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異世界に迷い込んだみたいです

作者: 東雲 ゆら

思いついたことを書きたいところだけバーッと書きました(それでも結構長くなってびっくりですが)。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。よろしくお願いします。



 普通の人生を送っていた。

 高校を卒業して、進学する友人達の流れに乗るように大学へ進学して、就活も特に問題なく、大手ではないけれどそれなりの中小企業へ入社して、日々を暮らしていく。

 “人生山あり谷あり”なんて言うけれど、特に苦に感じることもなく。

 仕事で辛いこともあるけれど、それでも世間で言う「ブラック企業」やら「パワハラ」やらの言葉が当たり前の世の中、私のいる場所は随分と恵まれていた。

 年齢も20代後半に差し掛かろうかというところ。運命的な出会いまでとは言わないけれど、いつか好きになった人とお付き合いをして、結婚して、子供が生まれて育つのを見届けて、老後をゆっくりと過ごすような――そんな人生をこのまま送れたらいいな、なんて思って。


「そんな馬鹿な」


 ――思っていたのに。


「……ここ、どこよ?」


 気が付けば見知らぬ森の中。

 ここは樹海ですか? と、思わず首を傾げたくなるような風景は、私の住んでいた場所ではまずお目にかかれない。

 そもそも私はつい先程まで、ビルの立ち並ぶオフィス街を普通に歩いていたはずなのに。


 ――こんなファンタジーな展開、誰が予想できようか!


 私は頭を抱えて、声にならない叫びをあげた。




*****




 ガタゴト揺れる振動に、何度目かわからないため息をこぼす。


「お頭ァ~まだ進むんですかぃ?」

「当たり前だ。この辺りは治安が悪ィ(・・・・・)からな。せめて街道を抜けて森に入った後じゃねぇとと安心できねぇよ。それまで我慢しろ」


 治安が悪いとは良く言う。

 私は思わず据わった目を、馬に乗って荷馬車を引く男達に向けた。

 人を見かけで判断してはいけないとは思うけれど、男達の身なりはいっそ清々しい程にあからさまだった。


「うへぇ、森までって、あとどれくらいかかることやら……俺ァ朝日を浴びちまうとてんでダメなのになぁ」

「そりゃ俺も同じだ馬鹿たれ」

「たまにゃ、暗い内にたんまりと眠りたいもんだ」

「仕方ねぇさ。俺達みたいな稼業は、闇と共に行動するのが一番いいんだから」

「そりゃ違いねぇ」

「それに、ほら」


 男達の意識がこちらに向けられそうになるのを感じ、ふいっと視線を外し俯いた。


「こんな上玉滅多に見れねぇぜ。俺達も運がいい」

「こっちの言葉を理解してねぇのは、ちと惜しいが……ま、それもこいつの見た目からしたら些細な欠点だな」

「むしろ言葉を理解していない方が都合が良いという奴らもいるだろうぜ」

「お前ら無駄口ばかり叩いでねぇで、ちゃんと見張れ!」

「へえい!」


 穏やかとは言い難いお喋りに興じていた男達は、「お頭」と呼ばれる男に叱咤され、首をすくめると周囲を警戒するように目を走らせた。

 再びシンとした場に、ガタゴトと荷馬車が引かれる音と、馬が地面を踏みしめる音だけが聞こえる。

 私は、静かになった男達の方を見ようとはせず、俯けた顔を少しだけ動かして横目で隣を見た。

 荷馬車の同乗者は、みんな妙齢の女性ばかり。青い顔で体を震わせじっとしている。


(みんな顔色が悪い……無理もないか)


 私が男達の言葉を理解したのは、つい昨日――森の中で彷徨っていた私を、男達が捕らえてしばらく経ってからのことだ。

 最初は何を喋っているのか全く理解できなかったが、何度か男達の話す言葉を聞いている内に自然と理解できるようになった。理解できた原理はさっぱりわからないけれど。

 理解する過程で知った、女性達が黙って大人しくしている理由は、男達に「騒いだら殺す」と脅されているからだった。

 非現実的な出来事の連続で、尚且つ何語を喋っているのかわからず混乱していた私は、言葉を理解する前から大人しくしていたので、男達の逆鱗に触れることはなかったのが幸いだろう。


(悪い夢なら早く覚めてほしいけど……)


 怯える女性達から目線を外し、立てた膝に額を当てた。


(気が付いたらいきなり知らない場所……それも私が住んでいた場所にはないような森の中って、一体どこの夢物語の話よ)


 異世界に飛ばされるみたいなファンタジー小説は嫌いじゃないが、現実に起きちゃうのはいただけない。そういうのはあくまで空想上の物語であって、楽しむだけで十分なのだ。実体験は求めてません。


(まぁ、ここが異世界かどうかはわからないんだけど)


