魔法少女と魔道具少女
「──特定の記憶を消す魔法があります」
コンはわたしとルナちゃんを見る。
「……ルナ様はもうすぐ魔力を失います。戦う力は無くなりますが、今まで戦っていた記憶、私達との縁は残ってしまうのです」
「縁だけ残るってなると」
「そうね。こちらとの紐付けがされて、狭間の世界に迷い込みやすくなってしまうわ」
そうなると力のないルナちゃんがどうなってしまうのか。想像に難くはない。
「だから、私達が狭間の世界で会っていた記憶を消してしまう事が今後のことを考えると1番いい方法だと私は思いますわ」
その為にするのが記憶の消去。
──と、そこでひとつ疑問が浮かぶ。
「え、でも今まで迷い込んでた人達には顔を見せなかったりして縁を作るのを抑えてたよね?消せるのなら全員記憶を消してしまった方が手っ取り早そうだけど」
「それがですね、この方法は少し特殊でして、放出する魔力にのせて記憶を消してしまうというものなのです。前提として魔力を持った者にしか使う事ができません。さらにこの時、放出する魔力量が消す記憶量と丁度にならないといけません」
「ルナはもう魔力を回復する事は出来ない、今はただ魔力を失っていくだけ。魔法を発動するために必要な魔力量になるまでもう少し」
伶さんは付け加える。
「消す記憶は魔法少女とバレた時から。私は昔からこの子と一緒にいたから記憶に留まることはできるけど、初対面が魔法少女だった時から始まってるひかりは──」
「わたしの記憶はルナちゃんから全部無くなるって、事だね」
状況は理解できた。ルナちゃんの為を思うなら選択肢は1つしかない。
「いいよ。わたしの事、綺麗さっぱり忘れてもらおう」
「……ごめんなさい、ひかり」
「あはは、なんで伶さんが謝るのさ」
「だってひかりにルナと仲良くするよう頼んだのは私よ。それで今度はそれは無かったことにさせようとしているの。本当にごめんなさい」
深く頭を下げる伶さん。
「伶さんのせいじゃないよ。だってわたしは最初からルナちゃんと仲良くなりたかったし、記憶が無くなっても、また友達になればいいだけだしね。だから問題ないよ!」
「ひかり……」
「それで、コン。わたしは何をすればいいかな?」
「……そうですわね。あと数分で魔法の発動タイミングになりますわ。その時は私とキンで魔法を発動するので任せてくださいまし。ただ万が一発動前にルナ様が目を覚ましてお2人と会話等してしまうと記憶の総量が変化して魔法が不発になるかもしれませんわ」
「繊細な魔法なんだね」
「そうなんですの。なので2人にはしばらく遠方にいて貰いたいですわ」
「わかったよ。キン、終わったら教えてね」
「おう、任しとき。その辺散歩でもしてきぃな」
腕時計から飛び出したキンに手を振りわたしは歩き出した。




