魔法少女と得られる力
「今日はごめんなさい、お父様が迷惑かけてしまって」
「あはは、そんなに気にしなくてもいいよ」
「昔からあんな感じなのよ。子供の頃に友達連れて来た時は目の前に立ち塞がって真顔でこっち見てたせいで怖がった友達を泣かせちゃって、それから私は友達を呼ぶことをやめたわ」
鼻で笑い遠い目をしながら過去の記憶を掘り返してしまっている伶さん。
「で、でもほら今日の伶さんのお父さんはめちゃくちゃ笑顔だったし、わたしは別に怖いとも思わなかったし」
「かなり大きい悲鳴が聞こえたけれど?」
「う、」
「気を使わなくていいわ、お父様には後できつく言っておくから……」
どことなく不機嫌そうな伶さんをそのままに今日は解散する事になった。
帰る途中、近くの公園で一息つきながらキンと今日のことについて話していた。
「──しかしあれやな、伶のおとんはあんまり伶に似てないんやな」
「そう?私は伶さんそっくりだなって思ったよ」
「ほんまに?庭師の変装したりは伶はしないやろ?」
「まあ、そういうところは違うけど、他の人を心配して声かけちゃうのとかは伶さんみたいだなって」
「あー、確かに伶も世話焼きな所あるからなぁ。そう言われるとそうやね。でも、それだったら世話焼き同士仲良さそうなもんやけどなぁ」
「それは確かにね」
多分過去のお父さんとの事が原因なんだろう。あそこまで露骨に機嫌が悪そうな伶さんは見たことがない。
「何とか仲直りできるといいけど」
「せやな。ただ、他所様の家族関係やからな。ワイらに出来るのは祈る事だけやで」
「そうだね。それじゃあ帰ろうか」
休憩もそこそこにわたし達は家路についた。
──まさかこの出来事が長く尾を引く事になるとは思いもしないまま。
「……あの、伶さん?」
「何かしら?」
「怒ってらっしゃる?」
「いや、別に?」
嘘だ。
時は夕方、いつも通りシャドウの出現を確認した私達は現れたシャドウを撃破していた。
"悪意の芽"を優先して破壊し、再生しなくなったシャドウを消滅させる。
「うーん」
「多分やけど、仲直りできて無いんやろなぁ」
「キンもそう思う?」
わたしのが唸っている理由をキンはすぐ理解していた。
伶さんは何食わぬ顔でシャドウを倒してはいるけど明らかに普段のキレがない。まあそれでも普段と同じペースで倒してはいるんだけれども。
結局次の日も、その次の日も。伶さんはどことなく機嫌が悪そうで、喧嘩が継続しているんだろうなと察することになった。




