魔法少女の素顔
激しい衝突音が響く。
「よっ、ほっ!たりゃあ!」
向かってきた1体の繰り出す凶器の様な爪の振り下ろし、それにカウンターヒットを喰らわせる。
『後ろから来るで!』
「わかった!よいしょー!」
「グゲァ!」「グァン!」
背後からきた化け物の攻撃をスルリと避けると、その腕を掴み更に向かってきていた他の化け物に投げつける。動かなくなった化け物達は徐々に消えていき、その数を減らしている。
『いい調子やひかり!』
「へへん、初めて会った時の奴の方がまだ怖かったぞアッパーカット!」
自慢げに答えながらまた1体打ち倒す。
やがて残り1体となった化け物と対峙する。
「うぉぉお!」「グガァァ!」
互いに雄叫びと共に正面から突撃して、
「とどめだぁ!」「グゲラ!」
渾身のドロップキックを叩きつけた。今までで1番いい勢いで壁に激突した化け物はそのまま消滅した。
「よし、こっちは終わったね。早くあの子のとこへ行かなくちゃ、わわっ」
ドスン、言葉を遮る様に地鳴りが起きた。
「何、今の?地震?」
『いや、違うでこれは!』
ドン、ドン、ドン。段々と音は大きくなり。そして。
ドン!一際大きな音と共に近くの民家を破壊しながら騎士の少女が飛び出してきた。
「え?」
否、飛び出してきたわけではない。明らかに体に力が入っておらず、これはどう見ても何者かに吹き飛ばされたのだと推測できた。受け身も取れず彼女はそのまま地面に
「あぶない!」
「……うぅ」
「よかった、間に合った!」
叩きつけられる寸前、ひかりは何とか彼女をキャッチすることに成功した。
「大丈夫?ではなさそうだね……一体何があったの?」
「……!説明よりも見たほうが早いわ。もうそこまできてるから」
騎士の少女はすぐに立ち上がり構える。その視線の先をひかりも追う。
ドスン、ドスン。
また地面が揺れる。
ドスン、ドスン。
そして、
『グァァァァァァ!』
最早声なのか、ただの音の暴力の様に聞こえる爆音。それと共に黒い化け物が現れた。
「……おっきい」
ひかりはポツリとつぶやいた。それは無理もないことで化け物はゆうに2階建ての民家ほどの大きさがあったのだ。
「今までの小さいのはあいつの分身みたいなものだったようね。あいつを倒さないと……」
言い切る前に倒れそうになる。
ひかりがそれを支える。
「アアァァァァ!」
そしてその隙を待っていたかの様に巨大な化け物はこちらに向かってきた。
「それはやばいって!」
ひかりは急いで騎士の少女を持ち上げる。
振り下ろされた巨大な拳を間一髪のところで避ける。
『撤退や!とにかくアイツから離れるで!』
「分かった!」
騎士の少女を持ったままひかりはその場から逃走した。