 森を彷徨う私を、現地の心優しい人が助けてくれるような展開ならまだ歓迎したが、残念なことに私を見つけたのはどう見ても裏社会に生きる男達だった。

 話しかけてくるけれど、何を言っているか全く理解できなくて困惑する私を、あれよあれよという間に縛り上げ、女達のいる荷台に押し込めて――随分と手馴れていたし、人攫いなのだろう。

 縛られているのは手だけだが、いくら足が自由でも動いている荷馬車の荷台から飛び降りるのは危険過ぎるし、何より馬に乗った男達にすぐに捕まってしまう。


(魔法とか、使えたらなぁ)


 物語にありがちな設定から期待をしてみたけれど、結果はよくわからなかった。

 そもそも魔法があるとして、どうやって使うのか検討もつかない。ひっそりと男達の様子を観察してみたりしたけれど、そういった素振りは一切なかったと思う。


(魔法のない世界?)


 いや、そもそも魔法自体、元の世界では空想上の産物に過ぎなかったのだけれど。


(……現実逃避もいい加減にして、本気で脱出方法を考えないとね)


 男達の会話から、私はとても珍しい容姿をしているということが伺える。

 月明かりで僅かに照らされ確認できた女性の容姿の殆どは、欧米寄りのくっきりした顔立ちに、明るい髪色目の色をしている。

 それに比べ、黒髪黒目の私は非常に浮いている――いや、暗いこの状況だと逆に闇に溶け込み過ぎて見え辛いか。


(とにかく……)


 男達が人攫いだとして、捕まっている私達はつまり商品なのだろう。こういう場合、売られる先にろくなところがないのは明白だ。


(夜の内の行動は、この状態を見られてはいけないからだろうし……そうなると、人攫いの稼業は勿論非合法ってことよね。さっき治安が悪いとか言っていたけど、あの人達にとってはという意味なら……商品側である私達からしたら、唯一助かるチャンスかもしれない)


 私はそっと周囲に目を走らせた。

 街灯などの明かりが一切ないので、頼りになるのは月明かりくらいだ。荷馬車が進んでいるのは整備された道のようだが、建物などは見当たらない。少し向こうに森が見えるだけだ。


「――チィッ! きやがった!」


 しかし突然状況が一変した。

 何かに気づいたのか、男の1人が叫ぶと、ガタンと荷馬車が大きく揺れ、スピードが上がった。

 女性達が悲鳴をあげる。


「っ」


 酷い揺れに、思わず舌を噛みそうになった。

 歯を食いしばって、転倒を堪えながら、何が起きたのか状況を把握しようと周りに耳を傾ける。


「クソ! あともう少しだったのに!」

「獅子王の狗共めが!」


 男達の言葉を聞いて、女性達の表情に僅かな期待のようなものが浮かんだことに気づいた。


(獅子王?)


 すごい英雄っぽい響きだし、女性達の反応を見るに味方と思って大丈夫だろうか。


「おい!」


 突然荷台の扉が開けられ、焦りを浮かべた男が中を覗いた。

 途端、女性の内何名かが甲高い悲鳴をあげたが、男が気にすることはなく、真っ直ぐ腕を伸ばしてくる。


「来い!」

「いっ」


 無遠慮に二の腕を掴まれ、手首を縛られたままの私はろくな抵抗もできず、無理やり荷台から引っ張り出された。


「後は捨て置け! 森へ走れ!」


 私を引っ張り出したのは、お頭だった。

 荷物のように小脇に抱えられ、全力で馬を走らせる。


 商品は逃走に邪魔だと切り捨てられたようだ。荷馬車に残された女性達は後ろから追ってくる獅子王とやらに、無事保護されるだろう。


(私も放置で良かったのに!)


 舌を噛まないようにするのに精一杯で悲鳴もあげられない私は、お頭を睨みつけた。


「クソ!」

「お頭! マルクとゾットがやられた!」


 月明かりの届きにくい暗い森の中へ飛び込んで、追っ手を撒こうと必死の男達だが、何人か捕まってしまったらしい。


(暗いから見えないのはわかるけど……)


 腕に抱えられながら、私は後方へ顔を向けた。


(どうして何も聞こえないんだろう)


 追手の気配が、私には全く感じ取れなかった。

 男達と同じく馬を操っているなら、そういう音が後ろから聞こえてきてもおかしくはないのに、こういう状況ながらつい不思議に思ってしまう。

 男達がこんなに必死になって逃げようとしているのだから、何かが追ってきているのは確かなはず。


(……ん?)


