魔法少女と得られた力
「…………」
小説などで読んだ事がある、再生する敵。
──実際に戦うと、中々面倒だなと思った。
『伶様、上半身側に核がありますわ』
「わかった」
シャドウが振り下ろした鋭利な爪を剣で受けながら返事をした。
"悪意の芽"
あのマリスとやらが言っていたソレはシャドウの体の無作為な位置に埋め込まれている。
悪意の芽を破壊しない限りシャドウが消滅しない以上その仕様はかなり悪辣な要素と言える。──ただ、幸運だったのはコン、キン共に悪意の芽の大まかな位置がわかる事だった。
(位置の予測が立てれるのなら)
シャドウを横なぎに斬り払う。まっぷたつになったシャドウの上半身に狙いを定める。
力の配分を腕に込める。
──より速く、より多く剣を振るために。
「……ふっ!」
悪意の芽は設置されている位置こそ無作為であるがその全てが大きさ自体は同じだった。
「オオォォ……」
上半身を賽の目状に斬り刻まれたシャドウは難なく消滅する。
コンに予測してもらった位置を悪意の芽が必ず斬れる様、点ではなく面で制圧する。
これが私の出した結論だった。
周囲のシャドウは全て倒した。荒くなった息を深呼吸して整える。
『申し訳ございません伶様。わたくしも探知精度をもっと上げてもう少し伶様が楽に倒せる様努力しますわ』
「えぇ、お願い。でも無理はしないで。大まかでも位置がわかるだけでも充分に助かってるわ」
全身を斬り刻む必要がないだけでも助かっている。
「それにしても」
今日倒したシャドウを思い出す。
「今のところは小型のシャドウだけが悪意の芽を持っているわね」
悪意の芽による再生能力。小型はまだいいが、今後中型が出た時の事を考えるとかなりの脅威を覚える。流石に中型をなます斬りにするのは現実的ではない。中型の撃破に関してはひかりの方が得意だろう。一点突破をする際の爆発力は私の比ではない。
「伶さん!そっちはどうですか?」
と、その当のひかりもシャドウの殲滅を終えたらしくこちらに駆け寄ってくる。まだ出て来てもない敵の出現を憂う意味もないか。そう思い思考を頭の片隅に置いて私はひかりに返事をしようする。
「────!」
身体に緊張が走った。こちらに向かってくるひかり。その背後で半身が吹き飛んだシャドウがゆっくりと立ち上がっていた。
「くっ!」
一瞬の緊張のせいで半歩出遅れた。立ち上がったシャドウは倒れこむ。ただそれは明らかな敵意を持ってひかりの方へと。
キンの警告か、違和感を覚えたか、ひかりも背後に気づいたらしく、背後を振り帰った。ただもう明らかにそこから回避も反撃も間に合わない!
(飛び込む?脚力への強化?剣の強化?優先順位は?ひかりを助ける?シャドウの撃破?いや、それのどれも──)
間に合わない。そう思考が結論づけるのを無視して、全速力で突っ込む。
今欲しいのは諦めではない。今彼女を助けるために必要なのは。
──更なる速度と、出来るならば、更なる武器だ!
「伶、さん?」
「…………」
自分で行った事が、自分でも理解できていない。
眼前には驚いた顔のひかりが。とりあえずは助けれたようだ。
その証拠に私の手元から伸びている剣の穂先がシャドウを貫き──。
「いやこれ槍ね?」
私は剣しか使えなかったはずなのだけど。
『limit3達成。新しい武装が追加されました』
困惑する私の耳にコンのそんな声が響いた。




