魔法少女と魔道具少女
私は夢を見ているのだろうか。心地よい夢。お姉様の声が聞こえ、私のことを見てくれている。きっとそれは私の事に気づいてくれたから。私の憧れのお姉様に本当の意味で私はようやく見てもらえたから。本当に素晴らしい夢、目覚めたくないくらい。
でも、何か、別の声も聞こえる。
それは私は知っている声で、羨ましくて、憎らしくて、嫌いで、不快で、それでいて。
とても、楽しい声。
『そういう事か……あの教授、嬢ちゃん自体を魔道具にしおったんやな』
「ルナちゃんを?」
ロボットの頭部の筒の中にいるルナちゃんを見る。筒の内部に特に動きはなく、多分意識を失っているのだろう。
『せや、おそらく最初に飲んだ魔法薬や。それが嬢ちゃんに魔道具と同じような性質を持つ効能を付与したんや。後の魔法薬はそこに魔力を溜め込むだけの為のもんで、だからこそワイらが調べても何の異常もなかったんやな』
それでや、キンはつづける。
『魔砲と魔弾、魔道具は1つにつき1つの魔法が鉄則や。ワイらは最初嬢ちゃんの持ってる指輪が怪しいと踏んでたけれどそれは間違いやった。』
『あの指輪が色々な魔法を使えるおかしなものやなくて、単純にあの指輪と魔道具になってた嬢ちゃんで1つづつ魔法を有してたに過ぎなかったって事やな。クソ、ワイがもっと早く気づいてれば』
キンは悔しそうに呟いた。
[前方に障害あり、破壊します]
「──伶さん危ない!」
ロボと目が合った。明らかにロボはこちらを障害物とみなしている。嫌な予感を感じ伶さんを抱き抱えながらその場から逃げだす。
ロボの腕から現れた光の弾が容赦なく撃ち込まれた。
「キン!それで、こっから何とかなりそうな感じはある!?」
しばらく間が経ってからキンがまた喋り始めた。
『──いいか、ひかり、あのロボットは嬢ちゃんからエネルギーを供給してもらっとる。しかも嬢ちゃんの否応に関係なくな。今の嬢ちゃんはロボットにとっての魔法薬みたいなもんや』
「それじゃあ、ルナちゃんを引っこ抜けばあのロボも止まるって事!?」
光の弾から逃げながらキンに聞く。自分だけじゃなく伶さんも抱えている以上常にすんでのところでの回避になっている。
『そう簡単でもないで、魔法薬は持ち主以外が下手に扱えばろくな事にならん。きっとアレもそうや』
──よくて揮発、悪くて爆発ですわ。そう言っていたコンを思い出す。
『無理やり取り出すのは最終手段として、ワイとしては嬢ちゃんを起こす作戦を提案するで。そうすればロボットの魔力の主導権は嬢ちゃんのものに戻ってくる。そうすれば後は内側から破壊や魔力の供給を弱める事ができると思っとる』
「起こすって、そんな簡単にできるの──」
[点攻撃での破壊困難、面攻撃に変更します。magical cannon発射]
「あ、これやば」
言い終わる前に背後に衝撃が伝わってきた。
「おわーー!?」
流石に伶さんを抱えたままじゃ受け身も取れない。近づいてくる地面を前に目を瞑った。
「……?」
「ひかり、迷惑かけてすまなかったわね」
「あ、伶さん!気が付いたんだ!」
「おかげさまでね」
目を開けると目の前に伶さん。わたしはお姫様抱っこされていた。どうやらギリギリ目を覚ました伶さんに助けてもらったようだ。
「伶さん!今の状況なんだけど」
ロボットのこと、どうするかのことを簡潔に説明する。伶さんは暫し考え込んだ後、口を開いた。
「成程ね、それじゃあまず私から起こしてみるわ。ひかり、援護をお願いね」
「うん、わかったけど、どうやって起こすの?」
わたしの疑問に伶さんは自信ありげに答えた。
「──とりあえず、耳元で叱ってみようかと思うわ」




