魔法少女と魔道具少女
「あら、ひかりさんどうしてそこに、というか私は今どういう状況なんですかコレは!?」
「その筒の中液体みっちりなのに喋れるんだね……」
動揺して身振り手振りが大きくなっているルナちゃんからはシュールさすら感じる。
『ひかり、感心してる場合ちゃうで、さっさと状況を伝えな』
それもそうだ。時間はそんなにないのだ。
「うん、ルナちゃん、とりあえず手短に説明するね」
「つまり、私が魔力供給を止めればいいということですね?」
「早い話がそうなるね。それで弱ったところをドン!って感じ」
「分かりましたわ、それじゃあやりますよ……!!」
ルナちゃんが体に力を入れたのがわかる。
ズーン、とロボ全体から低い音が鳴る。
[魔力供給停滞、通常モードに移行]
よし、とりあえずこれでハイパワーモードは終わった。
「いい感じ!ルナちゃんその調子で……」
[魔力供給源の抵抗を確認、強制供給を行います]
バチバチッ!弾けるような音、途端にルナちゃんが苦しむ。
「うぁぁ!」
「ルナちゃん!」
強制供給、と言っていた。恐らく無理矢理にでも魔力を奪おうとしているのだろうか。
──そして更に状況は悪化し始める。
『ひかり!横から!』
気がつけば左右からロボの掌がわたしを叩き潰す為に迫ってきていた。
「な、くぅ!!」
両手を広げ押し潰されるのを耐える。手が自由になったという事は、伶さんの剣が外れたという事だ。下は大丈夫だろうか。
「くそ!やられたわ!」
『落ち着いて下さい伶様。ここで冷静を欠いたらどうにもなりませんわ』
「……そうね、ごめんなさい、悪かったわ」
コンに嗜められ、一息深呼吸を行う。
剣は外されてしまった。
[──腕部行動制限の原因を確認。腹部magical cannon展開]
「っ!?」
突如腹部が割れ、現れた大砲の攻撃を避けたのはいいが。
その放たれたキャノンは手に突き立てた剣を砕いた。
[腕部行動可能、優先度の高い脅威を排除します]
そうして自由になった腕は真っ先に頭部のひかりを狙いに行ったのだ。
[上部、下部の敵を並行して攻撃していきます]
「くっ!」
腹部から出たキャノンは継続的に巨大な魔弾を発射する。
頭部ではひかりがきっと攻撃を受けている。
そして私も常に狙われている。これでは助けに向かうこともできない。
「一体どうすれば──!」
悔しそうに唇を噛みながら伶は立ち往生していた。
「ぐぬぬ……」
腕に渾身の力を込める。今はまだ拮抗しているがそのうちこちらが息切れしてしまうだろう。下の様子も見れないがキンがまだ反応自体はあると言っていたから伶さんも無事ではあるようだ。
「うぅ……」
ルナちゃんはぐったりしている。強引に魔力を奪われていたのだから無理はない。
「ルナちゃん、ごめんね、わたしのせいで」
ここまで危険に晒すつもりはなかった。それにこのままじゃ助けることもできない。今の私は謝る事しか出来ないのだ。
「何言ってるんですか、もう1度やりますよ!」
項垂れた頭を上げるとルナちゃんはまた魔力の供給停止を行おうとしていた。
「ルナちゃん!?またさっきみたいになったら危ないから──」
「……下にはお姉様がいますね?」
わたしの言葉を遮るように聞いてきた。
「え、うん」
「いいですか、ひかりさん。このままでは貴女がわたしを助けた事になって貴女がお姉様に感謝されてしまいます」
「それでは私がお礼を言われません。なので私がひかりさんを助けてお礼を言われます」
「ルナちゃん?一体何のはなし──」
「そう、これは勝負です!どちらがお姉様に褒められるかの!」
勝負、最初の頃にルナちゃんとしたのを思い出す。そういえばあの時もこんな感じで話を勝手に進めていた。
「そういう事ですが、ひかりさんは?このままでは私の勝ちですが?」
自信に満ちた顔だ。こんな状況で。でもそれが、妙に面白かった。
「──あははは!そうだったね、あれ、でも3本勝負はルナちゃんが譲ってくれたんじゃ?」
「いいえ?確かひかりさんが1本取ってから一時休戦しただけでしたよ?」
「そうだったかなぁ?」
「そうですよ」
にこやかな笑顔で応えられる。わたしもそれを見てまた笑った。
恥ずかしい話だ。彼女の手は震えている。それでも無理してでもわたしを励してくれているのだ。
勝手に悲しんで勝手に諦めそうになっていたわたしに檄を飛ばしてくれている。だったら応えなくちゃ。
「それなら、もちろん負けてあげないよ!」
「よろしい。それじゃあもう1度、勝負ですよ!」
「かかってこい!」
わたしは気合いを入れ直した。