 何か障害物を飛び越えたのか、一段と大きく跳ねて強い衝撃が訪れる。


(何か……)


 すごく嫌な予感がする。

 私を抱えたお頭は、いつの間にか先頭を駆け抜けていた。

 

(あそこから、急に明るく――)


 暗い森だったのに、今向かっている進行方向がやけに明るい。

 私の「嫌な予感」は結構当たることを、親友が笑って話していたのを思い出した。


「――っ前!」


 叫んだ私の声に驚いたのか、それとも目の前の状況にようやく気づいたのか、私を抱えた男は慌てて手綱を引っ張った。

 しかし、遅い。


「……嘘」


 感じた浮遊感に、私は息を飲んだ。

 眼下に広がるのは鬱蒼とした森の景色――(くう)に放り出されたのは私だけだった。


(崖……)


 自分の命が可愛かったのだろう。男は自分が助かるために片手を塞いでいた私を投げ捨て、目の前ギリギリに迫った崖を回避した。

 転落死は免れるだろうけど、馬もろとも地面に倒れ込んだようだから、きっとすぐに捕らえられるに違いない――もう、どうでもいいけど。


「っいやああああああ!」


 人生で一番声を出した。

 叫んだところで状況は変わらないのに、それでも叫ばずにいられない。


 ――意味もわからないままこんなところに迷い込んで、ろくな目に遭わないまま転落死なんて嫌だ!


 絶望し、覚悟もできないまま襲い来るだろう衝撃にギュッと目を閉じる。

 びゅうびゅうと叩きつけるような風圧を感じながら、私は最後の足掻きとばかりに叫び続けた。


 ――しかし、思っていたような衝撃が訪れることはなかった。


「うっ」


 腹に感じた強い圧迫感に呻いて、浮遊感と風圧を感じなくなっていることに気づく。

 恐る恐る目を開けて、先程よりも迫っている森の景色を呆然と見つめた。

 体が浮いている。


「何で……?」


 落下が止まっている有り得ない光景に驚いた私は、キャパオーバーになったのだろう。ふっと意識が遠のくのを感じた。


「――……間一髪といったところだな……おい?」


 意識を失う寸前、耳元で低い声が聞こえたような気がした。




*****




「……あれ?」


 目を覚ますと、森の中じゃなかった。

 天井は見覚えのないものだけど、背中に感じるふかふかした感触、程よい温もり――ベッドの中? と、ぼんやりする頭で結論を出して、飛び起きた。


「どこ!?」


 どこかの室内であることは間違いないが、いやそもそもどうして私は助かっているのか。


(生きてる……夢?)


 崖から放り出されて落ちたのは夢だった?

 人攫いに捕まって売られそうになったのは夢だった?

 そもそも森の中にいたこと自体が夢だった?


(オフィス街を歩いてて、倒れて、どこかの病院に運ばれたとか?)


 私の勤め先は、服装に関しては華美過ぎないもの、ラフ過ぎないもの……まあつまり社会人として節度を持った服装であれば、割と何を着ても自由だった。さすがに営業課の人達はスーツだったけれど。

 夏の盛り、高いビルが立ち並ぶオフィス街はすごく暑かった。

 一介の事務員でしかない私は、緩い会社の規則に甘え、楽な格好をしていたけれど、それでもやっぱり暑いものは暑くて……熱中症になってしまったのだろうか?

 ありえる話だと思ってみたが。


(んん? でも病院って感じでもないような……)


 天井だけだと判断は難しかったかもしれないが、起き上がった今、室内の全貌は明らかになっている。


(洋画……それも中世のヨーロッパが舞台の映画セットみたいな室内ね)


 アンティーク調の調度品などは、派手さはないが優美で落ち着いており、素人目に見ても高価なものだとわかる。

 見るからに高価なそれらに囲まれているが、かと言って居心地の悪さは感じない。不思議と落ち着けるような空間だ。

 しかし、どう見ても病室ではなさそうである。


(……もしかしなくても、夢じゃないのかしら?)


 頭の中ではクエスチョンマークがしきりに飛び交っている。

 状況を知ろうにもただ広い部屋にいるのは私だけ。ただ、状態からして不遇な扱いを受けているわけではなさそうだ。

 拘束はされていないし、何なら森の中を歩いてボロボロだった私服は清潔で手触りの良い服に変わっているし、体自体も清められているようだし、ご丁寧にベッド脇の小さなテーブルの上には、水差しと綺麗に磨かれたグラスが置いてある。


(そう言えば、一度も水分をとってなかったから喉がヒリヒリする)


 こうやって綺麗に置かれているのだがら、「どうぞ飲んで」という意味に捉えていいだろう。

 私はありがたく手を伸ばした。


「ふう」


 正直常温のお水では物足りない気もするが、久しぶりの水分は喉を潤し体に染み渡るようだ。

 一口含んだ後は、一気に飲み干して、遠慮なくもう一杯頂こうと水差しを持ち上げようとした。

 

 ――がちゃ。


「ん?」


 軽快な音が聞こえてきて、そちらに顔を向ける。


「え?」

「あ」


 部屋唯一の出入り口である扉を開けた人物を目にして、私は目を丸くした。


「あす、か……飛鳥ぁああ!」

「ふぐっ!?」


 飛鳥(あすか)と、私の名前を正しく口にした親友は(・・・)、猪突猛進とばかりにベッドに座る私目掛けて飛び込んできた。

 わあわあと声をあげて泣きながらしがみつく親友――星雫(せいな)の背中を落ち着かせるように撫でながら私は困惑していた。


(どうして星雫が?)


