本館か.....。

ここに目的の本があるらしいがいったいどういった本なのだろうか?

そう疑問に思いながらも前を歩くレーナはどんどん歩を進めていき、館の裏側、裏口の方へ来た。


「準備は良いですね。引き続き動揺しないように。」


私は返事の意味を込めて頷く。


私の返事を確認するとレーナが滑らかに音も無く扉を開け、中に入る。

私もそれに続くように中に入る。

入った所はわずかに温もりがあるが、薄暗く、鉄臭い何かよくわからない見上げるほどの大きさの金属の物体が鎮座していた。


「ここは給湯室です。ここはこの時間なら誰もいないので安心して下さい。」


「……それにしてもやけにこの屋敷に詳しいな。ここに住んでいたのか。」


私の問いにほんの少しの間を置いた後、ため息をついた。


「そんな訳ないじゃないですか。調べたのですよ。長い時間をかけて。それだけですよ。」


「…………その。お前がそこまでして求める本とはいったいどんなものなんだ?」


私がふと感じた疑問を口に出す。


「私は次に進みたい。その為にここにあるという本が必要なのです。」


次に進む為。

彼女にも何か悩みがあり、その為に今動いてるのか。


「納得してくれましたか?それでは行きましょう。」


私が少し納得をしているとレーナが急かすので歩みを進める事にした。

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーー

私達は廊下を歩く。

様々な人達とすれ違いながら。

すれ違う人はスーツを着た人が大半、時々所々汚れが目立つ格好の人や私達と同じ侍従の格好をした人等多岐に渡る。

その皆が忙しそうに苛立たしく歩いている。

何故、皆苛立たしくしてるのか?

そう疑問に思うも今はやらねばならない事に集中しよう。

今の所事前に打ち合わせしたような事は起きていない。

どうやら順調なようだ。


「止まって下さい。」


曲がり角に差し掛かろうとした時に前を歩くレーナが静止を掛ける。

なんだ?と思いつつ彼女を見ると隠れながら曲がった先を気にしている。

どうしたのだろうかと私も覗こうとするとレーナが手で静止を指示したのでやめた。


「見て下さい。」


そう言い角から離れたので変わるように曲がり角を覗き込む。


曲がり角の少し離れた先に何やら綺麗な像があり、その隣に男性2人が何か話しているのが見える。

恐らくあそこに大事な物がある部屋があるのだろう。


「恐らくあそこが目的の物がある場所でしょう。ですがこのままですと近づく前に見つかってしまいます。そこで貴方には何か騒ぎを起こして惹きつけていただけませんか?」


惹きつけるか……。

どうしようか?

まぁ良い。探して見よう。


「分かった。やってみる。」


いたずらは鮮度が大切だとお兄様が言っていた。

だからこの廊下の先に何かないか見てみよう。

私はレーナから離れ目的の部屋を中心にぐるっと回り込んだ。


さて、歩いてみて分かった。

都合よく惹きつけれる物は無い。

今まで歩いた所には使えそうな物は無いし、目的の廊下には像と窓ガラスが嵌った窓しかない。

…………しょうがない。

私は籠を酒瓶を掴み、窓に向けて思いっきり投げた。

窓は大きな音を響かせながら割れた。


「何事じゃ!」


男性の声が廊下に響く。

私は壁に張り付き廊下をのぞき込む。

一人の男性が窓に近づき、もう一人は扉の前にいるが顔を窓に向けてる。

窓に向かっているのは私がやるか。


男性が近づいた時に飛び出し持ってきていたハンマーで顎を殴る。

シンユーさん曰く顎を殴られると頭が揺れて意識を保てないとの事。


「・・・・それて生きてます?」


レーナが男性首を紐で縛りながら安否を尋ねる。

私は何も言わずに今襲った男性の口に手を当てる。


「呼吸してるから大丈夫。」


「・・・・とりあえずこの人達を部屋に入れましょう。」

男性の意識を奪った彼女は戸惑いながらも指示をし、私達は二人を引きずって中に入れる。


「さて、お前が欲しいていって本はどれだ?」


「えぇ。あれです。」


彼女の視線の先を見ると台座の上にガラスのケースに入った本が飾られていた。


「それじゃ早く割ろう。」


私がハンマーを振り上げるとレーナが手を上げて静止する。


「私が鍵開けますから変な事はしないで下さい。」


そう言い台座の裏に回り何やら細い金属棒を取り出し、何か作業を始めている。

何をしてるのだろうか?

私は彼女の作業をのぞき込む。

レーナは鍵穴に棒を入れて開けようとしている。


「開けようか?」


「ピッキングの経験がおありで?」


「まぁ、見てて。」


私は鍵穴に触れる。


『開け-アプリーレ-』


鍵穴に魔力が流れ形作り嚙み合った所で鍵が開いた。


「ほら。開いた。」


私はガラスケースを持ち上げて外す。

その瞬間あふれ出るマナに一瞬たじろぐ。


これは・・・マナを帯びた道具?


「あー。良かった良かった。これが欲しかったのですよ。」


レーナが本を取る。

大丈夫だろうか?そう不安感を覚えてると突然大きな音が鳴り響き、部屋全体が揺れた。

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