料理少女と学園の噂
ホワイトボードに名前が書かれていく。Dr.MAD、教授、マリス。キンとコンがホワイトボードの前に立つ。
わたしと伶さんはそれを見ている。
「という事で、Dr.MAD以外にも新たに2人の相手の名前がわかったで。まずは教授。」
「教授と名乗ってるあの男は私達も知っていますわ。MADと一緒に何かの研究を行っていて、彼が逃亡した後に魔法界から失踪していた筈ですわ。冷静に考えれば行動を共にしているのは当然でしたのに」
ホワイトボードに情報が書き込まれる。Dr.MAD。今回事件の首謀者。魔法界の指名手配者。
教授。Dr.MADの理解者。MADに次ぐ要注意人物。
そして、最後の1人。
「後はマリスね」
伶さんがそう呟く。
「……あの子の声、どこかで聞いたことあると思ったけど、ヴォルフをゲートに入れる時に襲われたことがあったよね。あのときの声」
喋り方こそ違えど声色は同じだった。
『さよなら』
囁かれたあの声に背筋が凍ったのを覚えている。
どうやら伶さんも気づいたらしい。
「あぁ、確かにそうね。あの掴みどころの無さ、正直苦手なタイプだわ。コン、彼女については?」
伶さんの質問にコンは申し訳なさそうに答える。
「それが、存じ上げませんの」
「ワイもやな、魔法界の警戒リストを端から端まで眺めてみたけど、マリスって名前のヤツは存在しなかったで」
どうやらキン達ですら知らない相手らしい。しかし──。
「それじゃあマリスについては特に情報無しって事ね。まあ分からない相手の事は仕方ないとして、まずは教授についての情報が欲しいわ」
それにしても──。
「そうやね。アイツは兵器や機械の開発を得意としておってな。例えば「キュルルルルルー」……ひかり?」
「あー、えー。うん、ごめんなさい」
思ったより大きい腹の音がなった。
今日はなんだかお腹が空いている。本日最後の授業が体育だったからだろうか。
「……ひかり、運がいいのか悪いのか、クッキーがあるのだけれど、食べる?」
「いただきます!」
伶さんからクッキーをもらう。
「ワイが話そうって時にひかりお前というやつは……」
「まあまあ、腹が減ってはって言いますわよ?」
「そうだよキン」
「やかましいわい!ワイにも1つくれよな!」
キンに軽く怒られながらクッキーを貰う。可愛らしい袋に入っているそれは市販品のものでは無かった。
「あれ、これは……」
「そうね、私が作ったの、今日調理実習があってね」
「そうなんだ!いただきます!」
キンにも1つ渡す。
「怜が作ったなら期待大やな!」
2人で勢いよくクッキーを口に運ぶ、そして──。
「えー、本日は簡単クッキーの作り方をお教えしたいと思います」
「はい、ひかり先生、キン先生」
伶さんとのクッキー作成が始まったのだった。




