魔法少女と得られた力
「伶、さん?」
「…………」
乱れた呼吸の割には酷く冷徹な伶さんの目。尻餅をついているわたしの頭上には1本の剣──ではなく1本の槍が伶さんの手から伸びていて、穂先はわたしの前にいたシャドウを貫いている。
ここ最近でシャドウは変化した。というのも数日前。
「久しぶりだなお前ら!マリスちゃんがきてやったぞってあぶなーい!?」
「避けるのだけは上手ね」
狭間の世界でシャドウを倒している途中、急に現れたのは今の世界のピンチの原因の1人であるマリス。
容赦のない伶さんの攻撃を慌ててかわしながら彼女は口を開く。
「まぁそんな怒るんじゃないよ。頑張ってるお前らにアタイからのプレゼントがあるんだ」
ニヤニヤと笑みを浮かべている顔からは悪い予感しか感じ取れない。
「絶対碌なものじゃないよね」
「そんなことないって!──時にチミ達、もう普通のシャドウの相手は飽きてきただろう?空を飛んでみたり、野生動物っぽくなってきたり。見た目は面白いけど根本的な問題になってない!そう思わないかい?」
「いや、べつに……」
「ふーんあっそ、それでまあその根本的問題っていうのが」
わたしの返答に全く興味なさそうに応えた後、マリスは1体のシャドウを掴みそして──、
「耐久力」
「グガ!?ギャァァァ!?」
ブチブチと音を立てながらシャドウを引き裂いた。
塵になったシャドウをつまらなそうに見る。
「という事で新しく作ったのがこちら!見た目はいつもの人型シャドウだけど、こうすると!」
もう一度同じ様にシャドウを引き裂く。
「……」
「……」
「……」
…………。
「何も起きないわね」
「アレー?」
不思議そうに引き裂いたシャドウを蹴る。
「もういいわ、時間の無駄──」
「でも待って伶さん、あのシャドウ変だよ。さっきの奴はすぐに塵になってたのに、アイツは全然!」
違和感に気づいた時、それは起こった。引き裂かれていたシャドウがピクピクと震え始めると共に、またひとつに。
「お、良かった動いた」
「と、まあこのようにシャドウに自己再生能力をつけてみました。こいつの中にはこの『悪意の芽』ってのをつけていて、それを取らない限り再生するってわけ!」
そんじゃーね。そう言い残しマリスは自身の開いたゲートから帰っていった。
次の日から、マリスの発言通りシャドウは再生能力を得るようになった。