 星雫とは小学生の頃からの付き合いで、幼馴染兼親友だ。

 就職先は違ったけれど、なんと同じビルに互いの会社が入っていたことに気づいて2人で「腐れ縁だね~」と笑ったのもいい思い出である。


 ――その親友と、異世界(と思われる)で顔を合わせることになろうとは。


 ひとしきり泣いた後、すんすんと鼻を鳴らす星雫は、私の顔をじっと覗き込んだ。ようやく落ち着いたらしい。


「ねぇ……飛鳥、覚えてる?」

「何を?」

「一緒にお昼に行った帰りのことだよ」

「お昼……?」


 突然何の質問だと、首を傾げたが、はたと思い出す。


(そうだ、あの時私は1人じゃなかった)


 夏の盛り、お昼時。ジリジリ照りつける日差しに辟易しながら、星雫と並んで会社へと戻っていた。

 どうして忘れていたのか不思議なくらい、次々と記憶が思い出される。


(ランチを食べて、会社まであと5分もかからない距離で……確か、そう)


 突然、落ちたのだ。


「思い出した?」

「突然、足元の地面が無くなって……穴が、」

「うん。私と飛鳥、2人共《次元の穴》に落っこちちゃったのよ」


 《次元の穴》とは、時折この世界に現れる空間の歪みのことで、発生条件はわかっていない。

 歪みは、この世界とは違う別の世界へ繋がっており、いろんなものが迷い込んでくるそうだ。


「私はここ、レーヴェルクに迷い込んで、保護してもらったの」


 星雫の話から、私達は間違いなく地球と異なる世界へ来たのだとわかった。


 異世界から人間が迷い込むことも珍しくないようで、この世界とは違った知識を持つことから国を挙げて“迷い人”を保護する取り組みがあるそうだ。

 例に漏れず無事保護された星雫は、「私と他にも穴に落ちた子がいる!」と取り乱し、急遽捜索隊が組まれたという。しかし、私は見つからなかった。

 これは星雫と話してわかったことだが、私と星雫が異世界にやってきた時間にはズレがあり、なんと星雫よりも1週間も遅れてこの世界に放り出されていたのだ。

 その上、人の住む場所に放り出された星雫と違って、時間だけでなく歪みの座標がズレた結果、私は人気のない森の中に放り出されていたので、余計に見つかりにくくなっていたというわけである。


「飛鳥が、人攫いに攫われてたって聞いた時は、心臓が止まるかと思ったわ」

「まぁ、日本で生活していたら攫われるなんてこと早々ないものね」

「無事で、本当に良かった……もう、会えないのかもって……」


 せっかく泣き止んだのに、また目を濡らした星雫に、私は苦笑する。


 それから、私達がいるのはレーヴェルクという領地を治める辺境伯の屋敷であるということを教えてもらった。

 私を助けたのは辺境伯お抱えの私兵、レーヴェルク騎士団だそうだ。

 ちなみに狙って助けたわけではなく偶然のようで、最近人攫いによる拐かしが横行しており、特に夜は警戒していたところ――人攫い達が言っていた「治安が悪い」とはこのことを指していたのかもしれない――私を含め、数名の若い女を攫ったあの集団を発見したらしい。

 人攫い達を追いかけているはずの姿を確認できなかった追手は、正しく味方だったようだ。

 私以外の捕まっていた女性達も無事保護されたという。良かった。


「助けてもらったお礼を言わないとね」


 話を聞いて素直に頷く私を見て、星雫は感心したような顔を向けた。


「……にしても、予想してたとは言え、飛鳥の落ち着き払った態度にびっくりだよ。普通、異世界にやってきたらもっと取り乱さない?」

「星雫は取り乱したのね」

「騒ぎ過ぎて、いろんな人に囲まれてびびったよ」


 想像できる。

 私としては、混乱したし十分びっくりしているつもりなんだけれど、あまり表情に出ていないせいか星雫は「さすが飛鳥だね」と、うんうん頷いている。


(取り敢えずこれは現実ってことなのよね……)


 身に起きていることが、未だ現実という実感はあまりない。

 だけど星雫から話を聞いて、ちゃんと現実を受け止めないと、と気持ちを切り替えようとして――気を失う前のことをふと思い出した。


「……そう言えば、私って崖から落ちたと思うのよね」


 頬に手を当て、首を傾げる。

 思ったことを口にしてしまったことに気づいたのは、星雫の悲鳴のような声をあげたからだ。

 攫われた話は聞かされていたようだが、この話は初耳のようで、星雫は顔を青褪めた。


「が、崖!?」

「うん」


 何それ聞いてない! と、星雫が声を張り上げるのを聞きつつ、私は首を傾げた。


(どうやって助かったんだろ?)


