魔法少女と魔道具少女
「──これが、私が魔道具、ひいては魔力を使えるようになった理由です」
トン、と机に置かれたのは何本かの小瓶だ。数本の空き瓶と中身の入ったものが分けられていた。瓶の中身は赤い液体が入っている。
「何やこれ」
「初めて見ますわね」
キンとコンが飛び出て確認を始める。私はこの小瓶に見覚えがあった。
「この入れ物……!」
「知ってるの?」
伶さんが驚いたように聞く。確かにこの瓶の事は話してなかった。
「ちょっと前に狭間の世界から戻る時に転がってたんだ」
ある日の落ちてた小瓶を思い出す。これが魔力の源だったとは。しかしそれと同時に疑問もよぎった。
「あれ?でも確かキン、魔力を増やすような便利な薬はないって……何やってるの?」
「コン?」
キンは小瓶に張り付いていた。コンも同様だ。見た目だけならかわいいと言えなくもない。
「こういうのは持ち主以外が下手に開けるとええ事ないからな、外側から感じ取る方がええんやで」
「ええ、良くて揮発、悪くて爆発ですわ」
「そうなんですね……!」
それは流石にルナちゃんも知らなかったらしく動揺していた。
「とりあえず何かわかるまで待っててくれな、その間に嬢ちゃんにこれをどこで貰ったのか聞いてもらって欲しいで」
「……そういう事らしいわ。ルナ、話を聞かせて貰える?」
伶さんは真っ直ぐにルナちゃんを見る。一見すれば鋭い目つきだけれど明らかにそこには心配している気持ちが混じっている。
「はい、私がこれを貰ったのは──」
それに気づいたのかは分からない。が、ルナちゃんは話を聞かせてくれた。
謎の黒い化け物から救い出してくれたのは、1人の騎士だった。
青い甲冑は全身を強固に守り、それでいてその重さを感じさせない速度で化け物を倒した。
私の足はまだ恐怖で怯え、私の口は震えてうまくお礼を伝える事も出来ない。
「え、あ……」
「…………」
騎士は何かを呟く。すると目の前に丸い穴が広がっていく。
「さぁ、早くここから帰りなさい」
「!」
動けなかった私を見かねてか、背中を押されて穴に押し込まれる寸前に気づいた。あの青色も、そしてあの声も。顔は兜で見えなかったが、見えなくてもわかる。あの騎士は。
振り向いた時にはもう穴は無く、まるで先ほどの事は白昼夢だったかのよう。それでも、確信がありました。
「──あれは伶お姉様で間違いない」
「ここで私との紐付けがされてしまったのね……」
伶さんは深いため息をつく。自分のせいでルナちゃんを巻き込んだ事に落ち込んでいる様だ。
「で、確かその後は暫くシャドウの出現も規模も少なかったから、ルナちゃんが狭間の世界に迷い込んでても危険性が少なかったんだね」
「そうね、コンもキンもシャドウの反応は気付けるけど魔力のほぼない一般人はかなり意識しないと発見も難しいでしょうね」
「ええ、そうです。何日かに1回、狭間の世界に入っては気がつけば出ていくを繰り返していました。──そんなある日に出会ったのです。この薬を持った少女に」
『こんにちは、何か悩みがありますね?そんな時はこれをどうぞ。貴女の悩みを解消してくれる不思議な不思議なお飲み物──」
「<教授印の魔法薬>と」




