魔法少女と魔道の友と
「…………」
「…………」
シャドウと相対する。
「さて、と……!」
腰を低く落として構える。シャドウから伝わる圧のようなものが強くなった気がした。
──来る。
「フゴグゥ!」
「ふんぐぐぐぐ!」
砲丸のような大きさ、速度で駆けてきたシャドウを真正面から受け止める。
全身全霊の力で押さえ込む!
「ううぅ!」
「フゴ!?」
最初こそ押されていたけれど、勢いは徐々に止まってきた。
「キン!時間は!?」
「後10秒や!それまでシャドウを止めてくれ!」
「任せ……て!」
とはいえ相手もこちらを押し切ろうと力を込めてくる。だったらこっちも限界以上に力を入れるしかない!
「後3秒!」
「つぁぁあ!」
ここから3秒はかなり長く感じた。でも、どうやら時間が来たみたいだ。
ドン、背後から大きな音、そして衝撃が体に伝わった。
──ビルの屋上階。そこにルナはいた。
「はぁ、はぁ。んっ」
息を整える時間も惜しいとばかりに小瓶の中の液体を流し込む。少し経つと体から何かが流れてくるのが伝わってきた。
「……ひかりさん!」
急いで屋上の外を見渡す。小さいながら屋上からでも見えるシャドウ。前進を明らかに阻害されてるような挙動はひかりがそれを妨げているからだろう。
「魔砲、展開!」
右手の指輪から光が覆う。これならほぼ力を使い切った先程より遥かに威力は期待できる。だが──、
「まだ足りない……!もっと力を!」
もう1本小瓶を取り出す。ルナは液体を飲む。そして一言告げる。
「魔砲、両腕に展開……」
──言い切る前に光が腕を包む。ドクン。
「…………」
体がはち切れるかのような脈動を感じる。頭が回らず、視界は白み、今にも途絶えそうだ。
…………ピピピピピ!
「っ!時間ですね!」
胸ポケットのスマホから鳴り響くアラーム音でなんとか意識を取り戻す。
1回深呼吸をし、冷静に照準を定める。
「発射!」
掛け声と共に今までで1番大きな弾が放たれた。
「──来たで!方向も完璧、後はタイミング!頼むで
ひかり!」
「…………!」
返事をする余裕はない。小さく頷くきその時を待つ。
……………………。
「今や!」
「っ!」
キンの合図でシャドウとの力比べをやめ、スライディングでシャドウの腹の下に潜り込む。シャドウはわたしを見失ったようで動きを止める。好都合だ。
力の配分を瞬時に両足に移し替える。両足に光の輪が現れる。そしてそれをシャドウの腹に。
「打ち込め!」
「──うおりゃああ!」
槍のように深く突き刺した。
真下からの衝撃はシャドウを宙に浮かせた。垂直離陸したロケットのように飛んだシャドウの前に最後に見えたのは丸い地球。
「ブフ!?」
ではなく、ルナの放った巨大な魔力の塊。
魔砲であった。
──直後、大きな爆発音が狭間の世界に降り注いだ。