 こうして生きて、同じく異世界に飛ばされた星雫と再会できているのだから、結果良ければ全て良しって感じだけど。

 騒ぐ星雫にバシバシと肩を叩かれながら、「どうして?」とクエスチョンマークを浮かべている私の耳に、コンコンとノックの音が届く。


「どうぞ」


 と、反射的に応えた後、ゆっくりと扉が開けられた。


「目が覚めたか」


 思わず「おおぅ」と声が出そうになったのを堪え、私は会釈しておいた。

 部屋に入って来たのは、恐らく同年代くらいの男性。がっしりした体つきと、程よく焼けた肌。赤みがかった金髪に、緑の目のイケメンというよりは男前の言葉が似合う美形だ。


(欧米人っぽい顔立ち……)


 そしてやはり、欧米風の容姿をしていた。

 その上、何というか……纏うオーラが常人のそれと大違いである。


(絶対偉い人だ)


 私が身構えたのを感じ取ったのか、男性はゆっくりとした足取りで私達の元へと近づいてきた。


「そう身構えなくていい。楽にしてくれ」

「でも……」


 雰囲気のある美形に見下ろされて、思わず肩に力が入ってしまう。


(ええと、私これちゃんとベッドから降りた方がいい……?)


 何故かじいっと見つめてくる視線に、少し居心地悪く思いながら、私は助けを求めるようにそろりと星雫を見た。

 男性が部屋に入って来た時に少し身を離していた星雫は、そのままベッドの脇に立っている。


「すみません、リエレン様。目覚めたことを先にお伝えするべきでした」

「いや、いい。ようやく再会できたのだから、積もる話もあるだろう」


 リエレンというのが、この人の名前らしい。

 星雫が「リエレン()」と丁寧に接しているので、やはり偉い人で間違いはなさそうだ。

 申し訳なさそうに謝罪した星雫へ、リエレン様は「気にするな」と、私から視線を逸らすことはなく告げた。


「どこか辛いところはないか?」

「ええと、はい。大丈夫、です」

「それは何よりだ」

「あ、ありがとうございます」


 私がお礼を言って、シンとしてしまった。


(会話が続かない……)


 妙な緊張感を覚えながら、どうしようと思っていると、リエレン様は「まだ名乗っていなかったな」と思い当たったように呟いた。


「私はリエレン・ウル・レーヴェルクという」


 レーヴェルクと聞いて、「私達を保護してくれているのはレーヴェルク辺境伯なんだよ」と、つい先程教えてくれた星雫の言葉を思い出す。

 ということは、リエレン様は辺境伯本人か、その親類という立場で間違いないだろう。やはり只者ではなかった。


九条(くじょう) 飛鳥です」


 こういう時の作法はわからないから、日本人らしく丁寧に挨拶してみる。

 しかし、普通に名乗ってしまってから「アスカ クジョウ」って名乗るべきだったかと焦った。


「アスカ」


 リエレン様は、私の名前を反芻するように呟いたので、いらぬ心配だったかとホッとした。

 きっと星雫から私のことも聞いているだろうし、九条ではなく飛鳥が名前だって知っているのだろう。


「はい」


 名前を呼ばれたので、返事をしてみたが、じっと見つめられるだけで特に会話は始まらない。

 え、何で呼んでみたんだろう? と疑問に思っていると、横で大人しくしていた星雫が飛びついてきた。


「うわっ」

「というか、リエレン様! 飛鳥が崖を落ちたって話聞いていませんよ!?」

「ああ」

「ああ、じゃないですよ!? 全部報告してくださいって言いましたよね!?」

「すまない」

「星雫、落ち着いて、それに無事だったんだし良いじゃない? ……あの状況で助かった意味がわからないけれど」

「ねぇ、今なんかボソッと怖いこと言わなかった!?」


 標的が私に変わってしまった。


「そんなに大きな崖だったの!?」

「あー……えーと……まぁまぁ」


 高層ビルくらいの高さはゆうにあったような……とは言えない。


(でも、本当にどうして助かったんだろう?)


「あの……ウル……レーヴェルク様」

「リエレンでいい」

「……リエレン様」


 ウルってミドルネームかな? レーヴェルク様って呼ぶ方がいいかな? と迷いながら呼びかけると、あっさりと名前呼びが許された。

 ちょっと食い気味だったような……気のせいか。


「何だ」

「その。私が崖から落ちたのは、確かなんですよね? 何故助かったのでしょうか」


 考えても答えはわからない。ならば、当事者であろうリエレン様に聞いた方が早いのでは? その一心で、ちらりと目を向けてみる。

 こうして改めて見上げてみると、本当に大きい。


(……ちょっと、怖い)


 色々な衝撃で気がついていなかったけど、私大きい男の人苦手だった。

 リエレン様の眉がピクリと僅かに動いたと思ったら、身を屈めて覗き込むように顔を近づけてきた。


「あ、あのっ?」


 急に間近へ迫った美形の顔に、思わず上ずった声が出る。

 何で!? と、近づく顔に気を取られていると、今度は右頬に手のひらが添えられた。

 体温が高いのか、熱く感じる手にするりと頬を撫でられ、内心「ひぇえ」と情けない声を上げながら、瞬きもろくにできず固まる。


「セイナと同郷だと聞いた……吸い込まれそうな目だな」


(目……? 目を見られてるの?)


