魔法少女と得られる力
「今週は迷惑かけたわね」
伶さんの家に向かう途中いつも通過する公園でまさかの伶さんに出会った。というか待っていたようだ。
伶さんの殺気も日が経つにつれて大人しくなっていった。今はもういつもの伶さんだけど一部からは惜しむ声もあるようだ。
「ううん、わたしは平気だよ。ところでなんでここに?」
目的地の家主が何故か目的地におらずここにいる。もし今日いきなり家に行くのがダメになったという事なら電話した方が早い。つまりそういう事が出来ない何かがあったのだろうか。
「そうね……ひかりに折り入ってお願いがあるの」
予想が当たったらしい。真剣な伶さんの眼差しにわたしも思わず背筋を正す。
「ふむ、なんでしょう?」
伶さんは一瞬の躊躇の後に口を開いた。
「──今日お父様に謝るから近くにいてもらってもいいかしら」
……正した背筋を戻すことにした。
道すがら伶さんは事情を説明してくれた。
「この前の事で分かったの、私とお父様だけでは埒があかない。私も大概だけどお父様はさらに上をいく頑固だから」
「……あっハイ」
『ナルホドヤネ』
下手なことを言うともっと拗れる気がしたのでわたしもキンも大人しく頷いておいた。
「そこで第三者を投入してエスカレートを防ごうと思ったのよ」
「それでわたしが選ばれたと、だいたい理由はわかったよ。でもさ、伶さん」
「何かしら」
「それだとお互いに不完全燃焼にならない?」
私がひとつ気になる点はそこだった。
「伶さんは納得いくまで話し合わないと気になるタイプじゃん?多分お父さんもそうでしょ?」
「……確かにお父様もそういうタイプね。よく分かったわね」
まあ伶さんと似てるし、とか言うと危ないので黙っておく。
「この前はまた喧嘩になっちゃったみたいだけどか、やっぱり思ってること全部ぶつけちゃう方がいいんじゃないかと思うよ」
「それでまた喧嘩になったら?」
「そしたらもう一度、私が相談に乗るよ。別に愚痴だけでもいいよ。伶さんの気が休まるならそれくらい」
「ひかり……」
「それに、わたし達がしっかりしないとシャドウもどうにも出来ないからね!」
「……ありがとう。分かったわ、今日はひかりに頼むのをやめるわ。また2人で話し合ってみる」
それで、と伶さんはこちらを見る。申し訳なさそうな、それでも先ほどより柔和な雰囲気を纏っていた。
それで、また後で、少しだけ話を聞いてもらってもいいかしら?」
「うん!勿論だよ!」
「それじゃあ今日は普通に訓練だけしましょう──」
そう言った伶さんの足が止まる。わたしも同様だった。
『──ひかり』
「うん、キン。まただね」
「前にもこんな事が?」
「他の人達が巻き込まれた時もこんな感じで連れてこられたよ」
なるほど、と伶さんは納得する。──ここは狭間の世界。2度目の突然の狭間の世界入りだ。
前回は伶さんは後から来てたのを思い出す。そしてその時と状況が似てるのならば。
「って事はとりあえず」
「そうね」
する事は1つ。
「「リリース」」
わたし達は同時に変身を行った。




