魔法少女の素顔
剣を包む輝きは段々と形を作っていく。背後から見ていたひかりはそれに伴って起きた彼女の変化に気づく。
彼女の鎧は段々と簡素なものに置き換わっていた。強靭な装甲をもつ甲冑は動きやすそうな軽装甲になっているのが目に見えて分かった。
そして剣はとうとうその形を確かなものにしようとしている。
「ガァァァ!」
危険を感じ取ったのか化け物は先ほどとは一転して飛びかかり一息に距離を詰めようとする。
危ない。
ひかりがそう伝えようとする前に騎士の少女もまた化け物の眼前へと跳躍していた。
思いは単純、巨大な敵を倒すなら──。
「はあぁぁ!」
「ガアァァ!」
一瞬の交錯の後。
「ア……アァ……」
化け物はまっぷたつに割れ、サラサラと消えていった。
その場に残ったのはひかりと騎士の少女。
そして騎士の少女が持つには不釣り合いなまでの大きさの剣だった。
巨大な敵を倒すなら、自身の武器も大きければいい。わかりやすい、故に強力だった。
「すごい!あんなに強かったのに!ねえ、所でなんで私のおかげだったの?」
ひかりは騎士の少女に近づいていく。
「あ──」
そしてひかりは気付く。兜がなくなっていることに。
彼女は長い髪をしていた。髪の毛は吸い込まれるかの様な暗い青色でほとんど黒に近い。
そしてひかりの声に振り向いた彼女の顔には見覚えがあった。
「一条、さん?」
「…………」
「あっ待って!」
騎士の少女、一条と呼ばれた彼女は返事もせずに足元にできた穴に飛び込んでいった。
「行っちゃった……」
『……ひとまず今日は帰ろう、ひかり』
「うん……」
ひかりもまた、その場を後にした。