 苦手意識を思い出した瞬間にこの距離はだめだ。

 取り敢えず初対面の距離感ではない。欧米ならともかく、私は生粋の日本人だ。パーソナルスペース大事。


「あ、あの、」

「あの時、落ちる君を抱えて安心したのに、気を失ってしまったから驚いた。怖い思いをさせてしまってすまなかった。もっと私が早く動いていれば」

「いえ、その」


(あ、質問に答えてくれてる……? もしかして助けてくれたのがリエレン様だったの? でも、落ちてた私を抱えるって……?)


 というか、近い。整った顔がすごく近くにある。近い。離れてほしい。

 さすがに今以上に近づいてこようとはしていないけれど、頬に当てた手が何だかむにむにと感触を確かめるように動き始めている。


(め、目回りそう)


「リエレン様ストップです! 近いです!」

「む」


 この拷問のような時間がいつまで続くのかとハラハラしていると、星雫が私を引っ張って無理やりリエレン様から遠ざけた。


(助かった……でも、もうちょっと早く助けてほしかった……)


 ちょっと恨みがましい目を向けたが、星雫はこちらを見ていなかった。

 むうっと頬を膨らませて、じとりとリエレン様を睨んでいる。


「私達の生まれた国では、初対面でこんな近い距離有り得ません!」

「だが、」

「言い訳無用です」


 ちょっと人見知り気味の私と違い、物怖じせず社交的な星雫は、一応丁寧な言葉遣いをしているもののズバズバと容赦なくリエレン様に物申している。

 困ったような表情で星雫を見るリエレン様は、押され気味のようだ。

 先程まで独特の雰囲気と、立派な体躯で怖々と彼を見ていたが、2人のやり取りにぽかんとしてしまう。


「ふふ」


 大きな体のリエレン様が、小柄な星雫に物申されてシュンとしている様子が可愛く見え、思わず小さく笑ってしまった。

 すぐにハッとして手で口元を押さえたが、2人とも私の近くにいるので笑い声はしっかり耳に入ったようだ。

 示し合わせたように私の方を同時に見てきたので、ビクッと肩が少しだけ跳ねた。


「アスカ」


 低い声が名前を呼ぶ。

 笑ったことを咎められるのではないか。そう思って身を固くしていると、温かい熱が手に触れた。

 いきなり頬を触られてびっくりする。

 しかし頬に触れられた以上の衝撃が次の瞬間投下された。


「私の伴侶になってほしい」

「は?」

「え?」


 何を言われたのか理解できず、私も星雫もぽかんと口を間抜けに開けて固まる。


「ええと、それはどういう……?」

「言葉通りの意味だ。君を妻として迎えたい」


 若干ニュアンスを変えてきたが……これはもしかしてプロポーズなのだろうか?

 私を真っ直ぐに見つめてくるリエレン様の眼差しは真剣そのもので、冗談を言っている雰囲気ではない。


(なんで?)


 しかし、その疑問につきる。

 1週間前からこの場所に滞在している星雫と違って、私とリエレン様は正真正銘の初対面。しかも、お互い名乗っただけで、素性などは全くわからない。……いや、私のことは多少星雫から聞いているかもしれないけれど。

 いやいやそれにしたって急過ぎる。


「あ、え、その……」

「アスカ」


 再び名前を呼ばれた。しかも、今度は少し切なそうに。

 きゅっと握られた手に力は入っていなさそうだが……あれ、振りほどけないというか、動かせないんだけど?

 一体どういう力の込め方をしているのか、リエレン様の手に包まれた私の両手は動かすことができなかった。

 返事を待っているのか、リエレン様の緑の目は相変わらず射抜くように見つめてくる。

 一体どういう状況なのか、急展開過ぎてついていけない私は「ええと、ええと」と、しどろもどろになりながら――


「ま、まずは、とっ友達からお願いします?」


 何とかそれだけを口にした。……疑問形になってしまったのは許してほしい。




*****




 星雫は、広い庭が一望できる自室にて、ひとりごちる。


「まさか、こんなことになるとは……」


 西の帝国ティーアルフのレーヴェルク辺境領に迷い込んで、2ヶ月目に差し掛かった。



 見知らぬ土地に放り出されたことよりも、直前まで一緒に歩いていた親友の姿が見えないことが何より不安だった。

 飛鳥の名前を叫ぶ星雫は、最初気が触れた者として警戒され、星雫達の世界でいうところの警察に連行されたが、迷い人――異世界からやってきた人間を指す言葉だ――だとわかると、辺境領を治めているレーヴェルク辺境伯の屋敷へ案内された。

 本格的に星雫の身柄をレーヴェルク辺境伯が保護する体制が整う頃には、既に2日が経とうとしており、星雫が彼らの言葉を理解できたのはこの時であった。


「飛鳥が! 私と一緒にこの世界へ来た子がいるの! お願い助けて!」


 言葉が通じるとわかった瞬間に、星雫はレーヴェルク騎士団団長リエレン・ウル・レーヴェルクに掴みかかる勢いでまくし立てた。

 迷い人は、この世界とは異なる知識を有する。

 過去、迷い人の知識を悪用した人間がいた。他国の話ではあるが、その国はその人間によって滅亡の危機に瀕したのだ――故に、迷い人の身柄は然るべき機関が保護優先とすることを帝国ティーアルフは国の方針とした。

 星雫の訴えにより、リエレンは直ぐに飛鳥を探すための隊を組んでくれることとなる。


「名前は九条 飛鳥。私と同じ国で生まれた子で、歳は24歳。私と同じ黒い目で、私よりもっと黒い髪色よ。癖のない真っ直ぐな髪で、長さはこれくらい。身長は私と同じくらい。小柄で、色白」


 見つけてもらうために、飛鳥の特徴を必死で告げる。

 星雫もそうだが、日本人らしい容姿はこの国では非常に目立つ。捜索は、そう難しくないのではないかと思われていた。


「大丈夫。君の大切な友人は必ず僕らが見つけるよ」


 武者修行の一環としてレーヴェルク騎士団に入団しているという公子ハーリス・ウル・ファルコフィーは、口数の少ないリエレンの代弁だと言いたげに星雫を励ました。

 しかし捜索は予想と違い難航を極めたが、偶然が重なってハーリスの言葉通り、彼らは飛鳥を見つけてくれた。


「良かった!」


 飛鳥の置かれていた環境を聞いた時は、底知れぬ怒りと不安が星雫を襲ったが、大事になることはなく、意識を取り戻した飛鳥は元気そのもので安心した。

 無事に再会できたふたりだが、しかし、元の世界へ戻ることは今後望めない。

 というのも、《次元の穴》が現れる条件が未だ解明されておらず、仮にわかったとしても元の世界に繋がる保証は一切ないのだ。


「好きなだけレーヴェルク( ここ )にいればいい」


 リエレンを始め、レーヴェルク辺境伯家の人間は、ふたりのことを大いに歓迎してくれていた。



(……私達はこの世界で生きていくしかない)


 少し感傷的になっている星雫の耳が、物音を聞き取った。


「やぁ、セイナ」

「……ハーリス様、乙女の部屋に無断で入るのはどうかと思います」

「ふふ、今更だろう?」


 断りもなく部屋に入ってきたハーリスを見て星雫はため息を吐いたが、追い返そうとはしなかった。

 勧めてもいないのに、星雫の座る席の隣に腰掛ける。


「物憂げだね」


 理由を知っているくせに、あえて聞いてくる。

 じろりと星雫は睨んだ。


「だったら、貴方の幼馴染をどうにかしてください」

「無理だね」


 爽やかな笑顔で直ぐに断られる。


「長年リエレンの友人をしているけれど、あんな彼は初めて見るよ」


 ハーリスの視線は、星雫ではなく庭の方へ向けられてる。

 ハーリスが部屋に来るまで星雫も見ていた方向だ。そこには、ひと組の男女の姿がある。

 男の方は、遠目からでもしっかりとした体つきが見て分かるリエレンだ。

 レーヴェルク騎士団の団長でもあり、同時にレーヴェルクを治める辺境伯の3番目の息子でもあるリエレンは、この屋敷を自由に動くことができる。

 その傍らで、リエレンと比べるとかなり小柄な女が立っていた――飛鳥である。


「アスカを取られそうで嫌?」


 ハーリスの問いに、星雫は答えなかった。

 しかし、むくれたような横顔が何よりも答えになっており、ハーリスは笑った。


「自慢の幼馴染だ。真面目で、頭も良くて、屈強なレーヴェルク騎士団を束ねる実力もある」

「……わかってますよ。リエレン様がいい人ってことくらい」


 こうやって事あるごとにリエレンの良さを伝えてくれるハーリスに、星雫は嫌そうな顔をした。

 飛鳥を救い出した張本人であるリエレンは、飛鳥を愛している――どうやら一目惚れをしてしまったらしい。

 傍から見るとリエレンの飛鳥に対する好意は非常にわかりやすいものだが、星雫は知っている。


(あの子、超がつく鈍感だから)


 意識のある飛鳥と初めて対面したリエレンは、飛鳥の浮かべた笑みを見て堪らずプロポーズをかました。

 しかし混乱した飛鳥は「取り敢えずお友達から」という、ある意味王道な逃げ文句を口にしている。

 そしてそれを真面目に受け取ったリエレンは、飛鳥と友達になることを日々頑張っているのだ。


(人見知りだし、大きい男の人は苦手だったけど……リエレン様の頑張りかしら)


 最初は怖々接していた飛鳥だが、日に日にリエレンに慣れていっているように思う。

 そしてこれは星雫の勘だが、恐らく飛鳥はリエレンのプロポーズのことをすっかり忘れているに違いない。

 理由は色々あるだろうが、考えられる中でも一番の理由は《ラアナグル》の習得に躍起になっているからだ。


「アスカはリエレンと同じ、風の《ラアナ》との相性がいいんだね」

「……ふん」


 《ラアナ》、天上の力という意味の古代語で、同時に力を持った宝石のこと指す。

 《グル》は使うという意味で、ふたつの言葉を合わせた《ラアナグル》は“天上の力を使う”というひとつの行動を指す単語になる――この世界に存在する魔法に似た力のことだ。


(飛鳥、あまり自覚していないけれど、そういうファンタジー大好きだからなぁ)


 崖から落ちる飛鳥を救ったリエレンは、《ラアナグル》を使ったのだ。

 魔法と似て非なる力が存在すると知った飛鳥の様子は、それは可愛らしかったが、それを見てますます飛鳥の魅力に引き込まれていくリエレンの様子を見るのは面白くない。


「……別に、認めないわけじゃないわ」


 ボソッと呟いて、頬杖をつく。

 覚えたての《ラアナグル》で浮いた飛鳥を、リエレンが付きっきりでサポートしていた。


(飛鳥が幸せなら、私は何も言わない。飛鳥の一番になれるなんて、羨ましくて仕方ないけれど)


「それで、ハーリス様はいつまでここにいるつもりなんです?」

「冷たいこと言わないで」


 傷つくじゃないか、と言うわりに、傷ついた様子は皆無だ。


「気分転換に、お茶でもどう?」


 大輪の向日葵のような色の目を真っ直ぐに向けて、ハーリスは星雫へ手を差し伸べた。


「セイナは花が好きだと言っていただろう? 僕の温室の花が見所なんだ」


 顔が良いと、キザな仕草も違和感がない。

 花か、と星雫は少し考える。

 元の世界で見たことがある花もあれば、初めて見るもの、美しいが奇怪なものもある。


「それに、セイナは植物の《ラアナ》と相性がいいから気になるだろう?」

「……美味しいお菓子もあるなら」

「ふふ。とびきりのものを用意するよ」


 少し間を開けて、星雫は差し出された手に、自身のそれを重ねた。

 素直じゃない星雫の可愛くない言葉に嫌な顔せず、ハーリスは嬉しそうに目を細めて笑った。




最後まで目を通して頂きありがとうございます!


書きたいところだけ書きなぐった感じなので、読みにくいところ多々あったかと思いますが、少しでも楽しんで頂けていたら嬉しいです。(見直していますが、誤字脱字等あったらそっと教えてくださると喜びます……)




以下は、魔法っぽいラアナグルのことを本編でもう少し掘り下げたかった作者の独り言のようなものです(読まなくても大丈夫! 興味ある方はどうぞ)。


 《ラアナグル》とは、魔法でありがちな呪文などは使わない代わりに、《ラアナ》という力のこもった宝石を媒介にして魔法っぽい力を発動する、というイメージ。

 《ラアナ》には、不思議な力が宿っており、それを引き出す素質がある人間だけが《ラアナグル》を使うことができるため、万人が使える能力ではない。比較的貴族の人間に使える者が多い。(そもそも宝石自体が高価なので、庶民には手が出しにくい)

 種類は、風・火・水・植物・雷で、《ラアナ》一個につき一種だけ宿っている。また素質がある人間でも、使える力はひとつだけ。風の素質がある者は風だけ操れる。それ以外は無理みたいな感じ。

 《ラアナグル》の力の強弱は、使う人間の素質による。あくまで《ラアナ》は媒介に過ぎないので、宿った力をどれだけ引き出すことができるかが鍵。


 リエレンは、その点かなり引き出す力が強く、風の《ラアナグル》を使って崖から落ちる飛鳥を空中キャッチした。

 リエレンの率いるレーヴェルク騎士団は、風の《ラアナグル》を使う者が多いので、人攫いを追いかけている時はみんな飛行していた(追いかける音が聞こえなかった理由)。

 基本、自分は飛べるが他人を連れて飛ぶほどの威力は出せないので、飛鳥をキャッチし救ったリエレンの能力はかなり高い。


 飛鳥には風の素質があったので、リエレンに教わりつつ《ラアナグル》を習得中。異世界人補正か、能力値はかなり高い(後に判明)。

 星雫は植物の素質があって、後に花を使った小物、プリザーブドフラワーやドライフラワーなどで注目を浴びることになる。



 長々となってしまいました。

 作者がわかればいいやって気持ちで書いたので、非常にわかりにくくてすみません。

 単純に魔法ってことにすればいいのに、何故か魔法以外の表現をしたくなって。

 独り言まで目を通してくださった方、ありがとうございます!


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